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44 平和だヨ

ポチリと拍手等、ありがとうございます。

 ルチタンを出発してから王都までの道程は平和だった。

 グズ国を出てからルチタンを過ぎるまでの5日間はなんだったんだと言いたいくらい何もない。崖から落ちる事もなければ、犯罪者と絡む事もない。


 まあ、そんな道行きでも、あたしはのんびりしている訳にはいかない。召喚しちゃった青虎と麒麟の仮契約からの本契約を結ばないと。ちなみにルベルはルチタンに滞在していた3日の間に契約更新が完了した。随分掛かったなぁ……。

 で、青虎と麒麟の名前なんだけど……ネーミングセンスのないあたしから名前なんてホイホイ出てくる訳もない為悩みに悩んでいたら、呆れた麒麟と飽きた青虎が時間が勿体ないから血の契約を先に遣ってしまおうと提案してきた。

 そっちを先にしても平気なのかと思ったけど大丈夫という事なので血の交換をし――3日後。血の契約は終わったのに名前は思い浮かばず……。

 面倒になったから、青虎と麒麟に人化してもらい、その姿を見て直感で決める事にした。


 晴れた日の青空の様な青く短いツンツンヘアに黒メッシュ(縞模様の名残?)が入り、金色のタイガーアイを持つ、想像通りワイルド系マッチョな青虎は『ブラウ』。服装は……ちゃんと着ろよと言いたい青い胴着に編み上げっぽいブーツ? 踵はぺったんこだけどね。まあ、筋肉好きにはおいしいのかも?

 腰まであるストレートの淡い金髪、光の加減等で七色に輝く遊色の瞳を持つ、男か女か判断つかない中性的な線の細い魔導士系な麒麟は『フォス』。服装は、オーソドックスな白いローブに茶系のマント、これまた真っ白なロングブーツ。マント以外は体にフィットしており、線の細さがバッチリ分かる。

 この2人はルベルと違って普通に成人した姿だった。良かった……手間の掛かるショタは1人で十分だよ。

 名付けのセンスについては何も言わないで欲しい。見た目が外国人だからと、名前も横文字で付けた。出来れば覚えやすく簡単な物という事で、どうしても2、3文字が限界。名前の由来? 適当だよ悪いか。聞くな!


『何も聞いてませんが……』


 ちなみに、フォスの性別を聞いてみたけど、表裏神自体が男も女も司っている為、その眷属であるフォスは、どちらでもあり、どちらでもないとの事。だけど、召喚等で主を得た場合はバランスを取る為に逆の性別――今回の場合、あたしが女だからフォスは男になるらしい。意味不明。

 結局、「男でいいんだよね?」と確認したら、ルベル、ブラウ、フォスが揃って頷いた。なんだこれ……召喚魔法って、逆の性別を呼び寄せるの?

 そんな法則はないってマルが言うから偶然だろうけど……現状、男しか周りに居ないから可愛い女の子プリーズ。これ、フラグにしちゃっていいから。

 まあそれはいいとして。ブラウとフォスの情報はコレ。


『看破結果』

 ブラウ 年齢不詳 青虎 獣神の眷属、使い リジーの契約神獣

 魔力量・白・計測不能 魔法を使う存在としては特の上レベル

 獣神の天恵 独身 獣神の補佐をしている為、書類仕事から力仕事までなんでもこなせる

 体の大きさを変更可能、人の姿に変身可能

 風系の魔法が得意だが、万遍なく使用できる

 書類仕事もできるが、体を動かす方が好きで、趣味は運動。リジーを守る為に日々鍛えている。雄である


 フォス 年齢不詳 麒麟 表裏神の眷属、使い リジーの契約神獣

 魔力量・白・計測不能 魔法を使う存在としては特の上レベル

 表裏神の天恵 独身 表裏神が司るものの中で、特に善悪の判断をする事が多いが、本来は平和主義

 体の大きさを変更可能、人の姿に変身可能、本来性別は存在しない

 これといった得意属性はないが、万遍なく使用できる

 断罪も担当しているが、本来ならやりたくない。だが、表裏神の不遇具合を知っている為、表裏神を傷付ける様な行いに対してはかなり怒りやすい。現在は、リジーを蔑ろにする行為に対しても簡単に怒る。今の性別は雄


 なんというか、青いのに風系が得意とか、加護じゃなくて天恵ってなんだよとか、神に引き摺られて眷属も過保護かよとか、性別表記までするかとか、色々ツッコミどころが満載である。

 年齢不詳なのは神獣だから。あと、魔力量はあたしと契約した事によりアップしたとブラウが喜んでいた。契約する前の色を聞いたら白だったから、対外的には分からない。フォスが言うには、神獣の中では最低だったらしい。

 最低でも白……。うん、やっぱ神獣だね。チートだわ。


 で。この神獣2体に引き摺られたのか、ルベルが困った事になった。


『看破結果』

 ルベル 2512歳 総竜王(赤竜王) リジーの契約神獣

 魔力量・白・計測不能 魔法を使う存在としては特の上レベル

 竜神の天恵 独身 赤竜の中で最上位に位置する絶対的な王であり、リジーとの契約により全ての竜の王『総竜王』となる。赤竜王も兼任している

 体の大きさを変更可能、人の姿に変身可能

 火系の魔法が得意だが、万遍なく使用できる

 だらだらと生きるしかない長い年月にあきあきしていた所でリジーと出会い、召喚獣の契約をし、至高の存在である総竜王となった。リジーに全力で懐いている。雄である。


 いつの間に総竜王になってんのよ……しかも赤竜王兼任って……。

 それから、総竜王になったからには成長すると思うんだけど? それなのに、なんでいまだショタジジイなの……どうなってんのこれは。

 ルベル的には子供の姿の方が都合が良いから問題ないらしい。都合が良い……?


 まあそんな訳で、あたしは神獣3体と契約している前代未聞な存在となりましたとさ。ちゃんちゃん。

 ……ネスはそれを知って「凄いな」で済み、モンド隊長達は「リジー殿ですから」で終わった。それでいいのか。


 そしてそして。

 ルベルだけだった時ならまだしも、流石にブラウやフォスが加わった状態で野宿の時、ネスに任せるのも悪い為、あたしのテントは特別製だからと、ネスを含めた4人を中に入れた。

 内部を見て唖然としている4人を奥に押し込み、其々に部屋を割り当てる。ちなみに……彼等の部屋の前に歩哨は立たなかった。


 テントの部屋の中――変な言い回し――は、個人が過ごしやすい、くつろぎやすい空間が演出されている様だ。

 ネスの場合、何もない空間が広がっていた。ネスは物に執着しない性質らしく、こういうさっぱりした空間がいいとの事。ただ、なんかあたしが寂しかったから、せめてと思って大きめサイズのふわふわクッションを作りプレゼントしたら大喜びし、部屋に居る時はずっと使っているらしい。

 偶然ネスの部屋を訪れた時、クッションに埋もれて寝ているユキヒョウ姿のネスを見掛けた。ちょっと可愛かった。モフりたい欲望を抑えるのは大変だったよ……。


 ルベルの部屋は……開けた途端、閉めた。取り敢えず、あたしは火山噴火している部屋になんて入りたくない! 何でテントの中で火山噴火して諸々無事なのかは知らんが、危険地帯に入りたいと思うバカがいるか! そう言ったらルベルは落ち込み、火山地帯の一角、出入り口のドア付近に洞窟部屋ができあがっていた。これであたしを招けるとドヤ顔で言っていたルベルを思わず撫でた。

 ついでに、マグマに物は隠すな違う場所にしろと指導しておいた。なぜと聞かれたから、あんたの攻撃と同じで消し炭になるからと答えたが分からず……。仮にあたしが何かプレゼントしてもそこにしまったら消えるだけだと言ったら二度と入れないと宣言した。まあ、何が理由かは分からないけど、理解したならいいかと思っておく。


 ブラウの部屋はなんというか、ジャングル? 部屋の中を川が流れ、気候的には熱帯だと思われる。ここで延々と泳いだり、木を殴ったりとトレーニングっぽい事をしているようだ。折れた木は翌日には修復されると大喜びで報告してきた。あんまりにも無邪気だったから、つい、こちらも撫でてしまった。

 ついでに、どうせだからと鍛錬エリアに連れて行き、好きに使っていいと言っておいた。中は……普通に使えるであろう空間と、変化に富んだ地形とがあり、バラエティ豊かな鍛錬ができそうだ。

 鍛錬好きなブラウは、自分の部屋より鍛錬エリアに居る事が多い。……ちゃんと休むように言ったけど、守れていないようだ。時々、ゴーレム執事やメイド達が気を失っているブラウを引き摺っているのを見掛ける。


 フォスの部屋は――うん、普通。普通に人間の住んでいる部屋って感じ。まあ、性格なのか機能性重視ではあるけど、あたし的にはこういう部屋の方がいい。この部屋でフォスとまったりお茶しつつ、あれこれ話すようになった。

 フォスは鍛錬より、何かを作る方が好きとの事。どうも、技工神の眷属と仲が良いらしく、色々作るのを見ているうちに興味を持ったみたい。どうせだからと錬金エリアに連れて行き、こちらも好きに使っていいよと言っておいた。

 なぜか揃っていた物作り関連の書物を読みながら、喜々として色々作っているみたい。武具と同じ場所に保管するのも何だからと、予備エリアをアイテム系の製品置き場――倉庫にしたら、薬とか魔道具とか増えていた。いつの間にか棚が作られ、そこに種類ごと並べられている。見やすくて良いね。

 研究バカっぽくなってしまったフォスも、自分の部屋より錬金エリアに居る時間が増えた。こちらにもちゃんと休むように言ったら、分かりましたと言い、きちんと休憩をとっている様だ。性格の差が出るね。


 それにしても、テントの中が随分と個性的になったなぁ……。

 余りにも広いものだから、フォスと一緒に移動手段を考え、自室からどこかに行く時用に自分の魔力をエネルギー源としたスノボ? スケボ? みたいなものを作ってみた。それなりのスピードで滑る様に飛ぶし、あたしや神獣達を基準にしちゃいけないと、省エネタイプで作ったから魔力の少ないネスも安心して使える。

 念の為、ゴーレム達にも作ってあげたらとても喜ばれた。……あれ? 喜ぶ??

 ああそうだ。一応、其々にゴーレム執事とメイドが数人付いている。色々な耐性持ち――ルベルの場合、熱耐性ないとヤバいし――な為、部屋の掃除なんかも遣っているみたい。

 しかもゴーレムだから力持ち。ある意味、ブラウが物凄く世話になっている。


 旅する時の移動手段だけど、ブラウとフォスも乗り物化オッケーらしい。ルベルに対抗して、自分に乗れと言ってきた。

 全員、空を飛べちゃうものだから機動力は天下一品。其々の神が過保護を爆発させ、あたしが乗れる様にとルベルの時みたいな鞍一式が交替で装着される様になった。そう交替。乗るのは日替わりの為、鞍の出現もローテーション化してる。みんな、手触りも乗り心地も違うので結構面白い。

 ちなみに、その日の当番じゃない神獣は小型化し、あたしの周りを飛び回っている。まあ、ルベルの時は一緒に座ってたりするけどね。


 そんな旅路の間に、あたしは犯罪者に関するある提案をモンド隊長にしていた。

 一考の余地はあると、モンド隊長は辿り着いた町からその提案を本部にし、本部から他の町の支部へ意見伺いされ、数日後には国の上層部での会議を経て、提案の採用が決定されていた。素早い。

 この提案にはフォスが大乗り気で、表裏神にツライ思いをさせた存在に天罰を与えてやると、本当に平和主義なのかと疑問になるくらい息巻いている。まあ、神思いだという事で気にしないキニシナイ……。


 提案に関する下準備は、行く先々にある町でしっかり行う。

 フォスと一緒にそれ用の魔道具を作り――簡単に作れた。神の加護マジ便利――、使い方を説明し、受領書を貰う。

 この魔道具に関しては、王都に行って冒険者ギルドに登録したら指名依頼として処理する手はずが整えられている。その為の受領書だ。これを元に依頼完了の処理を行う。あたし、登録前から指名依頼がいっぱいだねー。

 あたしが通らない町や村なんかは、王都で魔道具を納品した後、使用説明をする者と共に各地に配られる事になっている。カジスとルチタンについては、モンド隊長が戻る時に持参し、説明する事で落ち着いている。

 この提案……真っ先に賛成したのはルチタンのサージット隊長だったらしい。まあ、あたしの遣った事を見て、実体験して、その有用性を知っているからこそかもしれない。馬鹿共の被害を被ったからというのも理由だろうけどね。


 そして……まずは自分達の国で実験的に導入はするが、いずれは世界中の国々にこの提案を広めたいと言われている。

 そこまで有用かどうかは分からないけど、構わないと答えておいた。マルにもオッケー貰えたから大丈夫……犯罪者だから気にするなと神々が言ったらしい。本当に大丈夫か~? 前科――看破魔法の事――があるから心配だ。

 魔道具については、ギルドを通して指名依頼されるだろうから、なるべくたくさん受けて欲しいとお願いされている。それはあたしの作業速度次第でしょ。


 まあ、そんなちょっとした裏工作(?)をしつつも護送の旅路は順調に進む。

 ああ……魔物なんかはゴーレム馬と神獣達があっさり消しちゃうから止まる必要もなかった。ゴーレム馬が引っ張る内部から悲鳴っぽいのが最初は聞こえたけど、防音(反射付き)を付与したから問題ない問題ない。周辺に居た兵士達も慣れたもので、ゴーレム馬達の邪魔にならない場所を移動する様になった。それで良いのか(笑)

 魔物討伐(?)の最中、ルベルがとんでもなく魔力操作が下手だと発覚した。フォスが絶句し、ブラウがこれと同じ神獣は嫌だと本気で嫌がるレベル。そうか。あの消し炭は、魔力操作が苦手だった所為なんだ……。

 とにかくこりゃまずいと、強制的に訓練開始。半泣きのルベルなど気にせず、あたし、フォス、ブラウでスパルタ教育。王都に到着するまでの間に、フォスが絶句レベルから沈黙レベルまでにはなった。これ以上は気長にやるしかない――ただしスパルタ――という事で、一応は落ち着いた。

 野宿は万能結界を張るから、みんなのんびり休め、大変なのはずっと馬――あたしの場合は神獣達だけど――に乗りっぱなしって事だけ。いつもこんなに楽ならいいのにとモンド隊長や兵士達が愚痴っていた。ご苦労様。


 そうして約1カ月後。

 順調に進み過ぎた結果、予定より早くメルディ国の王都・メロディニアにたどり着いた。

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