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51 失礼だヨ

ポチリと拍手等、ありがとうございます。

「お、お待たせしたっす……」


 ドタドタと消えてから結構経ち、グーリアスがギルド長室に戻ってきた。

 で……戻ってきた途端に俯き溜め息って……なぜか妙にぐったりしてない? 何をやったのやら。


「――って、何してるんすかっ!?」


 長い溜め息を吐き終わり、顔を上げたグーリアスが大口を開ける。

 何って、見た通り。


「お茶を飲んでる」


 そう。余りにも戻ってくるのが遅いものだから、トキの中にあった神の贈り物(?)なお茶やお菓子を出して全員で飲み食いしていたのだ。

 無駄にデカいソファの中央にあたしが座り、隣はネスとフォス。ネスの隣にルベルが、フォスの隣にブラウ。この革張り幅広ソファ、あたし達5人が並んで座っても余裕な大きさだったりする。なんでこんなソファをこの部屋に詰め込んでいるのか謎だ。

 ちなみに、お茶は緑茶でお菓子は饅頭擬き。カジス村でモンド隊長に緑茶を出された時にあたしが緑茶を喜んだからと神々が豊富に取り揃えてくれた。付け合わせの饅頭――和菓子擬きも、あたしが喜ぶと思ったから色々と取り揃えてみたらしい。まあ、馴染み深い物だし、実際嬉しいからありがたく貰っておく。

 意外だが、この緑茶と饅頭擬きの和セットをブラウがとても気に入り、尻尾をパタパタさせながらお代わりを何度もねだってきた。……消費する度に増えている気がするから、好きなだけ食べていいよ。

 ああ、そうだ。このお茶とかは食品の中でその他に分類されていた。なんか違和感があったので、中分類を『嗜好品』、小分類を『飲料』や『お茶請け』の其々和洋中他なんかに分けてみた。ただ、食べ物も飲み物も和が圧倒的に少ないのが残念である。以前の召喚された人達にもう少し頑張ってもらいたかった。


「なんでお茶……」

「暇だったから」


 あたしの返答に、ネスと神獣達が一斉に頷く。うん。理由なんてこれ一択だよね。

 実際は、ここにテントを出して中で其々の趣味に没頭する訳にもいかなかったから、暇潰しがお茶になっただけなんだけど。そんな事をぶっちゃける訳にはいかないからねー。


 あたし達をかなり待たせた自覚はあるのか、グーリアスは「も、いっす」と呟き事務デスクに近付くと、おもむろにベルを鳴らした。そのハンドベル、どこから……というか、何の為に?

 意味が分からずグーリアスを眺めていると、ダミー棚がオーロラの様に揺らめき、パッと消えた。消えた場所には、今度は本物だろう棚のど真ん中に扉。あ、これがギルド直通の扉なのかな? あのダミーはこれを隠していたって事か。

 で。その扉が開き、美女が入ってきましたよ。


 金色の長い髪をゆるっと三つ編みでまとめ肩から垂らし、エメラルドグリーンの瞳は知性を秘め穏やか。色が白い為、桜色の唇が際立つ。

 動きやすさ重視の簡素な服はすらっとした体型と長い手足をぴったりと覆っている。その為、プロポーションがはっきり見え……あー……ちょっと残念だけど、それを一気に凌駕するのが耳。長く尖っている。

 そうつまりは! 物語定番のエルフきたーーーーーっ!!


『彼女はエルフで間違いありません』


 マルのお墨付き、頂きましたっ! この世界でもエルフはエルフというらしい。

 うんうん、本物だよ本物! エルフは美人が多いってのがあたし的に定番だけど、その期待を裏切らない美人!

 顔はイイけど男しかいない仲間。そこに、この人じゃないだろうけど、綺麗どころが入りそうな気がしない? 何と言うか、美人は別腹? 別格? 幸先良いとか思えちゃう。

 もう、思考がオヤジっぽいけど気にしちゃいられない。もふもふに囲まれているのも至福だけど、せめて1人は女性の仲間が欲しい。性別女性と限定して召喚獣を呼ぼうかと考えるくらいには本気だったりする。


 マップをチラッと見る。あ、この美人エルフが青緑中丸だ。

 グーリアスの反応とかを見る限り、青緑は『味方』という分類になるのかな? 多分だけど、余程の事がない限り『敵』に回る事はないと思われる。


 美人エルフはソファにずらっと並んで座っているあたし達やテーブルに乗っているお茶等を見て一瞬固まり、グーリアスを見て、あたし達を見て、納得した様に頷きこちらに近付いてきた。


「リジー様ですね? お待たせして申し訳ありません。このメルディ国冒険者ギルドの副ギルド長を務めますハイディアと申します。初めまして、宜しくお願いします」

「初めまして、宜しくお願いします」


 うん、こちらも普通に友好的かつソツがない感じ? グーリアスの言っていた「敏腕職員」は彼女の事ではないかと思う。


「…………」


 ……なんか、周囲から妙な視線を感じる。

 左右を見ると、神獣達がみんなポカンとあたしを見ていた。何よ。


「リジー……丁寧に話せたのですね……」


 おい。フォスの言葉に一斉に頷かない。


『……びっくりです』


 マルまで!? あんた、あたしが丁寧に話しているの、どっかで絶対に聞いてるよねっ!!?


「必要そうなら、あたしだってそれなりな態度くらいするっての」

「見た事も聞いた事もなかったので、驚きました」

『全くです』

「普通に失礼なんだけど!?」


 隣に座るフォスの額を軽くコツンと拳骨で叩く。

 フォスは額を抑え、目を真ん丸に見開いた。


「表裏神様にも叩かれた事ないのですが……」


 は!? ちょっと表裏神! フォスをちゃんと教育的指導して!?


『教育はリジーに任せますと速攻で伝言がありました』


 丸投げ!? ここで丸投げするかっ!?


『獣神や竜神もお願いすると言っています』


 便乗した!?


『今後、リジーが神獣を召喚した場合の教育は任せると、全ての神が言っています』


 ちょっとっ!!?


『リジーと共に、地上界の勉強をして欲しいと言っています』

「……」


 あたしはこめかみを揉みつつ溜め息を落とす。教育ってそう言う事ね……。

 まあ、あたしも知らなきゃいけない事がたくさんあるから、一緒に学ぶのはやぶさかではないけど……。


『やぶさかで……?』


 言葉のニュアンスで意味を察して!


 あたしはもう一度息を吐き出し、フォス、ブラウ、ルベルを見、フォスに視線を戻す。


「残念だね。あたしは神達みたいに甘くないから、必要なら引っ叩くよ?」

「うむ。ワシも殴り飛ばされたからのぉ……」


 そこっ! 遠い目をしない!!


「……赤竜を、殴り飛ばしたのですか?」

「うむ。ワシ、地面に叩き付けられて目を回したのじゃ」

「……どんだけバカ力なんだよ」

「身体強化魔法使ってたんだから当然でしょ!」

「いえ。それでも、普通の人間には竜を地面に叩き付ける等、不可能ですよ」

「あんた達ねぇ……」


 唖然とする神獣達を睨む。


「あたしが魔法を使って出来ない事があるとでも!?」

「あ、なるほど」

「納得しました」

「うむ。リジーなら何でも出来るのぉ」


 そこで納得しないでよ……。


「あ、あの~」


 控えめに声を掛けられ正面を向く。

 そこには、顔色の悪いグーリアスと、困惑顔のハイディアがいた。


「お話を進めても宜しいでしょうか?」

「あ、ごめん」


 気になる事があるとそっちに意識がいってしまい、他の事を忘れるのはあたしの悪い癖だね。

 この世界に来てからそんな事が多いから気を付けないと。


 あたしは後から神獣達とはしっかり話し合おうと決め、まずは冒険者登録を済ませてしまおうと、グーリアス達に向き直った。

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