56 履歴ですヨ ※胸糞注意です
ポチリと拍手等、ありがとうございます。
※※※ 注意 ※※※
タイトルにあります通り、途中、胸糞が悪くなる表現があります。
注意喚起の為、その部分は『-------』と、点線で区切っています。
そういう表現を避けたい方は、点線の間を飛ばす様にして下さい。
大神殿に入って周囲を見渡していたかと思うと突然一点を見詰めて固まり、表情を変えた――赤くなっていたなんて認めない! ――あたしを心配したネス&神獣達は、あたしを抱えてとっとと大神殿を後にしたらしい。
いや、気付いたらギルドの部屋に居て、ネスやルベル、ブラウ、フォスに四方を囲まれ、心配そうに見られていたから、多分そうなんだろう。
あたしってば一体、どれだけ意識を飛ばしていたんだ……。
その後、直ぐにルームサービスな夕食が届けられ、なんとなく流れ的にみんなで一緒に食べ、食器類の回収も後で遣ってくれるらしいから、食べ終わった食器類を部屋の扉の前に置いておく。
くつろげる空間で食後のお茶を楽しんだ後は、妙に心配しまくる神獣達やネスを追い出し、あたしは漸く、自分の部屋でホッと一息吐いた。
「後はもう就寝時間まで暇だし……どうしよう?」
なんとなく独り言ちて、頭の中に遣る事リストを思い浮かべる。
現在の最優先は――。
ポンッと、大神殿での自分の言動が突然思い出される。
うぎゃーーーーーーっ!
なんで思い出すんだ、あたしのバカーーーーーーーーっ!!
枕に顔を埋め、ボスボスと叩く。伝わってくる振動で、自分自身が冷静じゃない事を痛感する。
「いやいやいや! 一応、世話にはなっているんだから、お礼を言うのは当然なんだよ、うん!」
だからあたしは間違ってない!
そうは思うが……。
「あんな羞恥プレイ、もう絶対やらない! 無理! あたしは過保護共に文句を言っている方が似合ってるっ!!」
うん、そうだ。絶対にその方があたしらしい!!
「ああもう! あの時の事はもういいから! なにか、遣らなきゃいけない事――っ!!」
頭の中から抹消したい記憶を追い出す為、必死にこれまでの事を思い出す。
「あ、そうだ。犯罪者共の罪状確認」
頭に浮かんだのは、全身に犯罪者の証が浮かび上がったメルディの国王の事。そういえば、どんな犯罪をやらかしていたのか全く知らないや。調べる手段があるんだから、確認してみよう。
ついでに、クズ元副隊長とか百貫デブ、小物デブ、捨て騎士に愚宰相の罪が書かれた物とかあるといいなぁ。
そんな訳で! ここで登場するのが神々から貰った『贈り物』。Come on! トキ!
あたしが「かなり使えそう」と思った、色んな事が書かれた紙束。実は斜め上な方向に神の力が作用したらしく、お供え物を準備した、及び準備する様に言った者が『どう用意したか』が記載されている。
それだけ? と思うなかれ。仮に『お供え物を残しておく』なら紙の束は残らない。残っている物こそが神に捧げられた物なのだから、『どう用意したか』等、関係ない。
つまり、『モノをそのまま残していかない』からこそ、紙の束が残っているのだ。『なぜ、お供えモノを残さないのか』とか、そういった情報すら含まれているから、この世界の神の力って恐ろしいものだなと初めて思った。
ざっと読んだ限りだけど、脱税とか恐喝とか……正しく『犯罪の履歴』。しかも、いつ・どこで・誰が・なにを・どうする(どうした)・なぜ? の、いわゆる5W1Hがバッチリ書かれている。
例えば。
『贈り物
▽メルディ国
▽貴族
・ペーテンジィ・ディ・メルディ
・ホティーミン・トゥ・メロディニア
・ゲドウィン・ゴーナー
・ライアー・バーター etc.
▽平民
・リックン etc.
▽グゼナ国 etc.』
……やばい。
……あたし……あの国王とかの名前、知らない……。
『この国の国王はペーテンジィ・ディ・メルディです』
――へ? ……あれ? マル……いたの?
『いました』
……いつから?
『最初からです』
……そう……。
『リジーがじたば――』
やかましい! あたしは何も聞いてないっ! 余計な事は言わなくてよろしいっ!!
『……』
それより、国王の名前はペーテンジィ。一番上。
『基本的に貴族は階級順に並んでいます』
なるほど……2番目の『メロディニア』は? 王家筋とかそんなの?
『そうです。国にある都市で最も上位に位置するのが王都。その為、王族公爵が王都名を家名とする事が出来ます。ホティーミンは王弟で、現在の公爵家当主です』
そう……兄弟揃って何かしら罪を犯している、と……。
まあ、他に王族らしき名前がここにないのがせめてもの救いかな?
さて。
気を取り直してペーテンジィがなにをやったか確認してみると……。
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『ゲドウィン・ゴーナー宰相と共に公金を着服し、脱出不可能な屋敷を建て人を閉じ込めている』
『貴族や平民、男女に関係なく、気に入った者は無理矢理誘拐し屋敷に監禁、手籠めにしている』
『連れ去った者の家族や親しき者等、濡れ衣を着せて財産を取り上げた挙げ句、辺境へ追放し口封じ。もしくは権力を全て取り上げ、奴隷の如く働かせ使い捨てる』
『誘拐、濡れ衣、口封じ等はゲドウィンやライアー・バーター近衛隊長に遣らせ、褒美として連れて来てある程度が経ち厭きてきた者等を貸し与える』
…………。
すっごく、胸糞が悪い……。
これが、国王……。
クズ国のクズ王族やクズ貴族の方がマシな気がしてくるから不思議だ。
共犯者として書かれている『ゲドウィン・ゴーナー』はあの愚宰相で、『ライアー・バーター』は捨て騎士の様だ。
ゲドウィンは国王と同じ様に、こちらは平民限定だけど拉致監禁の上、強姦。完全に精神が壊れた場合、拐った場所に捨て、た……。
ライアーも同じ穴の狢。こちらは、壊れたら、……試し切りの上、魔物の餌……。
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ああ…………。
何デ、コンナノガ、存在スル……。
気持ち悪い……。
『リジー。表裏神が、犯罪者に更なる罰を追加しました』
……え?
『犯罪者は、自分が犯した罪によって被害を受けた者達の経験を夢で追体験し続けます』
……。
『加害者は、犯罪者自身が最も屈辱を感じる存在――つまりペーテンジィの場合、下に見てやりたい放題していた被害者が加害者となります』
……それはそれで気分悪いんだけど……。
『では、どうすれば?』
夢の加害者も、自分自身でいいんじゃない?
『そうですか?』
うん。どれほど醜悪か……気付かないかもしれないけどね。
被害者を、例え夢とはいえ、貶める様な事は、しないで欲しい。
『……。――表裏神が、その様にすると伝言してきました。これより先、犯罪者は眠っていても安息を得る事は不可能になります』
……。
寿命がくるまで、決して死ぬ事は出来ず。
起きている時は、全てを己自身で失った事を見せ付けるかの様な強制労働。
眠っている時は、己の罪を延々と追体験。
これで、自分がどんなに酷い事をやったのか、分かるだろうか?
被害者が、どれ程苦しんだか、少しでも分かるだろうか?
被害者の家族や親しい人の終わらない嘆きに、少しでも気付けるだろうか?
浮かんでくる『反省してます』や『後悔しています』の言葉がどれ程軽いか、少しは分かるだろうか?
分からない。分からないけど……。
少しでも、こんな犯罪が減る事を、願う。
『リジー……』
……この犯罪履歴は、犯罪の証拠にはならないけれど、捜査の足掛かりには十分、なるだろう。
このまま、モンド隊長にでも渡せば、役立ててくれるかな?
『それでしたら、リジーが直接渡すのではなく、ゴーレム執事かゴーレムメイドに、おつかいを頼んではどうでしょうか?』
ん? どうして?
『現在モンド隊長は王城の詰所に滞在しています。リジーが行くのは、面倒な者が出てこないとも限りませんので、得策ではありません』
確かに。
『その点、ゴーレムなら、問題ありません。例え話をしようとも、モンド隊長ならばリジーが作ったゴーレムだからで納得して終わりです』
うn――ん??
ゴーレムが、話す?
『話します。今テント内で活動しているゴーレム達は全員、話す事が出来ます』
はっ!? いつの間にっ!?
『最近の様です。どうもリジーと共にあると、ゴーレムでも成長する様です』
ちょっと待て! それっておかしいよねっ!!?
『おかしいですが、リジーですので』
あんたまでそれで納得するなーーーーーーーっ!!!
『……リジーですので、本当に、なんでもありだと思います』
だから! なんでもかんでも! それで済ませるんじゃないっ!!!




