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魔王軍のアウトサイダー  作者: 海月くらげ
19/23

ビッグジョー

話のおおまかな流れは考えていますが細かい部分は思いつきでやってます


あと戦闘描写とかすっごく苦手なのでどうしても時間がかかります

素人です故大目に見ていただけるとありがたいです

 人に関わらず生きる者にとって死ぬとわかっていても挑まなければならないことは存在する、まさに今ビッグジョーはそれに挑もうとしていた。相手は規格外の魔力をもち圧倒的な戦闘力を備える転生者、そこにさらに心強い味方がいて士気がこれ以上ないほどに高まっている人間の軍勢。対してこちらは1人、生き残ったわずかな兵を逃がすためとはいえ無謀にもほどがある。しかし少しでも逃げる時間を稼ぐためにビッグジョーに逃げることは許されない。

「(ここまで絶望的な状況は昔に龍に挑んだとき以来・・・)」

 たった1人で向かってくる彼に人の軍勢は好機とばかりに進み続ける。しかし絶望の色は浮かんではいない、ビッグジョーは何かを掴むように空間を掴むと手の中には色あせた赤いバンダナが握られていた。



 ー目を閉じた

 戦場の空気が頭を冴え渡らせた



 ーバンダナを頭に巻いた

 散っていった同族たちの無念を晴らすために決意を漲らせる



 ー深く息を吸い目を見開いた

 体に熱が滾った



「我こそは魔王軍十傑第7席『隻眼』のビッグジョーなりッッ!!これより先へは進ませぬぞッ!!」

 ーおそらく最後の戦いになるであろう相手へと戦線布告する。


 *


 士気の高まった兵士たちは浴びせられた濃厚な殺気に思わず足を止めてしまう。しかしすぐに自分たちの強力な助っ人の存在を思い出す。

「俺たちにはライト様がいるんだ!今更十傑がなんだ!」

 誰かがあげたその一声に大勢の人間が賛同し、大声をあげて突撃する。しかし突撃するのはビッグジョーも同じこと、槍と盾を構え向かってくる前衛の人間たちに礫を投げ牽制しながら武器を奪ってなぎ払い、まとめて戦闘不能にしている。隙をついて抜け出そうとするものも見逃さずに仕留め、離れた所にいる者はその膂力を活かして武器を投げ、殺す。そうして戦うこと数分。幾人かには抜けられたものの、未だビッグジョーは健在であった。無傷とまではいかないがそれでもこの戦力差で未だ戦い続けるビッグジョーの前に彼は現れた。

「ずいぶん遅い登場じゃないか・・・転生者サマ・・・」

「何かに邪魔されるようでな、ここにたどり着けなかったんだ。殺された兵士たちの恨み、晴らさせてもらうぞ」

「それはこっちのセリフだ!」


 ビッグジョーの言葉を合図に戦いの火蓋は落とされる。そこらへんに落ちていた剣を拾いそれを力に任せぶん投げる攻撃をいともたやすく自前の剣で上空へいなす転生者だが、いつの間にか宙にいたビッグジョーはいなされた剣の柄をそのまま掴み体重を乗せて斬りかかる。予想になかった一撃は、しかし防御が間に合い防がれそのまま鍔迫り合いの形になる。

「まさかこれが簡単に防がれるとはなァ・・・!」

「半端な攻撃は通らないぞ」

「半端だと・・・ならこれはどうだ!!」

 そういうとビッグジョーは唐突に剣を手放した、当然かかっていた力がなくなりバランスを崩しかけ隙を晒す転生者だがそこに拳が飛んでくる。

「喰らうように打つべしッ!!!」

 全てを喰らうかのような独特の軌道で飛んでくるそれを転生者は流れるように躱し反撃の一撃を入れる。剣による一撃はビッグジョーの胴に直撃した魔族への特攻があるのか切られた部分は焼けただれたようになり血が吹き出るがそれを意に介さず次の攻撃に移る。

「清流撃ッ!」

 先ほどとは打って変わって自然と同化するような蹴りの一撃はカウンターのすぐ後なだけあって直撃するがあまり効いているようには見えない。すぐさま距離をとって体制を立て直す。

「随分と型が安定しないな、武芸百般というかなんというか」

「俺のこのバンダナ『フメツノチカイ』は死んでいった戦友たちの技を再現できる代物だからな・・・」

「手の内を晒すのは3流以下だぞ」

「晒しても問題はないからなァ!」

 言うのと同時に落ちていた槍を使い鋭い突きを繰り出す。それを転生者は紙一重で躱し剣によるカウンターを与える。

「効かぬ!」

 やはり切り裂かれたところは痛々しい傷跡を残すが構わず槍によるラッシュを仕掛ける。しかしそれらは躱されカウンターが入っていき劣勢に追い込まれていく。


 気づけば全身ボロボロで立っているのがやっとと言う状態まで追い込まれていた。呼吸は荒く、血が流れすぎたせいで意識は飛ぶ寸前であった

「ふっ!」

 そこに転生者の鋭い一撃が入りビッグジョーはとうとう地面に倒れてしまう。


 明確な死のビジョンが見えた。走馬灯のように戦友たちとの日々が目に浮かんでいく


 そして・・・つい先ほどの光景、戦友たちがまるで雑兵と言わんばかりに無造作に虐殺された時の光景、それを見た時の無力感と怒りを思い出した。攻撃のことごとくが効かず折れかけていた闘士が蘇り立ち上がる。それに呼応するかのように身につけたバンダナが淡い光を放ち始める。

「『不滅ノ誓』、俺はまだ戦えるぜ」

 転生者に向かい構えをとるビッグジョーに力を与えるようにバンダナは暖かく輝く。

 よろけながらも踏ん張り構えるビッグジョーに、転生者もまた剣を構える。

 先に動いたのはビッグジョーだった。放たれた矢のように直進し速度を乗せた一撃を放つ、転生者はそれを躱し剣を刺し貫く。そのまま剣を抜き首に狙いを定めて振り下ろす。



 鮮血とともに首が跳ね飛んでいった。

 

「フメツノチカイ」

ビッグジョー専用の武具。装備することで死んでいった戦友たちの技を完全再現することができる


彼は数多の戦場で生き残り、そして兵士の最期を看取っていった。

兵士たちの思いを受け継ぎ戦い続ける有様を写したこのバンダナは

故にこそ十傑専用武具として他の十傑と見劣りすることはない。


『不滅ノ誓』

ビッグジョー専用の武具。戦闘不能時に一度だけ立ち上がる力を与える


たった一度、しかしたった一度だけでいい

託された思いは時として体を蝕む毒と化すのだから

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