自分が出て行ってやっつける
戦いは続く。
ただ、戦いは割と一方的で、オレは防戦一方だった。
たぶん、オレがJUSTCIEの性能を使いこなせてない。
レスポンスは早いし、的確に動いてくれて、自分がデカくなったような錯覚を覚えるほどにJUSTICEはよく動いてくれてる。
だが、うまく運用出来てるかどうかと言えば話は別だと思う。
元々魔術師たちの武装だっていうし、多分だけど魔術に秀でてないと使いこなせないんだろう。
実際、さっきからすごい勢いで魔力が吸い出されてるし。
魔力をうまく運用したりとか、あるいは魔力を注ぐ比率とか……。
そういうのを細かくやれればもっと強くなれる気がする。
最初、簡単に腕がぶっ壊れちゃったのは魔力が殆ど通ってなかったからだと思うし。
「ちっくせう! さすがに強いな店主さん!」
しかし、仮に使いこなせてても勝てる気がしない。
店主さんは戦い方があんまりうまくないから生き残れてるようなもんだ。
戦闘巧者だったらもう負けてるだろう。
『むしろあなたこそよく戦えていますよ』
店主さんめっちゃつえーの。魔法の威力が凄いし、引き出しがめっちゃ多い。
こっちはガッツンガッツン殴り合うくらいしか出来ないのに。
「ところで店主さん、さっきからなんか戦闘に巻き込んでる船があるんですけど」
『そうですね』
「これはいいんですかね?」
『いいんじゃないですか? 乗ってるのは邪悪な種族ですし。いわゆる邪神の奉仕種族ですね』
「ふーん」
あんまり強くないのでドカドカ巻き込んでたけど、それならもうちょっと本腰入れて倒しておくか?
邪神の奉仕種族ってことは人間の敵だろうし。
「あ、なんかひときわデカい奴が出て来た」
800メートルくらいある宇宙戦艦。
見た目が隕石っぽいのは隕石を再利用した奴だからだろうか。
それが数百隻ほど同時にこっちに攻め込んできてる。
『ああ、あれは結構強いですよ。あなたの機体は苦戦するでしょうね。折角ですし、練習がてら倒してみてはどうです?』
「そっすねー。んじゃ、そうさせてもらいます」
破損した右腕を魔力を流し込んで修復。
そして、陰陽剣を手に一気に接近すると、それを一刀両断。
周囲から飛んでくるビームだのミサイルだのをバリアで防いだり、魔法で撃ち落としたりしつつ、攻め込んでいくが、どんどんJUSTICEが破損していく。
このロボット動かすの割と大変なんだよ、ちくしょう。
「だあぁぁーもうっ!」
動力部にミサイルが直撃して動かなくなった。
レッドアラートが喧しい。
「しょせんスーパーロボットなぞこんなものかぁぁぁぁ!」
コクピットをぶち破って外に脱出。
無音の世界である宇宙空間に飛び出すと、久しぶりに聖剣を呼び出して手に握る。
そして、飛翔魔法で推進力を生み出すと、一気に宇宙戦艦へと突貫していく。
「砕けろ!」
全長2キロメートルを超えるサイズの大型宇宙戦艦を一刀両断。
大爆発を起こす戦艦を後目に、数隻並ぶ宇宙戦艦に周辺のスペースデブリを蹴っ飛ばしてぶつける。
そして、聖剣からビームを連射して、居並ぶ数百の戦艦へと直撃させて一気に吹っ飛ばす。
「ふはははははははっ! 脆いぞ邪神の眷属! そんなもので人間が支配できるかよぉぉぉぉぉぉ!」
どがーんずどーん、ぼがーん。とまるでアニメのような効果音を響かせて(実際に音は聞こえちゃいないが)次々と戦艦を撃破していく。
あれ、そういえばオレ宇宙空間で戦ってるけど酸素って……まぁいいや。
なんか苦しくないし、この世界の宇宙には酸素があるんだろう。たぶん。
そして、数十分後、全ての敵を撃破してオレは高笑いしていた。
「ふははははは! そんなものか邪神の眷属!」
割と面白かったが、そんなに強くもなかった。
やれやれ、人類を征服しようなんて考えるからいけないんだ。
フランスパンを持つ貧乏私立探偵なんか出て来たら一瞬で壊滅だろう。
さて、乗り捨てたJUSTICEのところへと戻ると、そこには店主さんのFOOLが駐機していた。
店主さんがJUSTICEに取り付いてなんかしてるし、修理してくれてるんだろうか。
「店主さん、なにやってんですか?」
「………………………………」
口パクして答えてくれない。
そこで店主さんが何かに気付いたように指パッチンをする。
「ここでは声が届かないんでしたね。これで意思疎通できます」
「そうっすか。なにしてたんですか?」
「JUSTICEの状態の確認ですよ。ボロボロです。本来の性能の10%も使いこなせてませんよ」
「アチャー」
そこまで使いこなせてなかったのか、オレ……。
「まぁ、本来なら最低でも神殿の首領か、魔術師クラスの魔術師が使うものですから想定よりも使いこなせては居るんですけどね」
「はぁ。よくわかりませんけど、どうしたらいいんですかね?」
「まぁ、魔術師として鍛えるか、あるいは魔術具で補助するとか……」
「んー、たとえばどんな?」
「現状でも色々と魔術具……って言うか、宝貝を組み込んでありますから、それとはまた別の、理に属する側の、いわゆる魔道書とか、あるいは錫杖の類ですかね」
「ははぁ、マスター・オブ・ネクロロリコンですか」
「欲しいのなら似たようなものならあげますけど、この期に及んでまだ幼女増やしたいんですか、あなた」
「いえ、いいです」
言ってみただけだからな。
「店主さんはそういうの組み込んでるんですか?」
「組み込んでますよ。これです」
そう言って差し出された魔道書を受け取ってページを開く。
精神防壁がどんどん汚染されて破壊されていくが、10分くらいなら持つな。
「なんて魔道書ですかこれ」
「色んな魔道書を私が編纂したオリジナルの魔道書ですね。名称は自祭教典です」
「ふーん……」
確かにめくっていくといろんな記述がある。
中国系の仙術とか、陰陽道の記述もあるから自分で編纂したものなのは間違いなさそうだ。
言語スキルを持ってるオレでも解読不能な言語がある辺り、暗号化されてる部分も多いようだ。
基本的にどんな言語でも解読可能なんだが、さすがにオリジナル言語までは対応してないからな。
「凄いですね。返します」
「はい。こういった魔道書があれば楽なんですが、さすがにこれの写本は許可できませんから。まぁ、ぼちぼち改修していきますよ」
「お手数おかけします」
なんでそこまでよくしてくれるのかはわからないが、好意はありがたく受け取っておくことにした。
自祭教典
6d100/12d100くらいの超ヤバい魔道書。
ネクロノミコンとかルルイエ異本とかの内容を全部纏めてごっちゃにしたから当たり前
全部解読した場合はヤバいが、一部分だけ読むのなら他の魔道書と大して変わらない
いや、もちろんそれでも相当ヤバいが




