謝罪のお詫びは…
クライスとマルクは執務室に戻ると、謝罪に来ると言っていた受け付け責任者を待っていた。
入城の受け付けは、受け付けの事務官の他、何かあった時の為に騎士団から交代制で一人派遣されていたのだ。
リアの誘拐事件があった時、交代で少し席を外した時だったらしい。
普通なら受け付けで交代するはずなのだか、城にいる騎士達には貴族が多く、どこか甘くなっていたのだ。
「マルク、今日の夕食一緒に来ないか?」
マルクは驚き、クライスを見た。
「どうしたんですか?」
(まさか、さっきの気にしてるのか?)
「考えてみたら、リアを仕事の時には一人にさせてるから、寂しいんじゃないかと思ったんだ。」
「まあ、それはあると思いますが、俺が息抜きになるとは思わないんですけど。」
マルクは床に積んである本を本棚に片付けながら言った。
「まあ息抜きならどこか旅行にでも行けばいいんじゃないですか?」
「旅行か…。いいな」
二人が話していると足音が聞こえ、二人は面倒くさそうな顔をした。
「来たな」
「ええ、来ました。」
来たのは、事件当日の受け付け事務官と受け付け責任者、交代するはずだった騎士にその上司の騎士だった。
「この度は誠に申し訳ありません。」
頭を下げ、謝罪していると、クライスは落ち着いたように話した。
「事件当日の事は聞いてます。ですが、私に謝罪されても私にはあなた方を処分する権限はありません。謝罪は受け入れますので、これからこのような事がないようそちらで話し合いをお願いします。」
「ですが、あのお嬢様はクライス様のお客人では?できればお詫びをしたいのですが。」
クライスは要らないからさっさと帰って欲しかったが、以外にしつこい騎士達にどうしたもんかと思った。
マルクはクライスの困り顔を見て早く終わらそうとした。
「クライス様、こちらの上官の騎士様はコーデリア侯爵様です。侯爵様もお立場上引っ込みがつかないのでは?」
マルクは、クライスに助け船のつもりで話した。
「しかし、何か物をもらういわれはないし」
すると侯爵は嬉しそうに提案した。
「では、お食事はどうでしょう。レストランを予約しますので、お嬢様とごゆっくりなさると言うのはどうでしょうか?」
「食事か…」
クライスは城の外での食事もいいと思った。
「それなら、お受けしよう。マルクと三人で予約を頼む。」
一瞬、侯爵は、ん?、と思ったが何も言えず、三人でレストランに予約する事となった。
謝罪が終わり、クライスはやっと終わったと背伸びした。




