閑話 カレーなる舞台裏だ、ヨ?
前話が書き終わり、唐突に思い付いたバカ話。
本編に関係ない気もしますが、一応閑話扱いです。
「カレーですか……」
魔術神が苦笑しながら呟く。
リジーが夕食にカレーを選んだ理屈は今一分からないが、歴代の異世界人が似た様な事を遣ってきた為、どうしても苦笑は免れない。
ある種の様式美の様な物だと言っても、異世界ギャップ故に理解はされないだろう。
「カレー?」
「カレーか!」
「カレーですか?」
「カレーだなっ!」
魔術神の言葉を拾って張り切り出したのは時空神、技工神、資源神、農商工神。時空神の贈り物の中にある物で過不足なく作れるかの確認を始める。
「……余ったら、お供えしてくれるそうです」
『何!?』
『何だと!?』
『何ですって!?』
『――!?』
呆然とした魔術神の言葉に、その場に居る全神が驚愕の表情を見せる。
そして、次の瞬間には。
『よしっ!』
なぜか全神が張り切り出し、時空神の周囲に集った。
「その鍋の大きさではダメだろう。リジーは大丈夫かもしれんが、ネスフィルと赤竜王には少ない」
鍋の大きさにダメ出しする成長神。
「あらあら。野菜の切り方がバラバラではダメでしょう? 大きさは揃えないと、火の通りが悪いのではなかったかしら?」
野菜の切り方にダメ出しする幸運神。
「リジーは魔法を使って料理すると言っているのですから、魔力伝導率の良い素材で鍋を作るべきではないですか?」
鍋の素材にダメ出しする魔術神。
「おい! 肉の柔らかさを損ねるのは邪道だ! 筋にそって切れ!」
肉の切り方にダメ出しする闘神。
「……そう、じゃない。一口で、食べられるのが、良い」
それでは食べにくいとダメ出しする獣神。
「おい! 食器とかは丈夫なのにしておけよ。そうじゃねぇと、赤竜王が壊しちまう」
食器類にまでダメ出しする竜神。
「……」
他の神々の言葉にいちいち頷き、鋭い視線を投げ掛ける表裏神。
「分かってる。次はこれ――」
ダメ出しに返事しつつ、必要と思われる物を贈り物の中から取り出し、専門家――ならぬ専門神に手渡し加工を施してもらってから贈り物内に戻す時空神。
「お前等、細か過ぎだろう!」
文句は言いつつも、喜々として作業を進める技工神。
「魔力伝導率が良くて、保温効果もバッチリな素材は――」
ダメ出しの意見を取り入れつつ素材を吟味して持ってくる資源神。
「どーせだから、地上に存在する辛さとか隠し味とか全部揃えっか!」
楽しそうに、調味料他を集めて時空神に手渡しまくる農商工神。
こうして。
結果的にリジー曰く『過保護レーダー、凄過ぎ。そして、甘やかしの対応が早過ぎ』という事態になり。
お裾分けだと言って、時空神の贈り物の中に入れられた神々用の全9種あるカレーに歓喜し、味わいながら食して涙する。
そして、「自分達は間違っていなかった!」と謎の自信を付け、リジーの為に! と言って更なる贈り物を届けた。
「リジーが……『食材とかありがとう』と言ってます」
リジー、無自覚のダメ押し。
狂喜乱舞した神々の過保護具合がエスカレートするのは……自明の理だった。




