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魔法少女だって就職活動ぐらいする2

現代社会において、身だしなみとはとても重要だ。

特に人の目に触れる職業であればなおさらである。

その人物が日ごろどれだけ自分を磨けているのか、内面を判断する要素にもなる。

まして魔法少女にもなると多くの人間の憧れとなる存在だ、その身だしなみが乱れていれば当然ファンもざわつく。


腋毛の未処理など問題外だ。


「・・・さらしたんですか・・・その・・・腋を・・・」

テーブルに流れる沈黙に耐えかねて言葉にしてしまった。

「そうよ」

なぎさ姉さんは恥じらいもせずきっぱりと言い放った。

魔法少女としてどころか女性として割と致命的な事実を。

めぐむちゃんに関してはこの現実と向き合えず、真っ青な顔のまま下を向いてしまっている。

このままではめぐむちゃんの進路相談どころではなくなってしまう、早急にフォローを入れなければ。

「で、でもなんやかんや大丈夫だったんですよね?ほら・・・見てた人だってそんなにいないでしょうし・・・も、もしかして気づかれなかったんじゃあ」

「そのとき現場にいた人が携帯でムービー撮ってたみたいでね・・・you○ubeにアップされていたわ」

「うそでしょ・・・」

「さらにその動画が話題になってy○hooのネットニュースになったわよ」

「そんな・・・」

「最終的にお昼のワイドショーで取り上げられて私の腋毛が全国ネットに放映されたはずよ」

「ひ・・・ひどすぎます・・・うっ・・・ううう・・・」

めぐむちゃんがあまりのショックで泣き出してしまった。

まさかなぎさ姉さんにこんな壮絶な過去があるとは・・・

そんじゃそこらの魔法少女よりもよっぽど不幸じゃないか。

なによりも一番気になるのは・・・

「なんでなぎさ姉さんはこんな壮絶な話を無表情で話せるの?」

この話をしているなぎさ姉さんの顔が終始無表情なことだ。

悲しんでいるわけでもなく、恥ずかしがっているわけでも、怒っているわけでもない。

その表情はひたすらに無を表現していた。

普通だったらこんな話何の感情も込めずに話すことなんてできない。

あいも変わらずなぎさ姉さんは無表情で語る。

「ああ・・・もうこの話題には何も感じないってだけよ。そりゃあ当時はショックですさまじく荒れたわ・・・ネットを見ればどこも私の腋毛が上がってたし、『速報 魔法少女の腋毛発見したったwww』ってスレが100を越えた時は死のうかと思った、当時出た私のエロ同人誌は絶対腋毛が描かれてた、でもね?時間が経つともうどうでもよくなってくる・・・いや、何か感情を抱くことすら面倒くさくなるのよ」


そう語るなぎさ姉さんの目はどこか虚空を見つめていた。

「・・・」

そして俺は掛ける言葉を失っていた。

前にもこんなことがあったような気がする。

この人と話すと大抵このようなやるせない気持ちになってしまう。


「めぐむちゃん、この話を聞いてもまだ魔法少女になりたいと思う?」

「っ!」

なぎさ姉さんは問いかける。

魔法少女となり戦う覚悟を。

正直ちゃんと無駄毛処理をしていればいい話だと思うが、さすがにこの空気では言い出せない。

めぐむちゃんは問いかけられた瞬間体が震えていた、だが少しの間を置き、すぅ・・・と息を吸い込み顔を上げ、真っ直ぐなぎさ姉さんの見つめ返しながら言う。

「確かになぎささんのお話を聞いて怖くないといえば嘘になります・・・でも・・・私は魔法少女になる夢を諦めるつもりはありません!どんな挫折にも負けません!私は絶対魔法少女になります!脇の処理もちゃんとします!」

最後の一言は余計だったと思うが、どうやら彼女はこの程度の脅しで折れるような子ではないらしい。

「ふっ・・・若いっていいわね・・・」

今まで無表情一辺倒だったなぎさ姉さんの顔がようやく綻んだ。

「いいわ・・・私が知っている魔法少女の全て、教えてあげる」

「ほっ本当ですか!?」

パァ・・・と、めぐむちゃんはこれまでに見たことないくらいの満面の笑みで返す。

「じゃあまずは今の魔法少女業界について教えてあげるわね」

「はい!よろしくお願いします!」


だがこの時点で俺もめぐむちゃんも理解していなかったのだ。

魔法少女とその世界について何も・・・そう・・・何も・・・

あけましておめでとうございます。

今年はたぶん更新頻度下がると思いますがよろしくお願いします。

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