初恋の子
執務室にいるクライスとマルクは仮眠室から解呪による苦痛に耐え、唸り声を上げているリアを案じた。
「痛みを和らげる香を安眠香に混ぜたんだが…。少しでも楽になるといいんだけど。」
マルクが心配そうに言う。
「どれくらい続く?」
クライスはギュッと両手を握りしめたまま心配そうに聞いた。
マルクは首を振り
「わかりません。目印の為だけの呪いならそうかからないと思いますが印からずっと魔力を感じていました。かなりの使い手だと思います。この3ヶ月見つからなかったのが不思議です。」
「リアのドラゴニアンシードのせいだろう。」
「ドラゴニアンシードにも種類があります。あれは何のシードなんです?」
「わからない。ヒューゴも教えてくれなかった。いや、ヒューゴ自身もわからないのかも。」
「とりあえず、交代でリアの様子を見るようにしましょう。」
「俺がずっと見てる」
「以外です。本気で惚れたんですか?
クライスがつくすタイプとは知りませんでした。」
「リアだけだ。」
「でしょうね。今まで本気で好きになったの見たことありません。初恋の方が今でも好きだと思っていました。」
マルクがそう言うとクライスは言葉を飲み込むような表情をした。
「クライス?」
マルクは困らせたのかと不意に思った。
「リアが初恋の子だよ」
クライスの一言にクールなマルクも驚きを隠せなかった。




