暴走族は徒歩で帰りました
結局、暴走族たちはボコボコにされ、バイクはネジ一本余さず分解されるという目にあった。
結構気合いの入った暴走族だったらしく、車も持っていたのだが車もバラバラだ。
可哀想に。組み立てるのに10時間はかかるぞ、あれ。
暴走族たちはもう土下座して謝ってるし。
警察に通報するぞとか言ってる奴もいるけど、ここにいる奴のいくらかは警察なので言っても意味ないと思います。
警察官が犯罪に加担するって、この町けっこうまずい状況だよね……。
「相変わらずだね、この町」
「そりゃまぁ……うん……」
可哀想だが、この町に仕掛けるなんて言う自殺行為をしたんだから仕方ない。
この町がヤバイことくらい、近隣住民は誰でも知ってるはずなのに。
「討ち入りはもう終わったのか? 私の出番は?」
「無い」
「そんなー……」
レンがすごく残念そうだが、お前が対応すると確実に人死にが出るのでダメです。
「暴走族って、何するために来たのかな?」
「さぁ……? なんなんでしょーか。私にもよくわかりません」
シエルちゃんとアリシアちゃんは暴走族の意味をいまだに理解してないし……。
いや、理解されても困るっちゃ困るんだけど……。
「なんつーかまぁ、この町は一周回って平和だわ」
「まさか。この町は暴発寸前の火薬庫だ。一度火が付けば大事だ。いいガス抜きになった」
えっ。この町ってそんなヤバい状況だったんすか、ローザさん。
「ローザ、この町ってそんなにヤバい状況なの?」
「ああ。ヤバい。どいつもこいつも激しく気が立っている。宇宙人が来たなどと言う話になったら、日本が近代に入って初めて遭遇するクーデターが巻き起こるだろう」
ええー……。ヤバさもなんとなくわかったけど、その暴発の理由ちょっとおかしくねぇ……?
「あくまで例えだ」
「人の心を読むな」
「お前の心なんぞお見通しだ」
幼馴染だしなぁ……。
まぁいいや。
とりあえず、この町は平和だって分かったから。一周回った平和だけど。
さぁ、今日はもう寝よう。
しかし、なんで暴走族なんてもんがいきなり?
……ジョンソン・ウェーバーがなんかしてるっての、考えた方がいいかもな。
翌日、町はいつも通りに戻っていた。
この調子だと、町を焼け野原にしても次の日には元通りになってそうだな。
どこぞの使い捨てヒロインが居るアニメじゃ、何の脈絡もなく2~3回世界が滅んで元に戻ってたし。
「ところでフリマに行ったら呪いの人形っていうの100円で売ってたから買って来たんだけど」
「それって持ち主の手元に戻ってっちゃうから100円捨てたのと同じじゃね?」
「やべぇ。なんで早く教えてくれなかったんだタカネ」
「無茶言うなし」
ところががなぜか人形は手元に残り続けた。
その代わり、毎晩枕元で喧しく誰かが走り回ってうるさい。
あんまりにもうるさかったのでフリマで1000円で売り飛ばした。
翌日、玄関の前に人形が転がってた。
骨董店に売りとばした。48000円で売れた。江戸時代の品だったらしい。
翌日また帰ってきた。
隣県の骨とう品店に売りとばした。52000円で売れた。
翌日また帰ってきた。
更にまた隣県の骨とう品店で売りとばした。34000円だった。
翌日また帰ってきたので以降ループ。
「おーい、コンビニ行くけどなんかいる? 奢るぞ」
「タカヤ最近はぶりよくね」
「人形で儲けてるからな」
いやぁ、人形ってすごいわ。
こうしてオレの羽振りは大変良くなり、毎日のごとくハーゲンダッツを食べられるという贅沢? な生活を送れるようになった。
しかし、それとは対照的に、なぜか修也はげっそりしていく。
「修也、最近なんか調子が悪そうだがどうしたんだ」
「いや……なんか不運な事ばっかり起きてさ……」
「ふむー」
運気でも落ちてるんかね。
別に呪いがかかってるとかそういう事はないから、単純に運が悪いだけだとは思うんだけど。
「なんか開運ネックレスとかそういうのもってねぇの」
「持ってないよそんな怪しげなの」
気休めでもいいから持っておくだけで効果あるんだけどな、あれ。
「しょうがねぇな。じゃあ、オレの持ってる開運グッズを貸してやるよ。異世界産のすごい代物だぞ」
「ほんと? どんなの?」
アイテムボックスからお目当ての開運グッズ、ネックレスを取り出す。
怪しげな光を放つルビーが使われたネックレスだ。
「この悪魔のネックレスだが……」
「待って。待って」
「なんだよ」
「悪魔って? 怖いんだけど……」
「あのなぁ……悪魔って言われる奴が居たとするだろ? たとえばローザとかな」
「うん」
「ローザは悪魔か? 違うだろ? 人間だろ? つまり、悪魔っていうのは形容表現であって、そのものではないわけだ」
「ああ、つまり、これも同じように悪魔のような力を持ってるだけであって、別に悪魔そのものではないんだね」
「そうだよ」
「じゃあ、これなんで悪魔って呼ばれてるの?」
「2000の悪魔の死体から造られた邪悪なネックレスで、お前に敵意を持つ奴から幸運を奪い取って……」
「やっぱ関係あるんじゃねーか!」
修也が激怒した。
そして、結局開運グッズは使われる事はなかった。




