解呪の前に
クライスの自室につくとテキパキと浴室に案内される。マルクは入るなりすぐに浴槽にお湯を入れ始めた。
「入る時にこの浄化のシードを入れて下さい。入浴剤のようにそのまま入れてもらってかまいません。」
リアは浄化のシードを受け取り、
「ありがとうございます。マルク様」
とお礼を言った。
「俺に様付けは要りません。」
「私にも敬語は要りませんよ。」
二人は顔を合わし何だかフフッと笑ってしまった。
「じゃあ急いで解呪をしたいからさっさと入って。」
と敬語をつかわず話し始めた。
マルクに言われた通りに浄化のシードを浴槽に入れるとシュワワと泡のようになっていた。その間にリアは身体をすみずみまで洗い、浴槽へとチャポンと静かに入った。
リアはキレイな浴室に温かいお風呂、少しリラックスしている気分になった。
村から色々あったな。と思い返し思わず顔が赤くなった。
その時ハッとした。
(村から一度もお風呂に入ってない!?
ずっとクライスといたのに臭かったんじゃ。でもそれどころじゃなかったし!?)
リアはまたぐるぐる考え出した。
リアはそういう性格なのだろう。
「でも、先生が生きていて本当に良かった。」
リアは独りそう呟いた。
お風呂から出るとマルクがソファーに座って待っていた。
「あの、タオルの上にあった服を使ったんだけど、良かったかな?」
ダボッとした服を見て
「やっぱりクライスの服はちょっと大きいな。ウエストを縛れるやつを選んだんだけど、まぁ、これから解呪で部屋に籠るから楽な服でいいだろう。」
(いや、結構大きいんだけど。)
と内心思った。
「さすがにその格好で城内を移動出来ないからマント被ってて。」
マルクのマントをバサッと被せられた。
(そう言えば、私荷物も持たず村から王都に来たんだ。荷物はアランと戦った時になくなったし、解呪が終わったら服買いに行かないと。ご飯もクライスがご馳走してくれたし。)
その時リアは疑問に思ったことをマルクに聞いてみた。
「マルク、どうして城内にクライスの自室があるの?」
「何故って、…仕事がしやすいからで、」
(本当にそれだけ?)
「俺が言う事じゃないし、後はクライスに聞いてくれ。」
不思議に思いながらリアとマルクは執務室へと戻った。




