一杯一杯です
抱きしめられたままいると執務室のドアが開く音が聞こえた。
リアは慌ててクライスから離れようとしたがクライスは離さない。
「クライス、マルク様が来るよ!?」
「気にしない」
二人が軽く揉み合っているとクライスがリアを押し倒したような体勢になっていた。
その時仮眠室のドアが開きマルクが二人を見る。
「…お邪魔でしたか」
と冷静に言った。
「もう少し、ゆっくり来いよ。」
とクライスがリアを起こしながら言った。
(早く解呪するんじゃ…)
リアとマルクはクライスの言葉に同じ事を思った。
「クライス、浄化のシードを取って来ました。クライスの部屋の風呂で身体を清めて来て下さい。その間にこの部屋に結界を張ります。」
「へいへい。じゃあ、続きは俺の部屋に行こうか」
とクライスがリアを連れて行こうとする。
(続きって何!?こ、心の準備が!?
って言うか今から解呪するんだよね!?)
リアの頭はもう一杯一杯だった。
「マ、マルク様お願いです!一緒に来て下さい!?」
マルクが一緒ならクライスも何もしないだろうと思い必死でお願いした。
マルクはクライスを無言でみる。
「なんだよ」
「…じゃあ俺が連れて行くのでクライスが結界を張っておいて下さい。」
「なんでだよ。俺が行くよ。」
「あんたが変な事するからだろ」
マルクはそう言い残しリアを連れて部屋を出た。
リアはホッとしたが少し悪かったかな、と思った。




