クロノスゲート 7話
「俺のターン、ドロー」
このドローに賭けるしかない。
「俺はクロノスカード、『時を渡る方舟』を発動。対象は緋鎌の白き死神」
「なんだ。一体何のカードだ?」
「時を渡る方舟。対象となったモンスターは1ターン前の状態に戻すカード。つまり、緋鎌の白き死神は体力3。時の鎖鎌を受ける前の状態に戻ったというわけだ」
解説どうも。エレーナが得意気に語ると、その言葉通りに時の鎖鎌は破壊され、緋窯の白き死神は完全復活した。
「能力を発動。相手モンスターの体力を1ずつ奪う。それにより、ゴブリンの双子、ベートゥン、勝手に奏でるピアノは破壊される。ミゲルに攻撃。崩血破壊刃」
「うおおおおっ!」
ミゲルのライフが4900から一気に1900まで削られる。俺のライフも1850。勝負はここからだ。
「……ジョーカーカード、発動」
「なにっ!」
「ありがとうよ。俺のモンスターを破壊してくれてよぉ!」
ミゲルが歓喜に震えて叫ぶ。残ったジョーカーカードがめくられる。条件を満たしてしまったというのか。一体、何が起こる。
「ジョーカーカード『クレイジーピエロ』」
「クレイジーピエロッ!?」
俺も知らないカードだ。得体の知れないジョーカーカード。
「クレイジーピエロ。同ターンで3体以上のモンスターが破壊された時に発動。デッキ、冥界から任意のモンスターカードを召喚出来る。クレイジーピエロの発動条件が難しい代わりに、召喚条件を一切無視した召喚を可能とするカードだ」
「なんだ……とっ!?」
「楽しかったぜ銀髪。俺のエースを見せてやることになるとは思わなかった」
デッキよりミゲルがカードを選ぶ。召喚したカードは『黒帝王グランシャトー』。
風が吹き荒れる。これまでにない威圧感を放つ。たかだが召喚するだけで、何ておぞましいプレッシャーを放つんだ。だがそれもそうか。黒帝王グランシャトー。魔族のモンスターの中で最高位に位置する魔王にも等しいモンスター。戦闘力3500。体力4。そして何より恐ろしいのはその能力にある。
黒い鎧に身を包み、その巨躯にまず圧倒される。目に位置する箇所からは翠の光が指していた。腰には黒剣を携え、炎髪騎士アリアよりも、はるかに格上だと思い知らされる。
「黒帝王グランシャトーの能力発動。体力を1つ使い、相手のモンスター1体を破壊する」
緋鎌の白き死神(ホワイトリーパーがあっさりと破壊される。腕から出した光線を浴びて消滅してしまった。体力を代償に、相手モンスターを体力あるなしに関わらず破壊する強力な能力だ。
死に神を破壊されて、爆風に襲われる。腕を前にして堪えるが、もう後はない。この能力を使用したターン、黒帝王グランシャトーは攻撃できないのがまだ救いだ。
「まだだぜ」
「なっ!?」
「俺は手札からマジックカード。『機械仕掛けの城下町』を発動」
機械仕掛けの城下町。それは、1ターンに1度、相手ターンをすっ飛ばして、もう一度バトルフェイズを得るマジックカード。
あの娘から奪ったカードをデッキに入れていたのか。
「私のカード……」
「く、だからやめとけと言ったんだ」
「俺の勝ちだ銀髪。黒帝王グランシャトーの攻撃。破壊流星拳!?」
だが、グランシャトーは攻撃をやめてしまう。
「な、お、おい。グランシャトー。何故だ! 何故、攻撃しない!?」
「間一髪。ギリギリ条件が揃ったぜ」
「ま、まさか……」
俺も使わせてもらったぜ。最後の切り札。ジョーカーカード。
「なんだ。一体何のカードだ!」
「俺の伏せていたカードは、『冥界の扉』」
「冥界の扉……?」
カードを奪われた少女、またミゲルの取り巻きたちも知らぬ存ぜぬという形で騒つく。
「冥界の扉……。あれは、相手から直接攻撃を受ける時、フィールドから冥界に送られたクロノスモンスターを蘇生召喚するカード」
エレーナが語る。どんなカードか分かると騒めきも落ち着くが、ミゲルは弾けたように口を開く。
「な、何だ。脅かしやがって。お前の冥界に送られてるクロノスモンスターは、アリアか、白い死神だけだ。どちらにせよ、グランシャトーの攻撃力には及ばない。そんな雑魚を召喚したところで、俺の勝ちに変わりはないんだよ」
ミゲルの言う通りに、冥界の扉で俺は、『炎髪騎士アリア』を再び召喚する。
黒帝王グランシャトーは戦闘力3500。氷原の大地でダウンしたとしても3200。炎髪騎士アリアは戦闘力2500。いくら能力を使ったところで、黒帝王グランシャトーに勝てるわけがないのは一目瞭然だ。
だが、クロノスゲートはモンスターの強さだけでは決まらない。時を支配する者が勝者となる。
俺の手札には既に揃っていた。
だからめいいっぱいの笑みを、勝ちを確信した笑みを見せつける。
「それはどうかな」




