重なる二人の影
リアとクライスside
アランをその場に埋めた後、二人はその場から離れた所に座っていた。二人がもたれた樹が思いのほかいい背もたれになった。もう日も暮れ二人は疲れていたのだ。
リアは疲れていたが聞きたい事が一杯で何から話そうか考えていた。
するとクライスから話始めた。
「リア、俺はテレーズ国のシャドウナイツだよ。」
シャドウナイツとは表向きの仕事と違い暗殺や情報収集等スパイのような事を仕事にしている騎士の事だ。
「3ヶ月前、フィナール伯爵家が襲われ、俺達が駆けつけた時にはもう敵はいなかった。ヒューゴが言うには伯爵の娘を逃がした後去って行ったと聞いた。」
リアは驚いた。ヒューゴとは先生の事だ。あの時最後の力で逃がてくれたのではないのか、と。
「先生は生きてたの?」
ガシッとクライスの腕を掴んで聞いてみた。
「今も生きてる。使用人達を守るのにかなり力を使い結界を張り続けその状態のままミストハウンドを掃討してたみたいだ。」
「それだけじゃない。私を助ける為に転送魔法を使ったの。結界を張り続けて私を逃がしてくれたんだわ。」
「ヒューゴはまだ動けないし、テレーズ国のリヒト王子より俺とマルクに密命があって、フィナール伯爵の娘の捜索と霧の傭兵団を調べていた。霧の傭兵団には、2ヶ月前にマルクと入団する事ができ、探っていたんだけど、霧の傭兵団はフィナール伯爵家襲撃とは関係なかった。アランが何者かとやった事みたいだ。おそらくこのシードを渡した奴だ。」
「灰色の男のアッシュよ。私にこの傷をつけた。」
クライスはリアの右脇腹の傷をみた。
おそらく逃げられても分かるように呪いをかけたんだろう。
「このままだと、また狙われる。呪いを解こう。俺の連れのマルクなら解呪できるはずだ。ヒューゴも王都にいる。」
「 でも、それまでにまた襲われたら?邸やこの村のようになるかも。」
リアは自分のせいだとずっと自分を責めていた。
「俺が守るって言ったろ。」
クライスの手がリアの手を握りしめて近付いてくる。
二人の影は月夜にそっと重なっていた。




