マティスのケジメ
クライスとリアは部屋に戻り休んだ。
「リア、大丈夫か?」
「怖かったけど、もう大丈夫。クライスが来てくれたから。」
クライスはリアを膝の上に乗せ抱き抱え、ソファーに座っていた。
リアは怖くて震えていたがクライスの腕の中が心地よく安心していた。
クライスはアリーも許せなかったが、リアに触れた男達が許せなかった。
「二度とあんな奴らに触れさせないから。」
クライスはリアの首筋に跡をつけ、そのままキスをした。
リアの表情は曇ったままだった。
夕食前に部屋にマティスがやって来た。
昼間に買った服を持って来たのだ。
「クライス様、リア様申し訳ありません。」
マティスは部屋に入るなり謝罪をした。
「違います!マティスさんは悪くありません!マティスさんが止めるのに私がクライスに早く会いたくてついて行ったんです。どうか、顔を上げて下さい。」
「マティス、顔を上げろ。あなたに非があるとは言わない。」
マティスは自分を責めない二人の優しさに感謝した。
「お二人が許して下さっても、私の気がすみません。失礼とは思いますがお詫びをお受け取り下さい。」
そう言うとマティスはドアを開け、廊下に待機させてたマティスの従業員が二人入ってくる。
洋服の入った箱や紙袋を持って。
リアは買ったものより明らかに多い荷物に驚いた。
「いけませんわ。マティスさんは悪くないのですから。」
「リア様、これはケジメです。それにお友達でも礼を欠いてはいけません。」
キリッとしたマティスは何だか格好良かった。
「リア、マティスの気持ちを汲んでやれ。マティス、有り難くいただくよ。この話はこれで終わりだ。これからも宜しく頼む。」
リアは二人のやり取りに感心すると共に、自分はクライスのように上流階級のやり取りが出来てない事を実感した。




