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26 あんた達もかヨ

 隊長達が震え上がっていたり、ネスがとぼけていたりと、「これ、本当に護衛?」と悩む部分は多々あれど、道行きは順調に進んだ。

 夕日が顔を出す少し前には、本日の宿泊地である次の村に到着――ではなく。

 なんか、普通にテントを張って野宿する様な、適度に木が立っている野原? に着いた。え、何で??


『カジス村から最寄りの村または町までは、馬を走らせて約1日、馬車で約1日半の距離があります』


 は? じゃあ、やっぱり野宿するって事?


『はい。大体、どの町と町の間にも、安全に野宿のできる空間が確保されています』


 この場所は安全なの?


『地面を見て下さい。色が変わっているのが分かりますか?』


 どれどれ……あ、確かに。微かだけど、地面の色が違う。それが体育館……は大きいか。えーと……一般住宅の敷地面積位かな? この人数がテントを張っても余裕だろうと納得できる範囲の地面の色が違い、それは長方形をしていた。


『その色が違う四角い空間の中央には魔物除けのアイテムが埋められており、結界が張られています。その結界の中なら魔物に襲われる心配をする事なく休めます』


 ……。

 魔物に襲われて命からがら逃げてきた人にとって、ここは安全地帯である、と。ついでに、ここで他人に会えなきゃ終わりという生命線でもあるって事か。

 あ、でも、その魔物除けのアイテムって、盗賊とかに盗まれないの?


『使用場所を限定する登録魔法と追跡魔法が付与されており、特定の複数のアイテムを持つ者以外、解除できません。そのアイテムも、複数の場所に分けて保管しています。国王等の許可が無ければ入る事ができない等、様々な条件を満たさない限り、全てを揃えるのすら難しいです。その為、盗めば自分達の居場所を知らせるだけですので、盗む大馬鹿はいません』


 確かに。それで盗んだら大馬鹿だ。自分達はここを拠点に悪さをしてますよ~って大々的にアピールするなんてアホ過ぎる。

 うん、これで漸く納得した。

 あのクズ国から迷惑料代わりに貰ってきた物の中にテントや寝具セット、調理器具セットがあった理由が。必要だよね、ここに滞在するなら。


『ネスフィルの様な冒険者の中には、徒歩で移動する者もいますから』


 あ、やっぱり。馬で駆け抜けるだけじゃなく、ちゃ~んと、旅らしい旅をしてる人もいるんだ。

 物好きだねぇ。徒歩って事は、馬で1日の距離なら2日くらいは野宿になるのに。


『はい。そうですね』


 ……そこで頷いちゃうのがマルだよなぁ~。


『そこで納得するのがリジーかと思います』


 ……あんたも言う様になったよね。


「リジー」


 結界の傍で、ルベルに乗ったままボケーっとしていた――ように見える――あたしにネスが声を掛けてくる。


「何をしているんだ? 早く寝床の準備とかをしないと、あっという間に暗くなって困る」

「へ? あ、そうか……」


 野宿するって事は、寝床の準備が必要って事だよね。

 ネスを見ると、既に結界内の一部にテントを張った様だ。素早い……。あたしも急がないと。

 それでなくても、キャンプなんて小学校時代の宿泊訓練だかなんかの体験くらいしかない。まともにテントを張れるかすら分かんないんだから、ちょっと焦る。テントってどう張るの?

 あたしがルベルの背中から降りつつ考えていると。


『……その心配は要らないかと思います』


 は? なんで?


 ……あたしの疑問に答える事なく、会話用マレットが消えた。

 地面に降り立ち、あたしは首を捻る。ホントに何なの?


 ネスに促されるまま結界内に入り――ちょっとだけ空気が変わった感じがする――、あたしは背負っていたトキを降ろし、中を探る。あ、アイテム整理してなかった。トキの上にマレットが現れ一覧を表示するけど探しにくい。

 ついでだから、今の内に整理整頓しておこう。

 えっと……まずは大分類として、食品とか日用品、金品、旅用品とかに分けて、次は中分類で……食品なら魚や肉に卵(ない)、野菜(まだない)、調味料(これもない)、非常食かな? それから小分類で、牛豚鳥(だからない)とかにして……。これでよしっと。

 いや、便利だね。あたしの望み通りに勝手に整理されてくれるんだから。ついでに、マレット表示も勝手に並んでくれるし。

 ……現実もこうだったらなぁ……。


 さてと。じゃあ、あたしもテント張るか。えっと……ネスのテントの隣が丁度テント一個分空いてるから、そこでいっか。

 なんか……ネスに仕組まれた気がしないでもないけど。気にしない事にしよう。うん。

 さてさて、旅用品は――


『旅用品

 ▽テント』


 は? 中分類、テント一択? あれ? 寝具セットや調理器具セットは?


『旅用品

 ▽テント

  ▽寝具セット

  ▽調理器具セット

  ▽家具セット』


 ん? なんでテントの中に入ってる? 普通、別だよね?

 しかも、家具セット?? あれ? もしかして、あの隠し部屋で見付けたやつ? え? なんでセット扱いでここにあるの??

 ……まさか……但し書きを表示。


『旅用品

 ▽テント:時空神と技工神が協力して仕様を変更した

  ▽寝具セット:技工神と資源神が協力して仕様を変更した

  ▽調理器具セット:魔術神と技工神が協力して仕様を変更した

  ▽家具セット:技工神が腕を揮って仕様を変更した』


 やっぱりかーーーーーっ!!

 新しく加護をくれた神々が早速やらかしてるよ! 何をやった!?

 慌ててトキからテントを引っ張り出すと――


「……」

「……」

(……)


 出てきたテントに、あたしもネスもルベルも無言になる。


 な・ん・でっ! 既に組み上がってるのよーーーーーーっ!!!


 張られた状態で出てくるテントって何!?

 いや、あたし的には楽だよ? 張れるかな~って心配しなくていいから。

 あ、これかっ! マルが『その心配は要らない』って表示していた意味は!!

 って、そうじゃなくて! 普通、この形のまま保管って無理だよね!? トキの口(?)ってどうなってんのよっ!!


「……リジーのそのバックは、アイテムバックだよな?」

「……そう」

「……随分、大容量なんだな」

「……そうだね」


 うん。随分ぼかした言い方だけど……普通のアイテムバックではこんな事が起きない。トキが変なのだという事は理解できた。


(やれやれじゃな。リジー、そのアイテムバックは随分とまあ、変わった物の様じゃのぉ)

(そうだね……一応、時空神の贈り物だし)

(ほっほぉ――って、なんじゃとっ!?)

(だから、やかましいっ!!)

(す、すまぬ)


 ルベルがトキを凝視している。


(……神の贈り物など、まず普通の者は手に入れる事などできぬというのに……それを二つも持っておるとは、リジーはかなり運がいいのぉ)


 運がいい……のか? 訳も分からずマルに持っていけ言われた物がそうだっただけなんだけど……。

 あ、幸運神の加護があるから運はいいのか。


 あー……取り敢えず、このテントが何に変化してるのか確認してみよう。看破魔法、使えるかな?


『多機能宿泊所(名前変更可能)』 種類:テント

 加護を持つ者の助けになろうと、時空神が内部の空間を拡張し、居住可能となったテント。

 加護を持つ者の助けになろうと、時空神が拡張した居住空間をさらに快適にする為、技工神が空間を部屋ごとに区切る壁や扉等を製作。既に持っていた寝具、調理器具、家具を組み込んだ他、様々な物が置かれている。

 寝具、調理器具、家具の各セットは外へ出す事も可能だが、他のアイテムはテントから外には出せない。


 あ、見れた~~あはははは~~~~~はぁ……。あのさぁ……。


 種類はテントなのに、多機能宿泊所って何!? それ、既にテントじゃないよねっ!?

 しかも、名前変更可能って、妙な所で気遣い見せるな! あたしにネーミングセンスがないのを知ってて当て擦ってんの!!?


 それから時空神! なんでテント内部の空間拡張してんの! それ、やる必要あるの!?

 技工神! 時空神の悪乗りに乗っかるんじゃないっ! 壁や扉って、こだわる所!? しかも快適って……。

 まあ、野宿でも快適に過ごせるのっていい事だけど、このテントって、既に野宿の枠を超えてるよね!?

 寝具セットとかがテントの中に含まれている理由も分かったけど、なんか納得いかないーーーーっ!!

 なんでなんでなーーーんで神々ってこう、訳分からない事をやる訳!?


 だから、過保護はお腹いっぱいなんだってばっ!



 自重しろーーーーーーーーっ!!!





 はぁ……過保護のカテゴリーに入ってない竜神だけが救いな気がしてきた……。

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