25 お勉強ですヨ②
『リジーの看破結果』
リジー 28歳 人間 異世界からの旅人 ルベルの仮契約主 ネスフィルの仲間
魔力量・白・最大計測不能 魔法使いとしては特の上レベル 魔力量はまだまだ成長中
成長神、幸運神、時空神、魔術神、闘神、獣神、竜神、技工神、資源神の加護 独身 魔術特化の筈が、加護の影響でほぼ何でもできる様になった
……人間って、なんでわざわざ……。
『そこですか?』
だってさぁ……。
……増えてる。さっき知ったのと、見知らぬ神の加護が……。
『竜神の加護』
竜種全般を司る神。
加護が付与されると、竜形態から人形態になっても、力が損なわれる事はなくなる。人間への影響は不明。
クズ国を潰す宣言を気に入り、加護を与える。あのクズ国は、竜種の迫害や虐待を行っている為、竜神は絶対に、ゲス共の魂すらも滅ぼすと決めている。
過去、王となる竜種以外に加護を付与した事はなかった。
『技工神の加護』
手で加工する技術を司る神。武具などの装備品から日常の品まで様々。
加護が付与されると、加工技術に補正が掛かる。
クズ国を潰す宣言を気に入り、加護を与える。
過去、多くの人々に『匠』と呼ばれる様になった者以外、加護を与えた事はなかった。
『資源神の加護』
全ての資源を司る神。物的資源、人的資源の区別はない。
加護が付与されると、貴重な資源が手に入りやすくなる。
クズ国を潰す宣言を気に入り、加護を与える。
過去、呪い――加護の逆転現象――以外、与えた事はなかった。
そうか。そんなに嫌いなのか……。
竜神に至っては、魂すらも滅亡宣言。資源神の呪いって……あのクズ国に掛かってそうだね。
って、現実逃避はここまで!
あのさ? 潰すといっても、今すぐじゃないんだよっ!? それなのに、加護を付与するっ!!?
それに、加護の影響がハンパないんだけどっ!?
『神々はそれほど、リジーに期待していると思われます』
要らんわっ、そんな期待っ!!
しかも、加護の所為であたし、チートの仲間入りっぽいじゃない! 冗談じゃない。返品希望っ!!
『どうしてでしょう? ちーとは喜ばしい事では?』
何言ってんの。
チート=面倒事が遣ってくる。この図式が成り立つでしょうが。あたしはこれ以上の面倒事はゴメンだよ。
『……リジーの場合、ちーとがあろうとなかろうと、余り関係ない気がします』
う、ぐっ……。
あ、あたしも、そんな気はするけどさぁ……これまでの経験上、神々って過保護でしょ? 今以上に何が起こるか分かんないじゃない。
ついでに、加護を与えてるから協力して欲しいとか言って、面倒事を押し付けられる気もするんだよね。神絡みの面倒事まで引き受けたくないっての。そんなお願いしてきても絶対に拒否るからね。
『……では、このメルディ国の首都に到着し、用事が済みましたら、大神殿を訪れ、神々の像に向かって願い、その思いの丈をぶつけて下さい』
……それで何か変わるの?
『各国――あのクズ国を除く国の首都にある大神殿の神々の像は、この地上界で唯一、神々に対して直接、言葉を送る事ができます』
うわ……それって、利己的な願いとかまで聞いちゃうって事?
『無理です』
へ?
『神々は言葉を聞くだけです。叶えはしません。そもそも、地上界に直接関われない以上、願いを叶えるなんて不可能です』
おーい。それじゃあ、あたしも願うだけ無駄じゃない。
『リジーは別です』
何で?
『一番の理由は加護を持っているからです。二番目は、願いではなく文句なので、流石に、神々が自重する可能性が――あるかもしれません』
結局はどうなるか分かんないって事じゃないかっ!!!
『そうとも言えます』
はぁ……全く……困ったもんだ。
しかも、一番目の理由と二番目の理由の間に、何か言葉が隠れている気がする……過保護は要らんよ?
(リジー? 突然黙って、どうしたのじゃ?)
あ、ルベルを長々と放置してしまった。
えーと……ルベルと会話していた内容は……そうだそうだ。マチだマチ。
(ごめんごめん。あたしが魔法を作れたのって、魔術神の贈り物を持っていたからなんだなぁと思い至り、ついつい手に入れた経緯を思い出していた)
(……は?)
(うん。偶然、手に入れたんだよね、魔術神の贈り物)
(な、なんじゃとぉ~~~~~~っ!?)
ルベルの叫びが頭の中に響き渡る。こういう時、念話って直接頭に声が響き渡ってキッツい。
(うっさいっ!)
(す、すまぬ。だが、驚いてのぉ……)
(まあ、あたしも驚いたけどね)
ひとつしか存在しない事とか、その他諸々に。
しかも、勢いに任せてクズを『潰す』とか言っちゃったし、神の加護が増えちゃったしね~ははは~。
いや勿論、後悔なんてしてない。神の加護は予定外だったけど、それだけ嫌われているのだと分かったから良しとしよう。その分もしっかり加味して、絶対、あのクソジジイ共に辛酸をなめさせる。
ふっふっふ。誘拐犯の末路は勿論――うん、この世界の犯罪者への罰を調べてから決めよう。丁度いいサンプルがそこに居るし。
『さんぷる……?』
そうサンプル。見本でもいい。
脅迫とか複数の犯罪に対してどんな処罰が与えられるか。それによって、国が滅亡しちゃった後、あのクズ共に与える屈辱の度合いを決めれば良いし!
死んで終わりなんて生温いでしょ? 生き地獄をきっちり味わわせないと!!
『相当、嫌いなんですね』
当然でしょ? あたし、異世界召喚なんて望んでなかったし? こんなおばあちゃんな姿にされちゃって、見下されたり、バカにされたり? 冗談じゃないっての。
これ、全部あいつ等が召喚なんて余計な真似した所為でしょ? こいつらに八つ当たりしないで、どこにしろってのよっ!!
それに、神々も見捨ててるって事は、あたしが知らない今までの間にもアレやコレ、やらかしてるって事でしょ?
因果応報。自分がやらかした事のツケは自分にくる。
『いん……?』
因果応報。意味は『よい行いをすればよい報いが、悪い行いをすれば悪い報いがある』って事。ようは、どんな行いも自分に返ってくるから行動には気を付けろって感じの戒め、かな?
『色々な言葉があるのですね』
うーん……あたしの住んでた国って、島国だったからってのもあるだろうけど、結構、独自の歴史を歩んでるからねぇ。
色々な国の文化や言葉を取り込みつつも、自分の国の伝統を守るって感じ? 何でもありな癖に、妙な所で一本筋が通っている様な?
お蔭でと言えば良いのか、人も言葉も何もかも、独特なんだよね。
『興味深いです』
そう言われても、あたしも、何でもかんでも知ってる訳じゃないから、詳しくは説明できないけどね。
場合によっては、何となくのニュアンスで言葉使ってたりするし。後から言葉の意味を知って「やっちゃった」感が半端ない時あるし……。
(リジー。魔術神の贈り物を見る事はできるかのぉ)
(うん? 興味あるの? でも、ルベルに乗る前に持ってたけど、覚えてない?)
(うむ。殴られた事の方が鮮明に覚えているのぉ)
(……分かった。まあ、休憩の時とか、見せてあげる)
(おお、それはありがたい。嬉しいのぉ)
うん。本当に嬉しそうだ。頭の中に響く声が弾んでる。音符でも飛んでそう。
(そういえば……ルベル)
(うむ?)
(なんであたしに風圧とかこないの?)
そう。空を飛んでいる筈なのに、結構なスピードが出ている筈なのに、顔にも体にも風が当たらない。
崖から落ちた時は、とんでもない風圧だったのに……。
(風が直接当たると、ワシが飛びにくいじゃろぉ)
は……?
(ワシ等が飛びやすい様に、翼が勝手に魔力操作して、浮いたり進んだり風を操っておるのじゃ)
……勝手……?
(んな訳あるかっ!!)
(おう。リジーが怒ったのぉ)
頭の中に、どこかの御隠居様の様な笑い声が響く。
(勝手は言い過ぎじゃが、生まれた時からそうやって飛んでおるので、無意識に魔力操作をしているんじゃろうのぉ)
(へえ……じゃあ、生まれた時から魔力操作ってできたんだ?)
(うむ? そうじゃの……卵から生まれた時からできたの。卵からは魔力操作ができんと出れんから、卵の中にいる時に練習でもしていたのではないかのぉ)
(……竜の謎生体、再び)
(うむ。ワシも不思議じゃ)
(あんた竜でしょうがっ!!)
(ほっほっほっ)
なーんか、とぼけた爺さんって感じだけど、流石に年齢が年齢だから、それなりに色々知ってるねぇ。
この話し方とか聞いてると、やっぱりどうしても、時代劇の中で諸国漫遊しちゃってる――日本何周してるんだろう? ――某御隠居を思い出す。人化した時、そのものな姿だったらどうしよう……。
ちょっと面白そうだから、機会があったら人化してもらおうか、うん。
と、まあ。
妙に呑気(?)なあたしとルベル――&マル――の下。
現れた魔物なんかが一瞬にしてルベルに倒される――口から火の玉が飛んでいって消し炭、というより蒸発している――のを見て、隊長や兵士は段違いな戦闘力と、それを普通の事の様に受け止めているあたしに対して震え上がっていた、らしい。
後からマルにそう説明されたんだけど……。
護衛なんだもん。敵倒すのは当然だよね?
マレットに敵表示がされるから、こっちに来そうなのをルベルに念話で伝えて倒してもらってたんだけど……なんかマズイの?
もしや、竜が攻撃しているからビビった? えー? でも、ルベルは召喚獣だって言ったよね? しかも、飛んでるんだから、攻撃手段なんてこんなもんでしょう?
『人が居たのでは?』
えー? 隊長達から見たら、敵は豆粒だよ? そのくらい遠くにいるのを倒しているんだよ?
あたしは時空神の加護の影響で、見ようと思えば魔物か人間かの区別はつくけど見る気ないし。普通の人にはあの距離じゃあ判別できないでしょ? それなのに震える?
『理解できません』
うん、同じく。
ここに居るのは味方。あれは敵。割り切ってイイ案件。
あ、隊長達はそんな感じだったみたいだけど、ネスは? どんな感じだったの?
『遥か彼方にいる敵に火の玉がぶつかり消え去るのをキラキラした瞳で眺め、そのままの瞳で、リジー達を見上げていました』
前見ろ、前っ! 危ないでしょ!!
ネス、あんた、どっか抜けてない? よく今までそれで無事だったね?




