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おばあちゃん(28)は自由です、ヨ?  作者: 美緒
プロローグ的な物
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01 ふざけんなヨ?

2話目

 あたし、梅木里子(28)は今、悪趣味な程ごってごてに飾り付けられた部屋のほぼ中央で、化粧お化けな女子高生と一緒に立たされている。あたしが足蹴にされて転がったのを見て笑っていたこの女は、化粧お化けでも優しい言い方だろう。

 そんなあたし達の目の前には、階段の三段ほど上に体育館のステージの半分くらいの広さの高座があり、そのど真ん中には、これでもかと装飾された金ぴかな縦にも横にもでかい椅子。光沢のある布が引かれたその椅子には、すっごい偉そうな男が座っていた。

 そして、あたしの左右の空間には、やっぱり古いデザインのジュストコール、ジレ、キュロットを着ている男達。ひらひら・ふりふりに贅を凝らした金糸銀糸の刺繍。ゴテゴテし過ぎていて悪趣味としか言えない。


 で。

 あたしはこの部屋に来て漸く、現状を知る事が出来た。

 いやもう、何と言えばよいのか。ファンタジー小説って想像オンリーではなかったんだね。

 まさかあたしが異世界召喚――しかも、多分巻き込まれ召喚――されてしまうとは。


 この国――というよりこの世界は、魔物とか魔法とか、不可思議なものが普通にある世界で。

 どんな法則か、最も力が充実している年齢に達した時、成長が30年から40年くらい止まるらしい。

 何だそれ、とは思うが、目の前に居る男――王らしい――は50代なのだが、見た目は20代。その息子――あの悪趣味王子だ――は25歳――やっぱりあたしの事『ババア』呼ばわりするんじゃない。同年代じゃないか! ――で、23歳の時に成長が止まったらしい。

 左右に居る男達も50代から60代くらいらしいが、みんな見た目は20代前後。これを見せられたらその妙な法則を信じるしかない。


 そして、この国『グゼナ』は、魔物なんかにより荒れた国を立て直し、魔物等により汚染された大気を浄化する為、王太子主導で――あの悪趣味がそう――定番といえば定番の聖女を召喚したそうだ。

 しかもその召喚陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるよう呪を組み込んでいたんだって。

 何それ。じゃあ何だ。化粧お化けは女子高生時が最盛期で、あたしはこのおばあちゃんが最盛期な訳?

 ほぼみんな若い年齢で止まるのに、あたしだけ60オーバー? 有り得んでしょ!

 と、思っていたら。

 こいつら、言うに事欠いて、実年齢時には既に最盛期が過ぎていたから一気に老化が進んだ――だって?


 ふ ざ け ん な ヨ ?


 その『呪』が有効なら、あたしの見た目は若返る可能性が高い。まあ、最盛期がもっと若い時なら、だけど。

 でも一気に老け込んだという事は、あたしの最盛期はこの外見年齢で間違いないか、もしくは……あんた達の失敗って事でしょ?

 それなのに、まるであたしの所為の様に言うってどういうつもり?


 し・か・も!

 あの悪趣味王子が老化したのもあたしの所為らしい。あたしが魔法で呪いを掛けたんだって。


 知るかそんなの! あたしは魔法の使い方すら知らんわ!!


 それなのに。

 こいつら、勝手に召喚しやがった癖に謝る事もせず。

 あたしが悪い、あたしの所為だと三方から攻め立て、王子を元に戻せと命令してくる。

 言う事聞かなきゃ牢屋行き?


 ……いやホント、マジでムカつくんですけど?


 こいつら何様? この世界では王族とか貴族とかかもしれないけど? 異世界人なあたしからしたら、そんなの関係ないんだけど?

 最低限の礼儀もわきまえず、自分達の勝手な要求ばかり。

 いい加減、マジうざい。

 本気で、鬱陶しい。


 プツン、と。また私の中で何かが弾けた。

 すると――。


「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!?」


 そこら中から叫び声が聞こえ、さっきまで若々しかったヤツラが一斉に老化し、筋力等も一気に落ちたのかその場に崩れ落ちた。

 何、これ? もしかして……これ、あたしが……?







 何と言うか……













 滅茶苦茶都合が良過ぎない?

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