リアとクライス
リアside
(霧の傭兵団がきてるっていう村はここね。)
王都から普通に歩けば1日程の森のそばにある小さな村。
(魔物退治の為に雇ったと聞いたけど。何が霧の傭兵団よ。只の魔物じゃない。)
リアは怒りなのか感情に押しつぶされそうなのをグッとこらえて村へと入った。
村に行くとすぐに宿屋があり、宿屋の側に野菜を抱えている中年女性がいた。
(霧の傭兵団の事を聞いてみよう。)
「あの、すみませんがこちらの村に霧の傭兵団が来られていると伺ったのですが、今どちらにおられます?」と丁寧に聞いた。
「あぁ、あの傭兵団ね。うちの宿屋に泊まっているよ。」
「こんな小さな村だからね、Cランクの傭兵団で精一杯だったみたいだけど、魔物討伐は上手くいったみたいでね」
「そういえば、あんた森から来たのかい?この出入口は森に行く村外れで街道からの入口は向こうだからね。まぁ、傭兵団が魔物討伐をしてくれたおかげでこの3日程は森も落ち着いているけどね。あんた運が良かったね」
ニコニコとする多弁な中年女性とは違い私は誰が感謝するものか。と思ったがこの人に言っても仕方ないと思った。
「傭兵団に男前がいてね。娘がイケメンだと熱を上げてね。その男前以外は酒場や買い物に行ったけど男前だけは娘と宿で食事してるよ。」
「ほら、この人だよ。」
宿屋の入口がキィと開き黒髪の身長が180センチ近くありそうな顔の整った男が出てきた。
「クライスさん、あんたにお客さんだよ。」
「客?」
クライスがリアをジッと見る。
リアはすぐにでも攻撃したかったが村の中だからグッと我慢した。思わずブレスレットのに力が入り、一瞬ブレスレットの石が微かに光る。
「ここじゃ何だから向こうで話そうか?」
「…いいわ。」
クライスが横を通った時ボソッとリアだけに聞こえるように
「ここで魔法放つなよ。」
と耳打ちした。