第3話 王都の宿屋
とりあえず僕は毎日の日課である朝風呂に入ることにした。
うん、やっぱり朝風呂は入るとすっきりするし今日も頑張ろうって気分になるからいいね。
お風呂から上がるとアリスが朝食を作ってくれていた。
「おはようお兄ちゃん」
「おはようアリス」
「今日の朝ご飯は昨日のシチューの残りとサラダだよ」
「サラダって、材料はどうやって用意したんだ?」
「こんなこともあろうかと五日分ぐらいの野菜を保管しておいたの」
さすがアリスだ。こんなときのことも考えているなんて。
十分ほどするとテーブルにご飯が並んでいく。
やはりアリスの作る料理は美味しい。店出せるんじゃないかな。
ご飯を食べ終わって落ち着いたら王都へ行く話をしなくちゃ。
ご飯を食べ終え落ち着いたので今後のことについて話をすることにした。
「アリス、僕は王都へ行った方がいいと思うんだ」
「うん」
「王都なら安全だしなにかしら仕事はあるだろうからお金のことも大丈夫だと思うんだ。ここにいるとなにが起きるかわからないし」
するとアリスは特に躊躇った様子もなく
「わかった。私はお兄ちゃんについて行く」
と、あっさりオーケーの返事をもらった。
ということで王都へ行く事になった。
「やっと着いた~」
とアリスが叫ぶ。
王都へは二日かかった。
持ってきたのはお金とリュック、少量の食料でアリスはお守りにと二本の剣を持ってきている。
「思ってたより大きいな」
「そうだね。それに人も沢山いるよ」
「ああ」
見慣れない光景にアリスははしゃいでいる。僕もこんな光景は久しぶりなので少し興奮気味だ。
「で、これからどうするの?」
「そうだな、まずは宿屋を探さないと」
そう言って僕たちは歩き出す。
ない。宿屋が見つからない。
途中で近くの店の人に聞くと
「この道をまっすぐ行って七つ目の角を左に曲がって二つ目の角を右に曲がってその道の二十三つ目の角を左に曲がって五つ目の角を右に曲がってその次の角を右に曲がって十四つ目の角を左に曲がって(以下うんぬんかんぬん)」
迷路かよ。
アリスなんか「しゅくや~しゅく~や~どこですか~しゅ~く~や~」などと意味わかんないこと言い始めたし。
二時間かかってようやく宿屋についた。
宿屋の人に聞くと王都には宿屋が三つしかなくたどり着くのも一苦労、というのが普通らしい。
「とりあえず十日間泊まりたいのですが」
「3000ゴールドになりま~す。おや?彼女さんといっしょですか~。青春してますね~」
「いや、彼女じゃなくて妹なんですけどね」
「な~んだ、つまんね~の」
いやいや、なにが「つまんね~の」だよ。
とりあえずお金を払い部屋に案内された。
いたってシンプルな部屋で特に問題はないと思ったのだが、、、ベッドが一つしかない。
「すいません。もう一部屋空いてませんか?」
「すいませんね~、今ほかは空いてないんですよ」
「マジですか。どうやって寝よう」
「二人で寝ればいいじゃないですか~」
「でもなあ」
「私といっしょに寝るのは嫌ですか?」
うぐ。アリスが上目遣いで言ってきた。
「わかったよ、いっしょに寝ればいいんだろ」
ということで二人で寝ることになってしまった。アリスのあれには勝てないよ。
「それではごゆっくり~」
と店の人が出ていった。
ま、大丈夫か、と思い今日はゆっくり休むことにした。
僕が「いっしょに寝ればいいんだろ」と言ったときにアリスが小声で「やった」と言ったことが聞こえたのはのは黙っておくことにする。
寺宮ユーです。読んでくださりありがとうございました。
次回の投稿は水曜日以降だと思います。