記憶が戻ってました
バルコニーに出ると二人は手すりの側の石のベンチに座った。
「クライスはモテるんだね。」
「好きなのはリアだけだよ」
そういいながらリアの頭に触れる。
「…好きなのは昔、許嫁になって、って言ったから?」
クライスは驚いた。
「いつから記憶が戻ってた?」
「解呪中。昔から魔力が暴発した事は覚えていたの。でもクライスや陛下が来た事も色んな事覚えてなかった。解呪の苦しみの中思い出したの。」
「リア…。俺は陛下とヒューゴにリアを守る為に会わないよう言われてた。でもずっと好きだった。」
「リアが事件で行方不明になった時すぐに探したよ。ヒューゴから事件の話を聞いた時、陛下達が俺に行ってこいと言ってくれて、マルクと霧の傭兵団に入ったんだ。」
「ごめんなさい、ずっと覚えてなくて、」
リアは涙を流し謝った。
「リアのせいじゃない。」
クライスはリアを強く抱きしめた。
「リア、好きだよ。」
「私も好き…」
クライスはリアに覆い被さるようにキスした。
「部屋に戻ろうか?」
クライスはリアを連れてバルコニーを後にする。
バルコニーから出てきた二人を見てマルクが寄ってくる。マルクはリアの目が赤い事に気付きクライスを一瞥する。
「リアを泣かせたんですか?」
リアとマルクは確実に友情が芽生えているのでマルクはリアを心配していた。
「違うの、私が勝手に泣いただけでクライスは悪くないの。」
「あの女の事なら大丈夫ですよ。クライスは好きでも何でもないですから」
「うん、信じてる。」
「俺達は部屋に戻るから、今日はもう呼ぶなよ。」
クライスはそう宣言し、二人は手を繋ぎ寄り添って会場を後にした。




