35 ある種のテンプレですヨ
ポチリと拍手等、ありがとうございます。
若干疲れを感じながらチラッと先を見る。
うん。ルチタンの町はまだ遠い。
こういう護送の最中なんかだと、罪人と普通の人達を一緒にする訳ないから、あのずら~っと人が並んでいる普通の門じゃなくて、別の所に移動してから入町する事になるだろう。測定器で懲罰なんかを調べる時間を差し引いても、結構あっさりと町に入れる筈だ。
じゃあその前に、あたしのツッコミどころ満載な偽情報の謎を解明してしまおう。
ちなみに、隠匿魔法はちゃんと使っている。オール隠しだけど。
さてさて。続いて気になるのは……なに、その魔力量10101って。面倒だからってそれはないでしょう。
『計測上限が現時点で1万です。それより多いけれど、多すぎない数字という事でそれになりました』
いや、だから、どうして10101? へのへのもへじみたいで微妙なんだけど。
『へのへのもへじ?』
あ、そうか、通じない……。
うがーーーっ! こんな所でも異世界ギャップ? がっ!!
って、違う違う。これ、平仮名がある日本しか通じない!? ……あれ? そんな事言ってたら、ほとんどのジェネレーションギャップは……。
……うん。
もう、この異世界ギャップについてはツッコミはやめよう! ツッコミ入れてたらキリがないしね。うんうん。
だから、それは置いといて……。
『意味を……』
うーん……(ガン無視)その『加護不明』ってやめない? その書き方だと、加護ありますよ~って宣伝してるよね?
『……問題ありません』
なんで?
『この世界で加護を持たないモノは、全て加護不明です』
――は?
『技工神の様に、後から加護を付与する神も存在します。その為、未来において加護が付与される可能性が極々わずかでもある事から、全て加護不明で表示されます』
……ある種、すっごいご都合主義だね……。
ん? あれ? 鑑定魔法だと、『加護なし』って出るよね? あれは?
『鑑定魔法は現在の結果しか出ません。未来の事など、何も考えてません』
なんで魔法すらもディスるの!?
『意味はありません』
マル……あんた、魔術神に恨みでもあるの?
『ありません』
じゃあ、鑑定魔法を創った存在に恨みでも?
『……』
あ、図星っぽい。誰だ。マルにディスられる様なアホな事やった奴は。
もしかして、召喚されてきた誰か?
『…………』
……うん、詮索しちゃいけない気がしてきた。
ここに誰もいなくて、マレットが沈黙しているだけなのに、妙な寒気が……。
き、気を取り直して!
微妙な魔法があったり、妙な所でご都合主義だったりと、なんというか……ああ、異世界だなぁとしみじみ思う。
神が過保護なのは――って、そういえば、よくよく考えてみれば過保護も異世界定番?
異世界召喚系も転生系も、召喚中や転生前なんかに出会った神は主人公にチートあげたりして、スタートは過保護だよね? それ以降も、直接は関われないとか言いつつも見守ったりとかして、何かあればちょろっと手を出したり?
え? 神の過保護ってテンプレ!?
あ、でも。それって最初に出会ったらだよね? 気付いたらあの空間にいたあたしとは会ってもいないのに、こんな過保護って要らないよね?
マル。やっぱこの世界の神っておかしい。
『……それがこの世界では当然なのでおかしくはありません』
あ、そっか……それがこの世界の常識なら、あたしの世界の常識を当て嵌めるのは間違いか。
でもなぁ……タッグまで組んで加護を付与した対象を甘やかすってやりすぎじゃない? これってありなの?
『……これまでは、複数の加護を付与された対象が存在しなかった為なしでしたが、今はリジーがいますのでありです』
ちょっ、え? 過保護対象、あたしだけ!? あたしだけなのっ!!?
だから分散されず、激甘なの!? いや、あんたら、あたしの事を気に掛けないで自分の仕事しろよ! 叶えられずとも、願いを聞くくらいはできるんでしょ!?
『利己的な願いばかりでうんざりしていた様です。そんなのを聞くより、加護を通して関われるリジーの方が大切です』
利己的とかうんざりとかそんなのとか言っちゃう? 言っちゃうの!?
中には普通に他人の幸せ願います~的な事を祈ってるのもいるんじゃないの!?
『……いまだかつて、そのような願いを大神殿にて祈った者はいません』
ええええっ!? って事は、この世界の住人って、あのクズ共と大差ない!?
『いいえ。ネスフィルの様な存在もいますので、安心して下さい』
あ、そっか。ネスがいた。ネスは……スキンシップ好きの多分天然? だから大丈夫か。
『……。大神殿があるのは其々の国の首都です。地方にいる善良な一般市民はなかなか行けません。その為、大神殿にて祈るのは……』
ああ、権力者みたいな奴等か。
『はい。しかも、大神殿にいる神官達の上層部は俗物ばかりです』
あ~……つまり、金を積まないと祈れない、と。
『はい。大神殿の入り口の広間にも簡易な神像と祭壇があり、そこまでは一般人でも入れはしますが、本格的に祈りを捧げる祈りの間へは一定以上の金銭を積まないと入る事が出来ません』
ダメダメじゃないか! まあ、異世界あるあるかもしれないけどさ……。
ん? あれ? じゃあ、大神殿以外の神々の像でも、祈りの言葉を届けられる様にすればいいんじゃないの?
『その力がある神々の像が大神殿の祈りの間以外にはありません』
んんん? 力のある神々の像?
『魔力の宿った石で創られた像です』
……魔力が宿ってないとダメなの?
『ないよりあった方が声が届きやすいです』
その『魔力が宿った物』は石じゃないとダメなの?
『いいえ。しかし、像と言ったら石ですよね?』
あ~……なるほど。固定観念にとらわれて、柔軟な発想ができなくなってるんだ。
『どういう事でしょう?』
うん。像を作るのってさ。別に、石じゃなくてもできるよね?
『石でしかできませんよね?』
いやいやいや。木を彫っても作れるよね?
『……言われてみれば、確かにできますね』
この世界の木って、魔力は宿ってないの?
『いいえ。宿っています。しかも、石より多いです』
おお! 石より多いなら丁度いいじゃない。
大きさを問わず、魔力の宿った木を彫って作った神の像でも祈りが届くようにしたら?
あ、ただし、『心を込めて彫った物』であり、『祈る方にも真摯な態度が必要』って事にしておく方がいいかも?
『それで何か変わりますか?』
変わるかどうかは分かんないけど、神殿に行かなきゃいけなかった神への祈りが家でできるようになれば、普通の人達が祈りやすくなるんじゃない?
そして、真摯な態度ってしておけば、利己的な祈りが届く事も減るんじゃないの? まあ中には、自分の為に真摯に祈るバカもいるだろうけど……。
『なるほど。提案してみます』
は?
『即決です。心を込めて作られた神々の像に対し、真摯な態度で祈った場合のみ、言葉が届く様になりました』
早っ! てか、既になった!?
『なりました。お蔭で利己的な願いが届かなくなったと神々が喜んでいます』
あ、そう……。
お手軽過ぎないか、神?
『提案のお礼に、神々が様々なモノを時空神の贈り物の中に詰め込みました。後程、確認して下さい』
はっ!? そんなもの要らんわっ! この程度で贈り物って、神がチョロ過ぎないか!?
というより、なんでそんなに色んなモノを送って寄越せるの!!
『邪魔だからと放置されていた神への貢ぎ物もありますし、己が司っているモノの為、自力取得が可能な物等、様々なモノが其々の神の倉庫にはあります』
貢ぎ物を放置!? それを寄越す!?
『神にとっては邪魔な物なので有効活用して下さい』
神が邪魔なら、あたしにだって邪魔でしょうがっ!!
『神々の総意です。返品不可です』
はあ!?
え、この世界の神って、過保護な上に、予想より性格が悪い?
え? だからこの世界のヘルプって、あたし以上に性格悪いの!? 口悪いのっ!!?
『リジーの性格は悪いのでしょうか?』
――――っ!!?
いや、まあ、確かに? この世界に来てからのあたし、普段はツッコミばかり入れてる気がするよ?
でもさぁ……所々であたし、自分優先な発言してるけど? ばれなきゃイイってか、ばれない様に結構やりたい放題だけど?
あれ? これって性格悪いよね? 人の事より自分大事だし――ん? あたしってばなんでこんな事を確認しなくちゃならないの? あっれ~?
『……神の設定の確認はもうよろしいですか?』
あ……魔法において名人レベルって……。
『赤竜王に育てられたので、人の世では既に失われた魔法すらも知っている設定です。なので、普通の人間のはるか上、名人レベルです』
そうですか……。
……あれ?
……なんか……誤魔化された?




