旅行に行きます
昼食の後、クライスはご機嫌で執務室に戻って来た。
「マルク、旅行何だか、シャニーの街はどうだ?丁度、シードの調査に近々行く予定だったし、あそこは陛下の別荘があるんだ。」
「ああ、それなら丁度いいですね。調査するにしても、ホテルより気が楽です。」
どうやら、シャニーの街の近くの洞窟に新しい通路が見つかり、シードが眠っていると噂になっているらしい。
ドラゴニアンシードだと、悪用されない為に国から調査と保護の依頼がきていた。
旅行の支度の為、出立は二日後となった。
旅行当日、リアは動きやすい服がいいと、貴族の娘が着るようなワンピースではなく、ミニスカートにレギンスというような、冒険者のような服装にした。
「リアは、何を着ても可愛いな。」
クライスはご機嫌でリアとマルクと馬車に乗り込んだ。
「できれば、俺は、使用人達と同じ馬車にしてほしかったんですけど。」
使用人達の馬車は五人乗り込み一杯だった為、マルクは渋々クライス達の馬車になった。
マルクはクライスの溺愛ぶりを見てると時々ブリキ人形のようになるし、二人の邪魔をしたくないので使用人達の馬車に乗りたかった。
「はぁ、」
マルクが思わずため息をすると
「何だ?悩みでもあるのか?」
クライスはどうしたのかと聞いた。
「同じ馬車なんですから、少しは控えて下さいね。」
マルクが二人を見て言った。
すでにクライスはリアを抱き寄せ、肩から手を回して、リアの手を握っていた。
「そうですよ。先は長いんですから、この体勢のままはちょっと。」
リアが照れながら言った。
二人に言われて、クライスは抱き寄せるのはとりあえず止め、手を握るだけに我慢した。




