表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おばあちゃん(28)は自由です、ヨ?  作者: 美緒
プロローグ的な物
3/74

02 迷惑料を頂きますヨ?

引き続きプロローグ的な何か。本日も2話更新の1話目。

 突然老化した事にパニックを起こしている外野を無視し、あたしは自分の思考の海に沈む。


 ふむ……もしこの老化現象があたしの遣った事だとすると、これは何に分類されるの? 魔法?

 もし魔法なら、あたしはどうやったの? 無意識? 魔法って無意識に出来るモノなの?

 それにこれって、ただ単に年を取らせただけ?

 いやでも、それにしては……筋力等もなくなっている様に見えるよね? つまり、最盛期の力を奪った……と言った方が正しいのかな?

 じゃあ、その奪った力はどうなった? もしかして、あたしのモノになってる?

 え? やっぱりそれって、あたしに都合良過ぎない?


 ふ、と意識を浮上させると、パニックを起こしながらも全てはあたしの所為だと外野が大騒ぎしている。

 あたしの所為? いや、元はといえば自業自得でしょ?

 召喚なんて遣ったのもあんた達。謝る事もせず暴言吐いたのもあんた達。あたしを不快にし、怒らせたのもあんた達。ほら、自業自得。

 あたしが遣った事と言ったら『怒った』とか『不快に思った』とか感情が揺れ動いただけ。他の事はノータッチ。老化現象の原理すら知らん。

 だけど、そんな理論、こんな奴らに通じる筈もなく。

 いきなり、あたしの周囲を訳の分からない衝撃が駆け抜けた。


「ば、バカな! 何も知らぬ者に魔法が効かぬだと!?」


 椅子に腰掛けた偉そうな男の言葉に、駆け抜けた何かが魔法だと知る。

 うっわー……本当にこいつ、ロクでもないね。自衛手段を持たない人間に向かって魔法を放つなんて。

 というか、こいつアホ過ぎ。低脳過ぎ。さもあたしが何でも知っているかの様に喚き立てていた癖に、ここで『あたしは何も知らない』と認めたよ。これで、あたしが悪趣味やあんた達を老化させたなんて言えないよね?


 しかもこいつ、確実に、あたしを殺そうとしたよね?


 とことん、あたし個人の尊厳を軽んじているよね。異世界人だからどうでも良いと?

 この国のトップがこんななんだもん。この国自体がこんな風な可能性高いよね?

 あれ? あたし、蔑まれるの決定?

 いやいやいや。冗談じゃない!


 うん。


 こんな国、


 ――居たくない。


 という訳で決めた。この国、出て行く。

 元の世界に戻る方法は最初の説明で「ない」と言われていたから、ここに居たって帰れる訳じゃない。じゃあ、出て行ったって問題ないよね。

 どこか他の場所で、元の姿に戻れる方法や元の世界に帰れる方法を探そう。何せこいつ等の言う事って自分達に都合が良過ぎて全くと言って良い程信用出来ない。だったら、こいつ等が「ない」と言った方法もどこかに存在する可能性、あるよね?


 ただ問題は……あたしは、異世界人である為、この世界の事を何も知らないって事。

 それを知る為、こいつ等に色々聞くなんて冗談じゃない。

 これ以上、会話もしたくないし、関わりたくもない。

 じゃあどうするか、なんだけど……。


 何故かあたしの頭の中に、この城? のマップ? が表示されている。

 で、地下辺りが点滅していて、矢印表示が。ここに行けって事かな?

 なーんか、ご都合主義って感じで胡散臭いけど、コレに乗ってしまっても問題ないとあたしのカンが言っている。

 ふむ……地下、か。考えられるのは、宝物庫とか貴重な書架か何かがあるって事かな?

 勝手に召喚して、勝手な事言って、人の尊厳踏みにじって……これって有罪だよね? だから、慰謝料請求しても良いよね? 迷惑料貰っても良いよね?


 良いって事にしちゃおう!


 そんな訳で、あたしはこの部屋をとっとと出て行く事にする。

 あ、いまだパニック起こしている連中に、もうちょっと焦ってもらおう。


「あたし、こんな国に居たくないから出て行く。で、勝手に召喚してあたしの人生台無しにした迷惑料、貰っていくから」


 おや。声も年老いてるかと思ったけど、元のあたしの声と同じ?


「あ」


 ここで溜めて。

 あたしは周囲を見渡し、固まっている化粧お化けに笑い掛ける。


「追い掛けて来たら死ぬから。よろしく~」


 まさに阿鼻叫喚とはこの事か。ぎゃあああああっと騒ぐ声が聞こえるが関係ない。

 この部屋を足取り軽く飛び出し、あたしはマップに従って最短距離の道でカーソルのある部屋に向かう。


 あ、勿論。追って来たら死ぬとか言うのはただの脅し。

 あたし、そんな呪いみたいなものの掛け方、知らないし、ね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ