クライスの怒り
アリーに案内されついた所は何だかガラの悪い所だった。
「あの店にクライスさんが待ってますわ。」
アリーは案内するとさっさとどこかへ行ってしまった。
(ここに本当にいるのかしら?お店の看板も掠れて読めないし、)
リアは不信に思い店に入るのに戸惑っていた。
すると柄の悪い男達がリアの回りに集まって来た。
リアはとっさに離れようとしたが、道を塞がれてしまった。
「通して下さい!」
「こんな所に一人で来たんだ。遊んで欲しいんだろ?」
男達の下品な笑い方にリアは怖くなった。
リアは伯爵家ではともかくヒューゴが大事に育てた為こういった男に免疫がなかった。
男達が詰め寄りリアの肩や髪にさわり始めた。
「!?、止めて下さい!?」
(嫌!触られたくない!クライス!)
リアは魔法を使おうとした時、男の内一人がふっ飛んだ。そのまま一人もう一人とやられて行く。
男達が倒れた所にはクライスがおり、全員殴り倒したのであった。
クライスはリアをすぐに抱き寄せる。
「無事で良かった。何かされたか?」
「肩や髪を触られただけで何もされていません。…怖かった。」
クライスはリアが腕の中で少し震えているのがわかった。
「貴様ら、よくも俺の女に…!」
クライスは左腕でリアを抱き寄せたまま右手に風を集めだした。
「クライス止めて!?」
(まさか、殺す気!?)
「クライス!止めろ!」
クライスがさらに痛めつけようとするとリアと後ろからレイが叫んだ。
「レイ、クライス!アリーを見つけた!ここに隠れてた!」
更に後ろから団員がアリーを見つける。
柄の悪い連中はアリーを見て指差した。
「この女に頼まれたんだ。女を怖がらせてくれって!?」
アリーはマズイと思った。
「殺されたくなければ消えろ!二度と俺達に近づくな!!」
クライスは殺気だった目で柄の悪い連中に言った。
「レイ達も探してくれたんだな。助かったよ。」
怒りは消えてないが何とか冷静に話した。
「さぁ、リア行こう。」
「俺達も行こう。アリーはもうほっておけ。」
団員がアリーを放し、皆の表情が曇ったまま去ろうとしていた。
クライスはリアの肩を抱き寄せたたまま去ろうとすると、アリーがクライスにすがるように駆け寄って来た。
「クライスさん…っ」
それをクライスは、バシッと払う。
「二度と近づくな」
アリーは恐ろしい程冷たいクライスにその場にへたりこんだ。
アリーの恋はこの瞬間に終わった。




