昔話
「でも、クライスが王族なのをリアは知らない風でした。何故城内に自室があるのか聞いてきたし。」
「記憶を封じたんだよ。だから俺の事は覚えていない。」
「そんな…」
「少しだけ昔話をしてやるよ。」
「10才の時父さんにお忍びの休暇旅行に連れて行かれた時だよ」
「クライス、ここがフィナール伯爵家だよ。セジュールの娘に8才になる娘がいる。気に入ったらお前の許嫁にしなさい。」
「ふーん」
「なんだ?気乗りしないのか?」
「別に」
「まぁ、気に入らないならほかの娘を探せばいい」
クライスは側室の子として生まれ他人からの陰口に嫌気を指してた。
(どうせ伯爵家の子なら高慢ちきな子だろう)
と期待すらしてなかった。
馬車がつき、降りると今回の護衛隊長のヒューゴが近づいてきた。
「陛下、今回はお忍びということで最低限の護衛です。邸の外にはあまり出ないようにして下さい。」
「心配するな、どうせ2泊だ。ゆっくり休ませてもらうよ。」
玄関入り口には当主を筆頭に使用人達も並んでいた。
フィナール伯爵に夫人、伯爵の息子のセフィーロ、そして娘のリアナが挨拶をした。
(この子が父さんが言ってた子か、)
挨拶をし、邸に入り、子供は子供だけがいいだろうと庭に準備してあったお茶に連れて行かれた。
「ヒューゴはクライスについててやりなさい。」
そう言われヒューゴは護衛隊に指示をだし、クライスの側に立っていた。




