ヒューゴの見廻り
(陛下は休まれたな。クライスの様子も見てから休もうか。)
ヒューゴはクライスの部屋へと歩いていた。すると二階の廊下に護衛隊の副隊長のダグラスがいた。ダグラスは今回自分が隊長に選ばれると思っていたがヒューゴが隊長に選ばれ、何故だ、と納得がいかなかった。
「ダグラス殿、もう休まれたのでは?」
ヒューゴが声をかけると不機嫌そうな顔をした。すると伯爵がヒューゴに説明する。
「ダグラス殿は以前私の娘に制御魔法をかけて頂いて、その時のお礼を述べていたんですよ。」
「制御魔法?」
「魔力が高いのにコントロールできず困っていたのです。」
(そう言えば魔力が高いとか言っていたな。)
「では今は魔法を習っているのですか?」
「ええ、でも、セフィーロが言うにはまだまだだと。」
「息子さんは娘さんより年上ですよね?
息子さんと同じ授業を?息子さんも魔法をたしなんでいるんですか?」
「ええ、息子の家庭教師が来た時に一緒に習わしています。」
(10才の子が理解できる事と8才の子が理解できる事は違うだろ。)
ヒューゴは突っ込みたかったが黙っていた。
「ダグラスと積もる話もあると思いますので私はこれで失礼します。」
そう言いヒューゴは去って行った。
リアに対する家族の愛情を疑いながら。




