回想その1
この物語は創作です。モデルはありません。
さて、いち営業員だった美雪が、
どのようにして総合職の呼ばれる所長候補(副所長)に
なる事になったのか、簡単な足取りを書いてみる。
10年前、美雪は営業所のドン佐藤に毎日のようにいじられ、なじられて居た。
佐藤は気分やで、美雪以外にも佐藤のお気に召さない、気に入らない営業員はいくらでもいた。
そういう奴を虐める時は、素早く美雪の後押しをする。
『あんたね。調子こんでるみたいだけど、私に逆らうんだったら、この美雪さんみたいに淡々と仕事こなしてからにしなさいよね〜?』
そして、そう言う日は必ず、
『さぁ、行くわよ?』
と、美雪や米川を誘ってお気に入りのスナックでカラオケ三昧だ。で、ずうっと、その日の癇に障った営業員と、上手く纏められない所長がいかに、能力が低くて、出世しか考えない馬鹿な若者だ....
って、事を永遠にクダを巻く。
美雪も米川も、もう苦笑いするしか無い。佐藤のワガママは佐藤の定年が75歳だから、それまで続くのだろう。美雪も米川も、佐藤に可愛がられてるのか、目の敵にされてるのかよく分からなかった。
半分、相手にしていない感が、あった。
そうこうしているうちに、米川の旦那が大病にかかり、娘もまだ子育てが大変で、手伝ったりしていたら、今度は米川が貧血で倒れてしまった。運の悪い事に気分が悪くなった時に交通事故を起こしてしまい、連続気疲れで、退社する事になった。
保険会社において、米川のような、支部長で、まあまあ優秀な営業員が退社するのは並大抵な事では無い。会社側も、辞めさせたくなくて、必死に妨害して来る。その時の所長にとったら、会社から許されない事の1つだ。無能のレッテルを貼られる。
良く、ドラマとかで、一流ホステスさんが、引き抜きに会うと、殺傷沙汰が起きるなんてシーンがあるが、まさにそれに近い。
しかし、米川は周りの心配をよそにあっさり退社する事が出来た。市役所勤務の息子がヒステリーを起こして、本社にクレームの電話を入れたのだ。
『お宅の会社は、きちんとした理由で辞めたいと言っている人間を、辞めさせないのか?』
っと。
大会社なので、その辺は用意周到だ。本社にかかったクレームは全て、1支社の人、1営業所所長の責任....という事で、こういう営業員の事はさっさと辞めさせる。つまり退社を承諾する。
過去、やはりそれでも辞めさせない説得をしていたら、営業員の家族が新聞社や週刊誌、労働基準監督署にタレ込んで、凄いトラブルになった事もあったからだ。
美雪はこれだ‼️と思った。いつの日か使えるかも。覚えておこう。
そう、ほとんどの営業員が、成績は上げたく無いが、実はのんべんだらりと辞めたく無いので、そこまで強気に会社を敵に回す輩はそうそういなったからだ。
米川が居なくなった後、後継の支部長の話があり、美雪は再び、佐藤にイビラれ始めた。今回のイビリは周りを巻き込んで執拗だった。
守ってくれる米川は居ないし、所長は役に立たないし、あげく、家庭では旦那は離婚したいと言うし、美雪はいい加減、辞めたくなった。
旦那と離婚する頃の美雪の回想です。米川が辞めちゃって、大変そうね?




