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帰ってくるのがはえーよ! だらり現代生活記  作者: 国後要
なんてことのない現代生活という名の異常な現代生活
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スーパーロボット? リアルロボット?

 スーパーロボットが用意できたとのことで、案内されたのはオレの家の反対側。

 なんでここに? と思ったら、なぜか見知らぬ地下への扉が出来ている。

 入ってみれば、やたらと長い階段。


「店主さん、このやたらと長い階段は?」


「ただの様式美です。本当は10段くらいしかないのですが、魔法で暗くして、10回ほど空間をループさせて長いように演出しています」


 なんて意味のない演出だ。

 さて、そのループ構造の階段を抜けた先には異常に広い格納庫。

 そして、その中心に鎮座する鋼の巨人。


「おおおおお……」


 全長は50メートルくらいだろうか。

 鋭角的なラインを描く装甲に、流線型のフォルムはスーパーというかリアル系のような気がしないでもないが、まぁいいだろう。


「これが起動キー、銀の鍵です」


 そう言って渡されたのは、香木で造られたらしい箱だ。なんかキモい彫刻がされてる。

 開いてみると、羊皮紙に包まれた12センチくらいあるデカい鍵。銀だな、これ。アラベスク模様がなかなかエキゾチック。


「これで動力炉に火を入れる事が出来ます。並行宇宙を繋ぐ事によって生まれる次元の高低差を用いた動力炉で、その高低差を利用した一種の相転移エンジンです。それで動力を取り出し、機体内部の超高圧スチームタンクにスチームを……と言ったところですが、詳しくは省きます」


「ふむ、制御機器は?」


「ディファレンスエンジンです。限定的な用途に用いる限りはチューリングマシンを遥かに超える能力を見せると約束します」


「果てしないくらいにローテクですね」


「レガシーマシンの方が信頼性が高いのは確かですからね。まぁ、完璧に私の趣味ですけど」


 いや、ディファレンスエンジンはさすがにレガシーマシンってレベルじゃないと思う。

 それ枯れたマシンじゃなくて、衰退したマシンだから。

 ちなみにどんなものかと言えば、簡単に言うと歯車のオバケだ。そろばんを超高度にしたものという感じだろうか。


「スチームなのも?」


「私の趣味です」


「趣味なら仕方ない」


 スーパーロボットとかただの趣味だろ、現実的には。

 いや、趣味だからってさらっと作れるもんじゃねえのは確かなんだが。


「さあ、では動力炉に火を」


「はいはーい」


 どっからコクピットに乗り込むんだろうかと思った直後、なんか光みたいなのが出てきて内部に転移された。

 そこらへんまで魔法技術なのかと思いつつも、鍵を差し込むらしい穴に鍵を突っ込む。


 そしてぐるりと捻ると、重低音の唸り声が響き、周囲に光が点る。

 眼前のデカいディスプレイに表示されたのは、THT JUSTICEと実に端的な言葉。


「Justice……実に中二臭くていい名前だ!」


 さて、どうやって動かすんだかなと思いつつ、あちこちのレバーを適当に触る。


『もしもし、こちら時雨坂朝菜です』


「おん? 店主さん?」


 通信機能あるのか。


『このロボットはいわゆる思考操作なので、操縦桿握ってれば勝手に動きますよ』


「なるほどなー。ところで武器なんかあるんですか?」


『まぁ、地球を一日で焼き尽くせる程度の武装なら』


「過剰すぎる」


『まぁ、元々このロボットって人類同士で戦うためのものじゃありませんからね』


「なにと戦うためのもんなんです?」


『これと同じようなロボット作れる魔術師』


「ああ、なるほど」


 確かにそういうの必要になってくるわな。


『元々は対神用の人造神で、神格クラスの存在と戦うためのものなんですけど、時代が下るほど神格は駆逐されていくので最終的に魔術師同士の争いに使われるんですよ。そういうわけなので、最低でも神格を撃破可能な戦闘力を有しているので魔術師同士の戦いはトンデモな事になりやすいですね』


「ふむ……で、このロボットは何に使えばいいんですか?」


『知りませんよそんなの』


 オレ氏、スーパーロボットを欲しがるが使い道を考えておらず。

 なんか友達が持ってるからオモチャを欲しがる小学生のようなスメルを感じる……。


『とはいえ、何にもしないのもなんですし、どこかの並行世界で試合でもしてみますか?』


「お、いいですねー。やりましょうやりましょう」


『では、指定番号B98 B01で。ABCDEFGHIJ0にジャンプ』


 店主さんの言葉の直後、空間が渦巻いて捻じれる感覚がした。

 その感覚が収まった時にはもう、周囲は宇宙空間だった。


「うお、すっげー。どこっすか、ここ」


『話が長くなって面倒なので省きます』


「あはい」


『さて、では、始めましょうか?』


「ええ、いいっすよ」


 そう言いつつ、オレは操縦桿を強く握りしめる。

 オレの眼前には、店主さんが乗っているのだろうロボットがあった。


 白銀の装甲で体をよろい、ズタボロの外套でそれを隠す機械仕掛けの神様。

 顔には鼻から上だけを隠すドミノマスク。


 眼前のディスプレイには簡素なデータが表示されている。

 THE FOOLとだけ。


「うーん、これは実にアルカナ……」


 どう考えてもタロットカードのアルカナに対応した名前だよなぁ、とか思いつつ、こっちにカッ飛んで来た変な火の弾を右手で弾き飛ばす。

 それと同時にJUSTICEの右手が吹っ飛んだ。


「うおえっ!? 脆すぎだろこれ!」


『まさか。装甲は神珍鐵ですよ。神々の金属ですから簡単には壊れません。あなたの使い方が下手くそなんです』


「ああそりゃごもっともで!」


 怒鳴りつつも次々と飛んでくる火の弾に向けて適当な武装を解放する。


 選択したのは降魔杵。解放されたそれは一気に火の弾を消し飛ばして消える。使い捨てかよこれ。


「なんか武器! 武器!」


 その言葉と同時に周囲の物質が元素変換されて剣が生成される。

 その剣を手に取ると、画面に莫邪宝剣と表示される。


「封神演義かよ!」


『その通りです。まぁ、封神演義のより強力ですけどね。規模が惑星破壊ですから』


「へー、そうなんだ」


 封神演義は漫画で読んだことしかないから知らん。しかもあれ原作とは大分違うところ多いだろうから、オレの知識が当てになるのかどうか。


「とりあえず莫邪宝剣頑張ってくれ!」


 そう言いつつ剣を振り回すと、ビームが飛んで近くの惑星が真っ二つになった。


「oh……」


 威力とんでもねぇ……。


『呆けてると危ないですよ』


「のあっ!」


 いつの間にやら飛んできていた火の弾を莫邪宝剣で斬り飛ばす。

 そして新たに武装を選択して解放。


「いけ万隻火鴉壷!」


 JUSTICEの胴体からポッドのようなものが射出され、それが開くと中から大量の鳥が姿を現す。

 それは無数の火の弾を吐きながら、店主さんのFOOLへと突っ込んでいく。


「ハンパねぇ……」


 戦闘の規模がヤバイ事になってる。さっき斬った惑星に人とかすんでないよな……?

 そう思いながらも、オレは久しぶりに血の滾る戦いを楽しみ始めているのだった。

予約投稿の日付間違えてたヨー

ちなみに作中で言っていた神珍鐵は如意棒に使われていた金属と同じものです

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