表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/74

18 進化した、ヨ?

 朝。

 目覚めたばかりのあたしは今、大きな敗北感に包まれ、打ちひしがれていた。


 昨夜、魔法ってどうやって作ればいいのか分からず、マルに呼び掛けてもなしのつぶて。

 そうだ、願ってみようと挑戦するも、何の反応も示さず。

 どうすりゃいいんだと悩み、食事を一緒に食べようと誘いにきたネスフィル――同じ宿の隣の部屋に警備隊持ちで宿泊中――と共に簡素な夕食、パンと何かの肉を焼いたもの(塩味)と野菜のスープ(塩味)、何かの果物のジュースを食しながらも悩み、布団にもぐり込んでも悩み。

 寝落ちして目覚めたあたしの目に飛び込んできたマレットの表示。


『無開示の魔法』を創造しました。

 今後は、どのような魔法かを教え、広める事で誰でも使える様になります。


『無開示魔法』  製作者:リジー(梅木里子)

 識別、鑑定、看破魔法など情報を見る魔法から自分の情報を守る魔法。

 魔法使用者の許可が無い限り、見る事ができない。ただし、グゼナ国のモノを除く。製作者を除く。

 魔力量による効果のあり、なしが存在しない特別な魔法。消費魔力:1

 一度使えば、使用者が魔法を解除しない限り持続する。他人や物にも掛ける事が可能。


 ちょっと~。あたしの悩みに悩んだ昨日を返せ! と言いたい。

 そして、何故あたしを除く! って、除いてないと、敵の情報見れなくなるか。じゃあ、いいや。

 それから、『グゼナ国のモノを除く』の部分に悪意を感じる……これってあたしの? マルの? それとも加護をくれた神々の? どれにしろ、グゼナ国の者や物は無開示魔法を使おうと情報を見れちゃいますよ~と。

 うん。グッジョブ!

 あ、でも、その魔法の『製作者:リジー(梅木里子)』と『製作者を除く』の部分は非表示で。他の人達に見れるかどうか分からないけど、面倒事は避けよう。

 ついでに、いちいちあたしの本名を表示するのを止める様に!

 消費魔力が1なのは良いよね。これなら、どんなに魔力が低い人でも使える。これで永続魔法って便利でしょ……と自画自賛しておく。

 それから、この魔法の存在をきちんと――対極の情報を見る系統の魔法の事と共にきちんと伝えないと呪われる様にしとこうよ。どうせだから、その呪いはあの老化現象で! 成長神に頑張ってもらおう。


『無開示魔法』 (製作者:リジー 非公開情報)

 識別、鑑定、看破魔法など情報を見る魔法から自分の情報を守る魔法。

 魔法使用者の許可が無い限り、見る事ができない。ただし、グゼナ国のモノを除く。(製作者を除く。非公開情報)

 魔力量による効果のあり、なしが存在しない特別な魔法。消費魔力:1

 一度使えば、使用者が魔法を解除しない限り持続する。他人や物にも掛ける事が可能。


 無開示魔法の存在を識別、鑑定魔法等の情報を見る魔法の情報と共に公表しない場合の罰

 成長神の怒りに触れ、成長を奪われる事になる。(奪われた成長は全て製作者へ渡る 非公開情報)

 幸運神の怒りに触れ、幸運を奪われる事になる。(奪われた幸運は……同上)

 時空神の怒りに触れ、時間と空間がとことん奪われる事になる。例:食べ物が腐りやすくなる、家がなくなる等々。(奪われた時間と空間は……同上)

 魔術神の怒りに触れ、魔力が奪われ、魔力量が大幅に減る事になる。(奪われた魔力は……同上)

 闘神の怒りに触れ、戦う術を失う事になる。例:武器を持てなくなる、勝てなくなる等々。(奪われた闘いの力は……同上)

 獣神の怒りに触れ、他種族との一切の関わりを絶たれる事になる。例:獣人やエルフ、ドワーフなどに会えなくなる、その種族が製作した物を手に入れられなくなる等々。(奪われた関係は……同上)


 ちょ、ちょおーーーーーっと待てっ! そこまで望んでない! 望んでないよっ!?

 何で、何で他の加護してくれてる神まで出張ってくるの? しかも、奪われるとキッツい物ばっかじゃない!?

 神! ホント、加護持ちに甘過ぎ!! 自重しろーーーーーーーーーーーっ!!!


 あたしは込み上げてくる溜め息を全く堪える事なく吐き出し、意外だが、結構寝心地のよかったベッドから這い出す。

 窓から外を見ると、既に夜は明けていた。

 確か……出発は2の鐘――午前8時くらい――が鳴る頃って言ってたから、それまでに準備して集合場所の門まで行かないと……って、ヤバ。門といっても3つあるんだった。どれ?


 あー……マップ見て、みんなが居る場所に行けばいいか。

 と、マップを見ようとして……おやまあ。頭の中に表示されていたマップが、別ウィンドウで展開しているマレット――目の前をゲーム画面に例えると左上辺りに別ウィンドウが開いている感じ――に移動してますよ? 目で見て確認できちゃいますよ?

 これは便利だけど、何故最初からこうしておかなかった! と言いたい。

 だってさぁ。暗記した地図を一生懸命、頭の中で確認するのと、プリントアウトした地図を確認するのでは正確さが違うでしょ。

 これは『進化』じゃなくて『当然』。


 そう、思った途端。マップに点が出現した。

 あー……ゲームとかのマップ機能だと、この点って人とか魔物とかだよね。一応、色が三色あり、赤が敵、青がその他、緑が仲間ってとこだろう……って、仲間? あたしに?

 マップを詳しく確認すると、緑の点は一つ。隣の部屋……ってネスフィルの名前が点の横に書いてある? え? 仲間ってネスフィル? あれ? いつの間に仲間認定されたの?

 まあ、いいや。仲間認定されてて何か不都合な事は、今の所(多分)ないし。

 あ、ちなみにだけど、この点の表示とか、あたしとの関係によって色を区別する事も『当然』、ね。よくあるよくある。

 ふっ。ゲームが日常に溢れている世代の『当然』を甘く見るんじゃない。頑張って進化してね?


 何か、画面を暗くして悔しそう(多分)なマレットは無視して、あたしは洗面所へ向かう。どうもこの宿が『高級』とされているのは、この洗面所を始めとした水回りがあるからのようだ。こういう所まで、異世界物語あるあるなんだね……。

 少しだけ曇っている鏡の下に設置されている蛇口。何故か存在する歯ブラシ等――まあ、過去に召喚されたのがいるらしいから、その人達が自分の元の世界の生活水準に近づける為に頑張った結晶なんだろうね、これ。そんな努力の結晶(断定)な歯ブラシ&歯磨き粉――シンプルにハーブっぽい匂いと味――で歯を磨いて、うがいして。

 さて、洗顔フォーム――まであるよ。すげぇ――で顔を洗おうと手を当て。


「はっ!?」


 思わず、鏡に映る自分の顔を見る。

 うん、間違いなく、皺の目立つ60代以降のおばあちゃんな顔。

 それなのに、それなのに。


 何なの! この肌のハリと艶はっ!?


 カサカサなんて無縁な艶々ぷるんとした潤い肌。ちょっと指で押すと、肌の弾力で指が戻ってくる本物のもちもちさ。たるみもない、きめ細やかなツルツル素肌。

 なんなのさ、これは! あたしの最盛期――いつかは聞くな――よりメチャクチャいいんですけど!?

 いーーーやーーーー。このお肌、元の世界に持って帰りたいっ!!!

 見た目おばあちゃんに釣り合わない、すっごい若々しい、というより若々し過ぎる肌なんですけど!? 赤ちゃん肌!? あたしにそんな時代あったか!?(混乱中) 一体どうして!?


 慌てて部屋に戻り、何故かその場にずっといたマレット――もうこれって、完全に独立してんじゃないの? ――にこの疑問をぶつけるも、知らないと一刀両断。

 少しは考えろ! 役に立て!

 幸運神の加護の恩恵だとでも思っておけばいいんじゃないかと言われ……もしそうなら、幸運神、ありがとう! この上質な肌は嬉しすぎる!!

 見た目おばあちゃんで嫌な気持ちになる事は多いけど、この肌を思えば我慢――できないけど、少しはしようかな? と思えるかもしれない。


 あたしは朝の疲れ切っていた気持ちをきれいさっぱり忘れ、洗面所に戻って改めて顔を洗う。

 ああ~、いいわ、これ。時々皺が手に当たってむむむと思うけど、肌の質感のお蔭で少しだけど癒される~。

 ただ、このアンバランスさが気になる。一体、あたしの体に何が起きているんだろう?


 手早く水気を拭き取り、トキにしまっておいた昨日とは違う服――といっても色が違うだけだけど――に着替える。

 下着は昨日の内に洗い、ちゃんと魔法で乾燥させた。このままでいくと下着はヘビーローテーション……早く新しいの見付けて買わないとね……。この辺も、過去に召喚された人々が頑張ってくれてるといいなぁ。


 そんな事を思いながら、部屋に広げていた様々な物をトキが自ら収納――もう何も言えない――し、準備万端と言わんばかりにあたしの上にすっぽと落ちてきて定位置へ。

 うーん……旅するなら、ショルダータイプよりリュックタイプの方が楽かな?

 そう思うと、それに合わせて変化し、背中へ。ほら、背負ってと言われてる気がする……。まあ、いいや。

 トキを背負い、マチを手に取り、さて行きますかとドアノブに手を掛けた途端。


「リジー? 朝食に行かないか?」


 ネスフィルからお誘いが。


 ……なんでだろう……すっごい懐かれてる気がするのは……。


 あたしはドアを開け、既に旅支度を整えて立っていたネスフィルに「おはよう」と挨拶し。

 共に朝食――パンと新鮮なミルクと何かの野菜サラダを胃に入れて。

 ネスフィルと連れ立って集合場所に向かうのだった。


 うん。ネスフィルに連れてきてもらえたから、わざわざ集合場所を調べる必要なくなって助かった~。

 え、ヒドイって? いやいやいや。こんなもんでしょう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ