倒れている美少女にはどうするのが正解だと思う?
目を覚まし、早速穀物を探しに出かける俺。炭水化物を求めて今日で八日目になる。ここ七日間で北東から北西までの方角は全て探し回った。あと一方面、今日が駄目だったら心が詰む。盛大なフラグが立っていそうだが、まぁ良いだろう。
「畜生めぇい。」
川で頭に魔の付く小魚が捕れるので無機質は確保できている。五大栄養素の内、四つが揃っているというのに、あと一つがどうしても見つからない。
「俺の健康生活がぁぁぁぁぁぁっ。」
足を止め、項垂れてしまった。こんなところで挫けている場合ではないというのに・・・。
何とか心を入れ替え、再び走り出した俺。それから一時間くらいが経った。もうすぐ太陽が天頂を通り過ぎる。「あと一時間くらい潮時かな?」などと思いながら木から木へと飛び移っていると、下に倒れ伏した美少女の姿が認められた。
「ボロボロだな。」
俺は木から降りて少女に近づく。どうやら気絶しているようだ。ほっとくか?否、俺は捨て子(まだ分からんが)には優しいのだ。どうせ穀物も見つからなかったのだし、この子を連れて洞窟に帰るとしよう。
「さて、と。」
洞窟に着いた俺は少女を寝かせ、森で見つけた甘酸っぱい果実を絞って、少女の傷口に塗る。それから薬草の片面を石で擦り、粘着性のある液体が出てきたところで傷口に貼る。これで明日には瘡蓋ができて傷が治るだろう。まぁ殆ど治りかけだからな。二日ほど森の中を彷徨い続けたのだろう。魔物にでも見つかったら死んでいたかもしれない。一体何があったのやら。
「それは目覚めたら聞くとして、服の上から付けられた大傷は如何すればいいのやら。」
やっぱり服を脱がすしかないわけだが、柔肌を見られるのと傷の直りが早いのとを天秤にかけた時、この子はどちらを選ぶというのか・・・。ただでさえ、二人きりで手を出してしまいそうになるというのに、服の中を見て、俺の理性の方が持つのか?
くだらないことを考えて一時間。俺は服を脱がし、傷を治すことにした。なぁに、子供のころからベレノアールさんの肢体を見てきて、大きくなってからはいろんな女性の体を見てきた俺だ。今更少女の一人や二人・・・、大丈夫・・・、なはず。
なんとか理性を保ち、傷の手当てを終えた俺。少女の顔を改めて見てみるが、本当にきれいな顔をしている。綺麗な赤い髪に、服も上等なものを着ているところを見ると、フラム王国の貴族のようだ。本で読んだため知識はあるが、実際に村の人間以外を見るのは初めてだ。
「ふぁぁぁあ。」
慣れないことをしたせいか眠気が唐突に襲ってきた。俺もさっさと飯を食って寝よう。おっと、歯磨きとうがいも忘れずにな。