表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰ってくるのがはえーよ! だらり現代生活記  作者: 国後要
なんてことのない現代生活という名の異常な現代生活
82/107

罪深い食べ物

 さて、罪深い食べ物が思考の中とはいえども生まれ、その不毛さに思わず涙して、とりあえず店主さんにネタ振りをした。


「店主さん、面白い話プリーズ」


「白い犬は尾も白い」


「お、おう」


「面白いですか?」


「……お、面白い、ですよ?」


「貧相なセンスをしていますね。これが面白いとは正気を疑います」


 ……気遣った発言をしたのに、なんでオレはこき下ろさなければいけないのだろうか。


「……あー、そうだ。店主さんって錬金術師なんですよね」


「そうですよ」


「なんか強力な武器とかって作ったりするんですか? こう、アトリエな感じで」


「はぁ、アトリエですか?」


「はい。なんかこー、あるんですか? こうね、アトリエでいろいろ作る感じのゲームみたいな……ね?」


「ああ……あのゲーム面白いですよね。私もよくやりました。まぁ、錬金術の法則からはかなり逸脱してますけど、再現したりもしましたよ」


 能力のあるバカってすごいなぁ。


「じゃあ、店主さんの調合レシピとかってあるんですか?」


「ありますよ。科学技術で代替出来る物ならお見せしてもいいですよ」


「見せてください」


「どうぞ」


 差し出されたハードカバーの本を開くとラテン語で筆記されていた。

 普通なら読めないが、あいにくとオレには言語学スキルがある。


「なになに? 簡易レシピ、三段階水爆を台所にある材料で……高級レシピ、最も威力のある三段階水爆の材料……おい」


 なんだこの物騒すぎるレシピは。


「爆弾は定番じゃないですか」


「威力過剰!」


「じゃあ、こっちにダイナマイトが」


「それでも威力が強い!」


「困りましたね……ダイナマイト以下はありませんよ?」


 現代科学でアトリエやると大量破壊兵器を生み出してしまう事がよくわかった。

 戦々恐々としつつもページを捲っていくと、純粋水爆やら中性子爆弾などの汚い爆弾のオンパレード。

 爆弾の項を終えると、次は拳銃などの火器。


「これは?」


「あのゲーム武器も作ってたじゃないですか」


 いや、だからってあんたこんな物騒なもん……。

 そもそも、錬金術で造ってるの素材だけで、あと全部手作業じゃんか……普通にガンスミスじゃねーかこれ。


「……待てよ? 薬品とかも……」


「大麻って日本にも自生してるんですよね。大麻を作ったら犯罪ですけどね、まぁ、バレなければ、ね?」


「…………」


「あと、ね、ちょっとまぁ、寿命的な意味で拙いですが、急速に肉体を再生する技術とか、ない事はないですしね」


 アサナのアトリエ~ジャパンの錬金術師~は倫理的に拙いものがたくさんあった。


「しかし、ものによってはウランとかどうやって手に入れるんですかこんなの」


「まぁ、自力で採掘してくるか、どっかしらの国が保有しているのを盗んでくるかですかね」


「店主さんは?」


「私は物質創造も出来ますし、あらゆる物質のエリクシルを得ていますので、酸素を反応物にウランを作ることくらい造作もないです」


「この人アトリエシリーズの苦労を帳消しにしたぞ」


 採集の手間ゼロじゃん。ひたすら作るだけじゃん。

 何でも作れるならわざわざお金稼ぐ必要もないし、ずっと引きこもってなんか作ってるだけじゃん。


「錬金術師らしいじゃないですか」


「いや、まぁ、確かにそうですけどね……」


 史実の錬金術師ってあれじゃん?

 なんか精液とか馬の血とか混ぜて遊んでる、現代で言う……変態?

 その変態なら引きこもり続けてなんか妙な実験しててもおかしくないか……。


「はぁ……現実には夢が欠片もねぇなぁ」


「ありませんよそりゃ」


 世知辛いなぁ……。

 世間の世知辛さに打ちのめされ、テーブルに突っ伏して目線の先にあったカレンダーを見ていると、ふと気づく。


「クリスマスまで半年切ってるな」


 クリスマスが今年もやってくるのか。まぁ、うちは家族で祝うものなんで、シングルクリスマスなんて屁でもない。


「そうだねー、クリスマスパーティーやる?」


「気が早いですよトモエさん」


 そこら辺考えるのは10月くらいでいいと思うんだ。

 幾らなんでも6月に考えるのは早すぎる。まずは盆の事を考えないといかんだろう。


「そういえばクリスマスパーティーって外人からすると変な習慣なんだよな?」


「うん? ああ、まぁな」


 生粋のドイツ人のローザの意見だとやっぱり変な習慣らしい。


「まぁ、祝うこと自体はさほど変ではないが、恋人同士で過ごすというのはよくわからん感覚だ。ラブホテルに入るなどわけがわからん」


「ふーん……」


 よくわからんな。ここら辺人種の坩堝みたいな町とはいえど、日本だからなぁ。

 やっぱり文化は日本なんだよ。普通にクリスマス祝った一週間後には正月祝うし。

 というか、騒ぐ理由があったらとにかくお祭りしたがる気質が普通に通用してる。


「貴様とて、外人が盆に浮かれてセックスしていたらおかしいと思うだろうが」


「ああ……なんとなくわかった」


 確かにそりゃ変だ。

 自分たちの文化に例えて言われると非常にわかりやすいな……。

 盆に浮かれてパーティーしてたらアホなのは間違いないわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ