聖女交代
「聖女フランチェスカそなたには悪いが契約解消だ。
そなたは良くやってくれたが王子が聖女の変更を強く望んでいてね」
ここは、ウベズェル王国の王宮内。このあまり楽しくない話をしているのはこの国の宰相様だ。
「いえ。契約は1年更新ですのでお互いに納得出来なければ当然です。
早速、協会のほうに連絡いたします。
条件は結界の維持と教会と討伐の手伝いのままでよろしいですか?」
「あ、ああ構わない。 ただ王子が出来るだけ若い聖女をご所望でな」
目を反らしながらそんなことを言われてもね。
「畏まりました。その旨伝えておきます。
後任が決まり次第引き継ぎをしましてお暇いたします。
宰相様お世話になりました」
「聖女フランチェスカご苦労様でした。感謝いたします」
何だか上辺だけの感謝を口にされてもね。
やれやれ、この国に聖女として派遣されて2年。
ようやくお役御免になった。
とりあえず統括責任者兼支配人のセバスに連絡を入れないとね。
「セバスさ~んお疲れ様で~す」
部屋に帰った私は連絡用の水晶に向かって話します。
「フランチェスカ? どうしました? 貴方から連絡などめずらしい」
聖女派遣協会の統括責任者であるセバスが意外そうに言います。
「さすがに契約解消と言われれば連絡しますよ。
聖女の交代希望だそうです」
と私は興味なさげに言いました。
「ほー、あなたがクレーム対象になる筈もないし、理由はなんですか?」
「王子がもっと若くて可愛らしい聖女をご所望です」
とため息混じりに言います。
「ふ~ん、そう言う事ですか。
以前からなぜフランチェスカの魔導具の発動回数が多いのか不思議に思っていたのですよ。
貴方からは困っていると言う話は出て来ないし」
「ああ、だって日常茶飯事だったから、いちいち目くじら立てるのも面倒で」
私達聖女は身の程を知らない男どもから自分を守る為に魔法具の指輪を支給されています。
私達の意思と関係なく体に触れようとすると感電します。
「普通は1度電撃を食らえば、2度とやりませんからね。 去年1年間でも165回って… もう電気の耐性付いているんじゃないでしょうか?」
と面白い事を言うセバスさん。
おいおい、と突っ込みたくなった。
でも… 確かにこんなに魔法具を発動させている聖女って私位だったのかもね。
その前にもっと問題になって改善要請や契約の再考などになるだろう。
放って置きすぎたのは私の責任かしら?
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