思い出の夜光草
街のカフェで食事をした後、クライスに連れられて花屋に来た。
街角の一角にある一軒家の花屋だった。
中に入ると雑貨も少しだか置いてあり、女の子が喜びそうな花屋だった。
「マティスからここの花屋は花束もあるが鉢植えもたくさんあると聞いて来たんだ。リアの好きな花を買おう。」
「すごい、こんなにたくさんの花初めて見ました!」
リアは目を輝かせ、花を見ていると、やっぱりクライスは目立つようで、店にいた客の女の子達がクライスをチラチラと頬を染め見ているのがわかった。
(やっぱりクライスは格好いいから目立つわ。でも、マルクは自信を持ってと言っていたし…えい!)
リアは思いきって、クライスの腕にしがみつくようにした。
クライスはリアが一生懸命な顔で自分にくっついてきたのが嬉しく今すぐにでも抱きしめたくなった。
(リアから腕を絡めて来るなんて、可愛すぎる!)
「記念に店中の花を買ってすぐに帰ろう。」
「!?、何を言ってるんですか!?しかも、記念って、来たばかりですからまだ帰りません。」
(クライスは一体何を言っているの??)
クライスの下心は全くばれなかったが、テンションがおかしくなるところだった。
色とりどりの花があり、リアは何にしようか悩んでいると、一つの花に足を止めた。
「クライス、この花…。」
「この花は…」
花は開いてなかったが二人はその花が何の花かすぐにわかった。
その時、恰幅のいい店の女主人がやって来た。
「この花は珍しい花ですよ。夜光草と言って、フィナール領によく咲く花なんです。夜じゃないと、花は開きませんがね。」
二人は顔を見合せ、昔を思い出した。
「おかみ、この花をくれないか?」
クライスは二人の思い出の花を迷わず購入した。




