Outsider
私は頭が悪いのでそれっぽくなるように書いています。
信念のある者は悪党でもカッコよく見え、信念のない者はたとえ正義の味方や主人公だったとしてもダサく見える。
某聖杯戦争の主人公がカッコよく見えるのは自分が傷ついてでも人を助けるという信念があるからなんだと私は解釈します。何が言いたいかというと、レクターさんは信念はあるけどクズです
魔王城執務室、魔王が仕事をする部屋である。今は各地から送られてくる報告書に目を通したり、要望書に許可を出したりしている。そこへ浅黒い肌と長い耳、オールバックの白髪、髪と同じ色をした顎髭、よく鍛えられた筋肉と鋭い眼光をした戦闘服に身を包んだ十傑のひとり、隻眼のビッグジョーがタバコをくわえながら入ってくる。
「魔王さまや、穏健派の連中なんとかなりませんか?こうも毎日城門の前で抗議されていたら兵どもが訓練に集中できねえでさぁ」
魔族にも派閥があり、人間と戦争をしている過激派と人類と手を取り合おうとする穏健派に別れている。
「すまない、わかってはいるが彼らもまた同胞、対処が難しい状況だ」
魔王は書類を捌きつつため息を吐く。
「今日は特にひどかったんですぜ」
「穏健派はなんと?」
「軍の解体、過激派の偶像である魔王の退任、etc、etc。全くどこが穏健派なんだか」
ビッグジョーは身振り手振りで大げさに伝え、タバコの煙とともに大きなため息を吐く。
現魔王が魔王の座に着いた時、穏健派は少数であり尚且つ現在のように気に入らないものを潰そうというよりもむしろ、両者不可侵の条約の提案をしたり、領土防衛のための戦力を買って出たりなど一部の面では協力してたり等をしていた。が、今では見る影も無い。
「そういえば魔王さまや、例の貴族からまた手紙が届いているぞ」
ビッグジョーから手紙を受け取る。内容は、自分がどれだけ強くて偉いか、レクターがどれだけ十傑として不適切か、そしてレクターを早く十傑から降ろし自分を入れろという内容だった。すでに予想されていた内容に魔王はもう何度目かわからないため息をつく。
「こいつに断ると書いた紙を送りつけとけ、何度目だこれ」
「しかし、レクターが十傑にいる理由については俺も気になる、どういった理由で?」
「奴及び奴の従者の持つ技術、機械兵、理由をあげればキリがないが一番は第3者による視点だ」
「第3者?」
「そう、我々の組織には私を含め客観視できるものがいない。自分ではしているつもりでも固定観念にとらわれ進歩を無意識に止めてしまうことがある、セラスなどがいい例だっただろう。彼女は自身の術に自信を持ち慢心をし、レクターの機械兵に惨敗した、あの時は私もハラハラしたが結果的に彼女は自分を見つめ直し成長した」
「つまり、我々の枠組みから外れた異なる視点、思想を用いることで成長を促す。ってことですかい?」
「そうだ、まあ奴を嫌うものは多いがな」
魔王はハハハと笑う。ビッグジョーもつられて笑う。
「久々に茶でも入れようか魔王よ」
「その前にタバコを消してくれよ、異物が混入してたら美味いものも不味くなる」
執務室に和やかな空気が流れた。
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魔族領居住区、その一角にある豪勢な屋敷。その一室。
ひとりの魔族が怒り狂っていた。羊のような角、コウモリのような羽、鋭い爪。豪華な装飾が施された悪趣味な服に隠された強靭な肉体。まさに悪魔というような風貌だ。
「くそっ!なんであのニンゲンモドキが十傑に入れて俺様がダメなんだよ!俺様の方が強いだろうが!」
「イトマ様、おやめください!どうかお鎮まりください!」
近くにいた若い魔族の執事が止めに入る。
「チッ・・・レクターめ、気に入らねえ。私があいつの代わりに入れば権力・・・じゃない軍に利益をもたらすというのに・・・!」
この魔族は典型的な他者、特に人間を見下す傾向の強い魔族であった。自分という有能な人材を放っておいて元人間のレクターを十傑に入れているのが気にくわないのだろう。
「近いうちに痛い目を見せてやるからな」
波乱の予感がする。
わくどき登場人物紹介コーナー
ビッグジョー 隻眼の二つ名持ったおじいちゃん
イトマ よくいるかませ犬。名前の由来は悲しみの向こうへ行くアニメの男。Nice boat
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魔王 最強は素晴らしい 転生は眩しい 命を通貨とした物語への同化 何と素晴らしい それはきっと素晴らしいのだろう きっとそれは歓喜に違いない だが冗談じゃない 真っ平御免だね 俺のものは俺のものだ