運転免許
さて、トモエさんの過去は大変気になるところではあるのだが、そこは置いとくとして……。
「そういえば、ところによっては朝菜くんと結婚してる世界もあるんだよね、僕」
「そういえばそうですね」
やべぇ、すげぇ気になる。
「ど、どういう経緯でそんなことに?」
「まぁ、色々とあるけど……基本的に、朝菜くんが女の子として生まれた世界か、もしくは後天的に女の子になった世界とかかな?」
「なるほど……」
先天的に女の子の店主さんか……ちょっと見てみたいな。
……なんか見た目全く変わんないで、ブツが無くて胸膨らんでるだけのような気がしてきた。
「まぁ、場合によっては骨肉の争いを繰り広げたりとか、世界を崩壊させるまでに至る戦争を始めちゃった世界もあるんだけど」
「ええー……」
「とんでもないよね。そもそも、僕たちってどうしても平和に生きられないからねぇ。タカヤくんは、平和を実現するには何をしたらいいと思う?」
「んー……字牌を切る、とか? あとは両面待ちにして……」
「そうじゃない。そうじゃないんだよ……ピンフじゃなくてヘイワなんだよ……」
でも実際のところ平和とか言われてもわかんねぇし。
ぶっちゃけ平和とか個人で考えるべきものじゃないよね。
……しかし、涙目がちになってるトモエさん可愛い。
「店主さん」
「はい、なんです?」
「トモエさんが可愛い」
「そうですね。早川さんもそう思うでしょう」
「え? ええと、まぁ、そうですね……見た目だけなら……」
見た目だけなら美少女だからなぁ……見た目だけなら。
「ちょ、ちょっと、なんで僕の事をいきなり可愛いとか言い出してるの?」
なんか戸惑い気味のトモエさんも可愛い。
「トモエさんかわいい! 男なのに美少女!」
「波動砲かわいい!」
「かわいい! オレ、トモエさんの臓器になりたい!」
「私はトモエさんの髪の毛になりたい!」
そんなアホなことでやんややんやと遊びだし、だらだらとくだらない駄弁りで時間を潰して遊びほうける。
「あれだ、誰も寝てはならぬって、絶対に寝てはならないオペラハウス24時みたいな感じの奴だろ?」
「全然違う」
「よく切れる剣って斬鉄剣でしょう? よく切れない剣って何だと思いますか?」
「うーん……残尿剣かな?」
「確かにキレは悪そうですね」
「どうでもいいけど、脱衣麻雀って負けたらプレイヤー側も服脱いでんのかな?」
「どうだろな? もしかして早川はゲーセンで負けたら服脱いでんのか」
「んなわけねーだろ。しかし、ビンビンになってる全裸のオッサン量産する美女美少女とかとんでもねぇ絵面だなぁ」
「……たしかに」
そんな話をしてるうちに、後々の、早川達が夏休みに入ったら遊びに行くという話について話題がシフトしていく。
「移動手段ってどうすんだ?」
「オレが免許取ってもいいけど、間に合うかねぇ?」
「最速で行けば一か月でとれるらしいが」
「筆記はともかく、実地試験は絶対に受かる自信あるんだけどな。かもしれない運転も完璧だぜ」
「ほほう」
「ところで、後ろからCIAのエージェント、あるいはターミネーターが追いかけてきているかもしれない運転なら荒っぽい運転してもいいよな?」
「ダメに決まってんだろうが」
せっかくイメージトレーニングしてたのに……。
「店主さんとトモエさんはなんかいい解決方法ないですか?」
「私は国際A級ライセンスに、スーパーライセンスも有していますよ」
「スゲェ!」
「普通自動車の運転免許だってもちろんあります」
「じゃあ安心ですね」
「問題は運転に際してアクセルに足が届く車が無いことですね」
「ダメじゃん」
ならばとトモエさんに目線を向けてみる。
「僕? 僕も運転免許ならあるよ。ほら」
そう言って差し出されたのは確かに運転免許のようだ。
……第二種持ってるぞ、この人。
「トモエさんってタクシードライバーとかもやれるんですか?」
「というか、この世界の僕がタクシードライバーやってた」
「あれ、じゃあこの運転免許って……」
「この世界の僕のだから、実質的に僕は持ってないね。まぁ、同一人物だから問題ないと思うよ、うん」
そういうものなのか……というか、この世界にもトモエさんいるんだ。
「しかし、喫茶店の店主やってたと思ったら魔法使いでタクシードライバーでヤーさんの頭もやってた? 多才ですね」
「僕の経験してない職業はないくらいだよ。あ、漫画家はやったことないね。僕、絵は苦手なんだよねぇ……」
「へぇー、巴さんってなんでも出来そうですけどね。タカヤなんかとは違って」
「ああ、早川如きとは違ってトモエさんは実に多才なお人なんだ」
ま、どんな人でも欠点の一つくらいはある、ってことだな。
しかし、トモエさんって絵が苦手なのか。画伯なのかな、悪い意味で。
こう、見たらSAN値が消滅しそうな絵を描くとか。……割と洒落になってないな。




