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第一章 産み落とされたのは悪役令嬢 〜05〜

部屋に入り、壁に沿って立っていたメイドさん達に外に出てもらうように頼むと不満そうな顔をしながら渋々出て行ってくれた。

ふかふかのカーペットの上に置いてある座れるタイプの大きなクッションを祐麻くんに勧めて、自分は小さいテーブルを挟んで向かい側のクッションに腰を沈める。

ずっとソワソワしながら、時々チラチラと私に目線をやる祐麻くん。うーん、どうした?

と言うか話題がないぞ。



「わたしのこと、かるらってよんでね。えーっと、ゆうまくんはひとりっこなの?」

「う、ううん。このまえうまれたばっかりのおとうとがいるよ。」

「へえ!わたしはひとりっこだからなぁ。おとうとかわいい?」

「うーん、まだあかちゃんだからぼくはぜんぜんあわせてもらえないからわからないや。」



あの父親とこの兄だから相当な美形でしょうなぁ。むふふ、未来が光に溢れている子が沢山いて私は嬉しいよ。



「いつかたくさんあえるようになるといいね。そうだ!なにかゲームする?」

「なにがあるの?」

「トランプとか、ボードゲームとか。」

「チェスやりたいな。」

「え、チェスできるの?!」

「えっ、うっ、うん。」



思わず身を乗り出して聞いたらビクッとされてしまった。



「そ、そんなにおかしいことなのかな…。」

「え?いや4才でできるのはなかなかすごいと思うけど、そういうことじゃなくてわたしもできるからやろう!ってこと!」

「え…かるらちゃんもやれるの?」

「うん!メイドさんたちみんなたおしちゃったからもうあいてがいなくてさ!」

「じゃ、じゃあ!やろう!ぼくもおうちではたらいてるひとたちもおとうさんもたおしちゃったからあいてがいなくて!」



えっ、お父様倒したんすか?










いざチェスを取り出してゲームを始めたのですが。



「チェックメイト」

「うー、こうだ!」

「えっ、それはずるっこ!」

「ふふふ、これもせんぽうなんだよ。」



「わたしのかちー!!」

「だめ!!!もういっかい!!」



「チェックメイト!」

「えええ!だめ!!」

「だめくないもん!」



お互い負けず嫌いだったらしく、何度も何度もやって14戦。7対7の引き分けである。

いや、ここまで接戦になるとは…というか祐麻くんめちゃくちゃ強い。4歳でこれはエグい。この子はガチの天才だ。



「うー、ひきわけだよ…。」

「しょうがない。おたがいとってもつよかったよ。」

「でも…」

「じゃあ次はトランプしよ!」

「うん!ポーカーがいい!」



それ4歳児の遊びか…?








結局ポーカーでもお互い驚異的な引きのよさを見せて引き分け。

今はババ抜きをしてる。

はい、ただいま残りが2人合わせて3枚になったのですが、ずーっとジョーカーがぐるぐる回っております。

お互い運が強すぎるゆえですね〜予想ついてたわ。



「…かるらちゃんってすごいね。チェスも、ポーカーも、なんでもできて。」

「それはゆうまくんもおなじじゃない?」

「うん…でも、ぼくがいってるようちえんでは、いっしょにチェスとかやってくれるこがいないんだ。」

「そっかー」



いやー4歳でそんなことできる子供わんさかいたら凄いけどね。天才ゆえの悩みか〜、私は悠々自適な引きこもりライフを満喫して思う存分高校レベルのお勉強をしておりますのでね〜悩みなど皆無でございましてよ。



「チェスじゃなくてもいいからぼくもみんなと遊びたいけど、いっつもおんなのこたちがぼくのてとかをひっぱりあいっこして、けんかするんだ。」

「えっ、なんで?」

「『わたしがゆうまくんとあそぶの!』っていってけんかするんだ。ぼくはただあそびたいだけなのに…。」



あぁ〜。思わず頭を抱える。はやくもこの子の魅力は女の子達を射止めていたか…。しかしイケメンも辛いな。人気すぎて自由に遊べもしないのか。



「だから…すこしおんなのこはにがてだったんだけど、かるらちゃんはぜんぜんそんなことしないし、チェスもやってくれたし、ぼくとあそんでくれたから!ぼく、かるらちゃんのことだいすきだよ!」

「ぐふぉっ。」

「か、かるらちゃん?!」



やばい、純粋すぎる、尊すぎる。

このゴミのような薄汚れた心が一瞬で浄化されてしまった。

むりだ、この子いい子すぎて涙出てくる。



「かるら、でいいよ。」

「え?でも、ちゃん、って付けないのってしつれいじゃないの?」

「ううん、そんなことないよ。だってわたしのおとうさまとゆうまくんのおとうさまはよびすてでなまえをよびあっていたでしょ?わたしたち、もうおともだちだからいいんだよ。」

「いいのっ?!」



うっ…まぶしい。



「じゃあぼくのことも、ゆうまってよんで!」

「うん。ゆうま!」

「かるら!ふふ、もういっかいよんで!」

「ゆうま!」

「かるらー!」

「僕の娘は嫁にやらん!!!」



部屋に響いた大声に、2人揃って肩を震わせる。

私を抱き上げて、祐麻に威嚇するお父様の後ろには祐麻のお父様が申し訳なさそうな顔をして立っていた。

いや、誠さん…ここまでお父様を押さえられていたのはすごいよ…。







てなわけで、お友達1人ゲットだぜ!









なんであれだけお父様が暴れたのか後からわかったけど、婚約者にしないかって提案されていたらしい。4歳で婚約するんですか?!

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