「ン」を絶対に使ってはいけない 『〇〇〇〇!〇〇〇〇〇〇』
これは「ン」を絶対に使ってはいけないワールドのお話
助けを呼びながら逃げ回る幼い男の子。
例によってあやしい乗り物にのって小さな子供をイジメる〝アイツ〟。見るからに嫌われそうな姿と、イジワルそうな声。
泣いて必死に逃げるかわいそうな男の子。誰か助けてあげられる人はいないのでしょうか。
こういう時、彼がいてくれたら……
あっ! やって来ました!
〝我らのヒーロー〟です。
このワールドの平和を守る我らのヒーローが助けに来てくれました。
「やって来たなー! 砂糖小豆詰めて小麦粉捏ねて焼いた食べ物男!」
「やめるのだー! 人に有害な微生物男!」
そして、我らのヒーローとアイツとの言い争いが始まりました。
互いに相手の悪口を言い終えた時、我らのヒーローの心強い〝お友達〟がやって来ました。
「助太刀するよー! 砂糖小豆詰めて小麦粉捏ねて焼いた食べ物男」
「ありがとう! 一緒に戦おう、白飯の上に具材を衣に包み油で揚げたものを乗せた料理男!」
我らのヒーローとお友達が2対1でアイツと向かい合います。アイツはとても不愉快になって叫びます。
「こうなったら……。砂糖小豆詰めて小麦粉捏ねて焼いた食べ物男も白飯の上に具材を衣に包み油で揚げたものを乗せた料理男もまとめて相手してやるー!」
我らのヒーローはそろそろ言い合いに飽きてきたので、決着をつけることにしました。そうです。
あの必殺技です。
「砂糖小豆詰めて小麦粉捏ねて焼いた食べ物ぉぉ……殴りぃ!!」
ボカァァァァァァッ
「サヨナラサヨナラ人に有害な微生物ぅぅ……」
こうしてこのワールドの言い争いは収まったのです。そして、みなが彼をたたえます。
ありがとう!
我らのヒーロー! 砂糖小豆詰めて小麦粉捏ねて焼いた食べ物男!
・・・
一方その頃、
四角い小麦粉捏ねて焼いた食べ物男は、言い寄ってくる橙色の女性を、いったいどう呼べばよいのかと、ほとほと悩み果てていたのでありました……
(おしまい)