08 定番ですヨ
2話目。
くそな国の召喚により謎な世界に連れて来られてしまったあたしは当然、異世界人な訳で。
この世界の事など、マルが小出しに教えてくれた事くらいしか知らない。あのロクデナシ共の説明はノーカンで。あれは最低限当然。つか足りな過ぎ。だからマイナス。
そんな異世界人なあたしは、これからどう生活していけばいいか分からない。魔力とか魔法なんかがある世界だから、元の世界の常識など通じる訳ないだろう。
という訳で。
ほれ、マル。どうすれば良いか説明!
……何か、渋々って感じでマルタブレット――通称マレットに決めた――があたしの前に現れ、文字がずらずら~っと……見にくいから箇条書きにでもしてよ。
は? 贅沢? 何言ってんの。当然の要求でしょうが。見にくい資料や計画書なんか、社会に出たら即没。書き直し決定なんだけど? ほら、早く。
……、……相当時間が掛かって、何とか見れる状態になった。
マル、あんた……まとめる能力、低過ぎ。
……何故か画面が暗くなったけど気にしない。んー……。
『現在地』
グゼナ国(召喚した国)とメルディ国(隣国)の国境線である山・アルト山のメルディ側の地。歩いて数時間の所にメルディの最西端の村カジスがある。
『生活』
まずは身分証明書が必要な為、冒険者になるのがお勧め。冒険者ギルドに行くべし。ギルドはどの町や村にでもある。
冒険者には、ある一定以上の魔力があれば誰でもなれる。冒険者の身分証は万国共通。
それ以外は、国に金を払って住民登録し、身分証を発行してもらうしかない。国から身分証を発行してもらうと他国に移住は不可能(グゼナ国民はご愁傷様)。
冒険者になって、魔物狩りや魔法研究、雑用、遺跡探索等々を遣って稼ぎ、生きて行く事が可能。定年無し。生涯現役なおじいちゃんおばあちゃん冒険者多数。
『法律等』
元の世界同様、罪さえ犯さなければかなり自由。
罪を犯した者には懸賞金が掛けられ、生死問わず捕まえ、ギルドに引き渡すと懸賞金が貰える。賞金稼ぎを生業としている冒険者もいる。
国民には納税の義務はあるが、安全な生活が保障されている。
冒険者に義務はない。その分、不安定な生活となる。全ては自己責任。
家を買って一カ所に定住する事も可能だが、国の身分証明を発行申請して発行されない限り、国民とは認められない。
『冒険者ギルド』
完全中立の独立国家的なもの。
国家と言っても国土は無い為、各国のスペースを借りてギルドを建て、冒険者達を管理・運営している。
スペースを借りる代わりに、討伐等に協力している。ただし、戦争は論外。決して巻き込まない事は最優先事項として契約書に書かれている。
契約に違反した場合、国家存亡レベルの危機に陥る――らしい。
……えっと……妙な毒があったり、曖昧な部分があったり……大丈夫か、これ?
でもまあ、何となく、分かった……かな?
取り敢えず、どっかの国に縛られたくなきゃ冒険者になれって事でオッケー? うん、そだね。
戦争なんか巻き込まれたくないもん。ダメって断言しているから少しは安心かな?
あ、ギルドに登録する冒険者に義務とかってあるの?
『冒険者』
誰にでも身分証を発行する代わりに、ギルドからの指名依頼、強制依頼は基本的に断れない。
ただし、指名依頼・強制依頼共に、力が伴わないと本人が申請、ギルドが認めた時のみ、断る事が可能。
指名、強制依頼の報酬はかなりおいしい。
……最後の説明、いる? 必要って断言してるよ。あんたどんだけがめついのマル。
それにしても……召喚から始まり、魔力、魔法、魔物、冒険者……外さず定番をいくねぇ……。
ん? ――それが『王道』です?
な・ん・でっ! 王道を踏襲しなきゃならないのっ!!
というか、異世界が異世界の王道を説くなっ!!!
――――はぁ……。
もうそろそろ、主人公の独り言が終わる、筈……。




