複雑
服屋を出るとアリーが立っていた。
リアはとっさにクライスに寄り添うようにした。
「クライスさん、偶然ですね。お買い物ですか?」
「ああ、服を見に来たんだ。」
アリーは二人が買い物袋を持って無いことに
(おねだりしても買って貰えなかったのね。)
と思い込んだ。
事実は、ゆっくり散策できるようにマティスが気を使い後で城に届ける事になっていたがアリーは知るよしもなかった。
「レイさん達も買い物に来ていますわよ。報償金が出たので武器の買い換えに来ています。」
「レイ達が?」
(明日にでも行こうと思ったがやはり早く伝えた方がいいだろう。)
クライスはリヒトからの霧の傭兵団の処遇を伝えに行く事にした。
「リア、マティスの店で待っててくれるか?」
「仕事?」
「明日にしようと思ったがすぐに終わりそうだから。」
クライスはアリーに少し待ってもらい、二人は再びマティスの店に戻った。
「マティス、すまないがしばらくリアを見ててくれないか?俺は少し席を外すから。」
クライスはリアをマティスに預け、アリーと二人でレイ達の元へと行った。
二人が並んで歩く様を見てリアは複雑だった。
「クライス様のお知り合いなんですね。でもクライス様はリア様に夢中ですよ。あんな女、目にも止めていませんよ。」
「でも、クライスはモテるみたいです。
素敵な人ですから。」
どこか寂しそうなリアに、マティスは紅茶を入れてくれた。




