Metal Blood World外伝 エピソード オブ サファイア
今回はスララことサファイアちゃんの外伝ぷに!
今回は外伝の中で3番目に長いぷにね!
覚えているのは何もない真っ白な空間.......そこで私は生まれた。
人という生き物は胎児から次第に成長していくらしいが......生まれた当初の私は人間の年齢で言うと8歳前後の容姿だった。
「................。」
イデア「これから言語などの知能をインストールしていきます。」
「..............。」
ウィーーーンガチャン!!
誰かの声が聞こえた.....この声の主が私の事を作ってくれた.....簡単に言えば私の「母」だ。母は人間の姿を持っていない......ただの声だけの存在。
すると私の中に何かがどんどん入ってきた。
この世界の姿、歴史、人間、モンスター、あらゆる知識が一気に流れ込んでくる。数秒ほど頭が痛くなって.......私は倒れた。
???「インストールが完了いたしました。おはようございます、私の言葉が分かりますか?」
「.........おは.....よう.....母さん......。」
???「言語機能が正常に働いている事を確認......私の名前は「イデア」母さんではなく「イデア」と呼んでください。」
「分かった......イデア。」
イデア「貴方が作られた理由を答えてください。」
「封印したラグル族達が次々と目覚めている......私の目的は身体を持たないイデアの代わりに7月7日にやってくるギャラクシーファブニスを止める。」
イデア「その通りです.......。」
ピコピコ
何かの音がして何もない空間に一つの画面が現れる。そこには森の中を歩く1人のロボットが映し出されていた。赤いロボット.......するとイデアは私のこう言った。
イデア「目的を変更いたします......貴方を異世界からの来訪者である彼と接続します。」
「そんな事が可能なのですか?」
私がそう質問するともう一つ画面が現れる。そこにはイデアと線でつながったカードが描かれている。たくさんのカードが線でイデアと繋がっている.....三万ほどだろうか?
イデア「ラグル族の復活と同時期にこの世界に三万人の異世界からの来訪者がやってきました。彼らは私が作った「プレイヤーネットワーク」で管理されています。」
イデア「その為貴方を彼の思考に繋げる事が可能なのです。」
「理解しました.......。」
イデア「それでは接続を開始します。」
こうして私は彼の思考に接続された。イデアはなぜ彼を選んだのだろうか?
「イデア.........彼がモンスターと遭遇しました。リザードです、剣が折れました。死亡確率が上昇」
「誰かが彼を助けました.....女性のようです。彼女が彼をどこかに連れて行きます。そこにもう1人います。彼らは機械の姿から人間の姿に変わりました。」
「彼は茶色い髪の女性に名前をもらいました.....「リオ」という名前です。彼女の名前は「サナ」そしてもう1人は......「メガネ君」?.......。」
「夜になりました3人が就寝......今がチャンスだと思います....彼の思考に入ります。」
私は瞳を閉じて彼の思考の中へ入った。その空間はたくさんの彼の記憶で埋め尽くされていた。適当に一つ触ってみる。
「部活?で県大会で優勝を果たす......仲間だと思われる人達がリオを胴上げしています。しかし..........」
音声を再生してみた。
「やったな×××!!俺涙が出そうだよ!」
「いやそこは涙流せよ×××!!」
「アハハハハハハハ!!」
幸せそうな笑顔を確認.....どれも......「名前」だけが雑音のせいでかき消されています。これでは思い出す事が不可能だと思われる。
「こんな事をしてる場合ではありません。彼の思考をこの間にイデアのいるあの空間に連れていかないと..........。」
私は手をかざして彼の思考を移動させる。
次の日
「彼らが起床........ギフトのメールを彼らに送ります。彼らの近くにギフトを落としました。しかしその近くにゴーレムがいます......どうしますか?」
イデア「それで構いません.....彼らの力を知りたいのです。貴方は彼.....リオのサポートをしてください。」
「寝ていないので無理なのでは?」
彼の視界にだけ貴方が映るようにします.....それで貴方が彼に伝える。
そしてゴーレム戦が始まって2人は捕まった。
「貴方だったらどうする?」
「え?」
私は迷っている彼に問いを投げかけた。
「今、貴方は分かれ道の上にいる。どちらに行くかは貴方次第.......。一つは勝てる可能性が低いのに2人を助けに行く。もう一つはギフトの中身だけを持って2人を置いて逃げる。さぁ、どちらへ進む?」
「俺は...........。」
「早く選ばないとどちらも行けなくなっちゃうよ?」
私の容姿はまだ幼い.....この年齢の人間の少女の口調はこのような感じだろう。
「俺は......2人を助ける!!」
「どうして?勝てるかどうかも分からないんだよ?」
ここで半分以上の人間が逃げるを選択するのに......なぜ?
私はさらに問いを投げかけた。
「だって2人を置いて逃げたりなんてできないよ!もし逃げたりなんてしたら自分の心に大きな後悔だけが残る!それに.....勝てるかどうかじゃない!2人を助けられるかどうかだ!」
「ゴーレムに勝つ......じゃなくて2人を助ける......。」
リオは勝つ事を目的としていない......あくまで2人の救助を第一の目的としている。なるほど......イデアが彼を選んだ理由が分かった気がする。
「勝てなくても2人が安全な場所へ隠れる時間くらいは稼げるでしょ!.......ありがとう君のおかげで覚悟が決まった!」
「やっぱり貴方は面白い.......その宝箱に貴方の助けになる物がある。開けてみて.....。」
私は彼を導く事にした。この時.....彼の瞳の奥で赤い炎がメラメラと燃えた気がする。
数日後 イデアが私に話しかけてきた。
「どうしましたかイデア?」
イデア「貴方の代理の身体が完成いたしました。まだ不完全ですが彼らと接する事が可能になります。」
「分かりました.........彼らとはどこで出会うのですか?」
イデア「彼らは次に「アヴァロン」というギルドに出会います......そのギルドのリーダーである「アーサー」と賭けを行い....ダンジョンへと向かう。そのダンジョンの奥にある宝箱に貴方の代理の身体を転送しました。」
「?」
イデア「どうしましたか?」
イデアには未来予測をする事が可能だ......しかし一つだけ気になる事がある。
私の中に大きな疑問が浮かんだ。
「宝箱に収まる身体って......人間のサイズとは思えません。入っても胎児ほどですよ?」
イデア「............それでは転送を開始いたします。」
「イデア?........あの.....え?話を逸らさないでくだ.............
私はダンジョンの中にある宝箱に転送されてしまった。その身体での行動が主になってくる。イデアのいるあの空間に帰れるのは寝ている時だけだ。
通信は可能らしい。
(ここは............。)
暗い....狭い空間だ。自分からは出られそうにない。手を動かして壁を触ろう......そう思ったその時だ。
(!!!!腕がない........それに足もない)
なんだこれは?初めての感覚........でも何かに当たっている感触はある。
そして転送されてから数十分後に部屋中にモンスターの叫び声が聞こえた。
(どうやらリオ達が敵を倒したようです.........。)
さらに数分後、私が入っていた宝箱が持ち上げられたのを感じた。どうやら持ち帰るらしい......もうすぐ彼らに会える!
箱が地面に落とされた、どうやら開けるらしい。
(私を早くここから出してほしい......早くこのせまい空間から出たいです!)
その思いでガタガタと箱を揺らした。
ガタガタカダ!
「うわ!?」
外にいるのはかの3人だ.....アヴァロンの冒険者達はいないらしい。
「なっ何が入っているの........。またお化け?」
「俺が.....開けてみます.....ね。」
早く開けて欲しい......1時間以上はこの中だ。
「じゃあ開けますよ......。」
「3.......2........1.......0!!」
ガチャ!キーーーーーー
箱が開けられた。眩しい光が私の瞳に映った。私はそのまま宝箱から飛び出す。やっと外に出られたのだ!画面越しでしか見れなかった世界を実際の目で見るのだ。
「サナさん!大丈夫です!何もいま.......ぶ!」
勢い余ってリオにぶつかってしまった。
今なにか........ぷにってしたような気がする。
「やっぱりお化け!?」
「リオ先輩!今取りますね!!」
「おえない!はにゃくとっえ!(訳 お願い!早く取って!)」
3分後
「ぷは!なんとか取れたぁー!」
「なんでしょうかこれ?」
なんだこの身体は?足や手はないが身体を自在に変化できる。これはまるであのモンスターではないですか。
「スライム?」
(え?)
私の身体はスライム......なのですか?私は初めて衝撃という感情を知り、そのまま地面に落下してしまう。
「ぷに♪(違います!)」
「え?」
「ぷにぷに!(だから私はスライムではなく.....リオ!貴方なら私の事が分かるはずです!)」
ダメです!言葉が通じません!何を言ってもぷにぷにしか言えません!
「何が伝えてるように見えるけど.........。」
「何言ってるのか分からないですね........。」
もしかしたら表情から何か伝わるかもしれない。今の気持ちをそのまま表情を表してみる事にした。
「なんで話通じないんだよって言いそうな顔してますね。」
「あーなんとなく分かる。」
(それは通じるんですね)
私はこの2人ではなく、もう1人の仲間のサナのもとへ近づいた。茶髪の彼女は三角座りをしていた。何をしているのでしょう?
「ぷにぷに!(貴方ならきっと私の言うことが分かるはずです!)」
「ぷにぷに?なっ..............!!」
サナと視線があった......まさか本当に伝わった!!
「な........................なっ!なにこれ可愛い!!」
「え?」
(え?)
そう言うとサナはキラキラとした目で私に抱きついてきた。頬を何度もすりつけてくる。これでは私がまるでぬいぐるみではないか。
「ぷににぃー!(抱きつかないでください!ほっぺをすりすりし............ひゃ!)
「それ可愛いんですか?」
「可愛いよ!森で時々スライム見たけど、この子が一番可愛い!!ほら見て!この子に生えてる尖ったツノ!宝石みたいに輝いてるよ!」
(え?...........)
確かに私の頭にはクリスタルのようなツノが生えていた。私にはこんなものが生えているのですか?
「ねぇ!この子飼っていい?」
「ダメです(キッパリ)」
(私はペットなのですか?)
「どうして!?」
「どうせ世話を僕たちに任せるんでしょ?」
(完全にお母さんと捨て犬拾ってきた娘の会話です................)
「私お世話するもん!」
(あの.......私の身体触りながら会話するのやめてもらうのは可能でしょうか?)
「他にも理由があります........何食べるのか分かりません。」
(私は好き嫌いはありません.......人が食べるもの以外を食べさせようとしたら怒ります。)
「スララは好き嫌いせずに食べるよねー?お魚とかリンゴとかー」
「ぷに(それくらいなら食べれます)」
ちょっと待ってください.......今なんて言いました?
「スララって.......まさか.......。」
「そう!この子の名前!!」
(私はサファイアです!!!!!!)
その後、サナに抱かれながら歩き続けた。目的地はこの近くにある街「オリオン」ここにはたくさんのプレイヤーが集まっている。
するとイデアから通信があった.......。
(どうしましたか?)
イデア「彼らはこのオリオンの街を拠点とするでしょう.......今から彼らの拠点となる「特別なギルド」を用意します。そこに彼らを誘導してください。」
(分かりました..........。)
通信はそれで終わった。
夕暮れになった頃だろう。オリオンの街に私達は着いた。高い壁がある......この壁がバリアを作り出しモンスターからの襲来を防いでいる。
私は正確にはモンスターでないのでこの壁の中の街には簡単に入る事が可能だ。
リオ達はお爺さんから話を聞いたあとギルドとなる場所を探していた。イデアが用意してくれたギルドは........まずいなここからだいぶ遠い。誘導しなければ!!
私はこの姿でできる全速力で走り出した。
数分後.....なんとか彼らを誘導する事ができた。怒られてしまったが誘導が成功してよかった。しかし何が「特別」なのだろうか?
ギルド名は最初から決まっていた。始まりなどを意味する「ジェネシス」だ。
さらに日が経ち、私はリオの買い物に同行した。
なんだかずーーーーーっと「ファンタジーモール」という単語が気になったが気にする事はない。するとまたイデアから通信が届いた。
イデア「貴方がスライムの姿から人間の姿になる為には一つ大切な物があります。」
(それはなんですか?)
イデア「文明が崩壊する前に人類が作ったロボットに使われていたエネルギーを補給するパーツです。そのエネルギーを使えば貴方が人間の姿になれる日が近づきます。」
(そのパーツは一体どこにあるのですか?)
イデア「この街では一つだけ見つかっています......今からその場所へ行きなさい。」
(.........分かりました。)
でもその場所までリオを誘導しなければならない......前にやったあの方法はすぐ疲れてしまうから。今回は楽をしよう。
私は必死にリオに行きたい場所を伝えた。するとどうやら伝わったらしい、彼は私が目指している骨董品屋まで連れて行ってくれた。そこで私はイデアが言っていたパーツをリオに買ってもらった。
(すみませんリオ........買ってもらってしまって)
ジェネシスのギルドに帰ってきて私はそのパーツを口にした。あまり食べたくないが......人間の姿になるためだ......しょうがない。
3人共驚いている。
もうすぐ1ヶ月が経とうとしていた。この姿にも慣れてしまった。
そんなある日......彼らの何気ない日常の会話を聞いてみた。何を話しているのだろうか?きっと元の世界の話をしているのだろう
彼らが生まれて育った世界はどんな世界なのだろうか?
数分が経ったあと.....サナ達がどこかへ行ってしまった。残ったのは私とリオだけだ。
彼らにとって私はペットのような存在なのだろう......仲間ではない。そう思うと悲しくなってきてしまった。そこにリオがやってきてこう言った。
「......大丈夫スララもジェネシスの仲間だよ。」
(え?)
まるで私の心を知っているかのようだった。驚いた........でも嬉しかった。
7月6日の夜
明日には流星祭......私の目的だ。ギャラクシーファブニスをここで倒す。ギャラクシーファブニスを倒せば私は役目を果たして「消えてしまう」かもしれない。
でもそれでも構わない......この街を守れるなら。でもその前に...........。
(イデア......最後にリオと実際に人間の姿で会って会話するのは可能ですか?)
イデア「可能です.......ただし今は数十秒が限界です。」
(それでも構いません.........。)
そこへ誰かが降りてくる音がした。きっとリオだ。
私のいるリビングのドアが開いた瞬間に私の身体はスライムから人間の姿になった。
リビングに来たリオは驚いている様子だった。
話をしなければ.........。
「明日は流星祭ね.........。」
「昨日の夢で言っていた事を教えてほしい!流星祭の本当の意味って何!」
それを話す時間は私にはない......最低限の事を伝えないと!!
「.......貴方には明日......「辛い体験」をしてもらうかもしれない。」
私の瞳から大粒の涙がこぼれ出る。抑えきれない........止めようと思っても止めれない。
「どういう事?」
「繰り返す........ただそれだけ。」
そして私の姿は人間から元のスライムに戻ってしまった。戻った瞬間にソファーの後ろに隠れる。リオにはバレていないようだ。
それでも.......涙が止まらない。
リオはそのまま自室へ戻って就寝してしまう。
イデア「これよりデュリオンの思考を私に移動させシュミレーションを開始します。」
(はい.............)
イデア「よろしいですか?」
ハイ ←
イイエ
私が決めるのか.......シュミレーションを開始すると成功する未来をリオが掴むまでリオは夢の中で何度も繰り返す。
例えどんなに辛い体験をしてもだ。私は「ハイ」を選択した。
そして彼は何度も7月7日を繰り返す事になった。
(ごめんなさい..........リオ)
7月7日 本番
(リオが正解へ辿りつきました)
イデア「それでは彼を目覚めさせましょう」
(.................。)
その夜、あの龍が街の上空を飛び去っていくのを私は見た。街中が大騒ぎだ........あの龍は絶対に私が倒す。私はジェネシスのギルドから出るとスライムなりの速さで草原へ向かう。
森を抜けて、しげみを抜けて.....みんなの元へ!
私がたどり着いた時にはリオはファブニスの鱗を手に入れていた。
リオは私に気づいたようで私のいる茂みに声をかける。
「来てくれたんだね...........。」
私は夢を一度だけ見たことがある......その夢の内容は人間の姿になって3人と一緒にジェネシスとして......冒険者として生きる夢だ。
叶わないって言うことは分かっていた........でも今日だけは3人の「本当の仲間」になれると思います。
「待たせてごめんなさい..........3人共......やっと私も.......。」
おまけコーナー
スララが初登場したのは第3話
今回の話は「第4話」「第5話から第7話」「第8話から第10話」
そして「ショートストーリー第3話」「第28話」「第30話から第34話」の時のスララの心情を書きました。
彼女はイデアによって作られた存在です。役目が終われば......消えてしまいます。




