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帰ってくるのがはえーよ! だらり現代生活記  作者: 国後要
なんてことのない現代生活という名の異常な現代生活
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噛ませ臭

 何か異変を感知して、オレは自然と目覚めた。

 敵意がこちらに向けられている。殺気ではないが。……こういうと、オレが漫画の世界の住人になったみたいでなんか嫌だな。

 アホな事を考えつつもベッドから抜け出して廊下に出る。


「店主さん、起きてください」


 その前にせっかくなので店主さんも連れていくことにする。

 別にただでさえせまっ苦しいシングルベッドで一緒に寝る事が辛かった逆恨みではない。

 なんか店主さんから女の子っぽい匂いがしてちょっと興奮したから逆恨みをしたわけでもない。

 なんでこれで男なんだよちくしょう。いやなんでもない。


「はいはい……起きてますよ」


「そっちは壁です」


「いえね、夢の中で「壁とでも話していろよ」と言われたので」


「雨降ってましたか」


「もうスコールって勢いで雨が降ってましたね」


「そうですか。まぁ、とりあえず下行きましょう」


「はい、わかりました」


「なぜそういいつつベッドに潜るか」


 バッチリ起きてるように見えて寝ぼけてる店主さんを引きずって、階下に降りていくと、レンが寝間着姿で刀を持っていた。


「タカヤ、何か来たぞ」


「ああ、なんか来たな」


 それがなんなのかはわからんが、とにかくなんか来た。

 放置してもいいんだが、相手が変な事をしたら困るので仕方なく対応する。


「レン、オレがちょっと相手してくるわ。危なくなったらこの肉の盾を使って難を逃れるんだぞ」


「いや、これ店主殿じゃ……」


「肉の盾です」


 そう断言してサンダルをつっかけて家の外に出る。


 すると、そこには四人の男と一人の女が居た。

 え、なんなんですかね、この戦隊ヒーローみたいな人数割りは。


「フッ……どうやら少しは鼻が利くようだな」


「だが、反応が遅すぎる」


「その程度の反応で戦場を生き残れるわけもないわ」


「期待は出来ないが、試しはするか」


「そうすべきだな」


 な、なんて香ばしい事を言ってるんだこいつらは……。

 というか、ごちゃごちゃうるさい。そもそも今を夜の何時だと思ってるんだこいつらは。


「やかましいわ小僧ども!」


 とりあえず、やかましかったので気合いで吹っ飛ばす。

 気合いで吹っ飛ばすっていうのが我ながら意味不明だが、実際に物理的圧力を持ってて吹き飛ばせるんだから仕方ない。


「お前ら今何時だと思ってんだ! 深夜の3時だぞ! 消えろ! ぶっ飛ばされんうちにな!」


 荒野のハイエナ様の名言を引用しつつ怒鳴り、さっさと家に引き返す。さっさと寝よう。ったく。

 だが、次の瞬間にはオレの腕を掴んでる女が居た。


「そうは行かないわ。少しばかり力をもって粋がっているようだけど……世の中には絶対的な力の差があることを教えてあげないといけないの」


「ジョイヤー」


 とりあえずそいつの額にデコピンをした。

 空中で六回転くらいしてから庭に落下してそのまま動かなくなっちゃった。


「つまり、オレが最強ってことでいいのか?」


 結果から見てそうだよな?

 などと思っていると、残る四人のうち一人が一歩踏み出してくる。


「クククク……一番打たれ弱い奴を倒したところで粋がるなよ。俺の体は超軟性能力を持っている。如何なる打撃も俺には通用しない! さあ、どう対処してみせる?」


「へー」


 ビスッと音を立ててデコピンをしてみると、確かに全く通用していない。骨も脳味噌も超柔軟らしい。

 めんどくさかったので、胴体を掴んで持ち上げ、そのまま地面に叩き付けた。

 そしたら地面にめり込んで動かなくなっちゃった。


「ほう、なかなかの馬鹿力だな。だが、その馬鹿力も発揮する機会が無くては意味が無い。俺は貴様の考えの全てを読む事が出来るぞ。さあ、恐怖におびえろ!」


 めんどかったのでまっすぐ行って右ストレートでぶっ飛ばした。


「考え読めても反応できない速度だったら意味ないよね……」


 次からはもっと鍛えておけよ。

 などと思っていると、右腕が締め付けられる感触。


「フン、どうやらなかなかやるようだが……俺のサイコキネシスにどうやって対応する? さあ、このまま腕をねじ切ってやる!」


「ふんっ!」


 腕にグッと力を入れてサイコパワーを粉砕。


「ば、バカな! 俺のサイコキネシスをそう簡単に……」


「ふんっ!」


 もう一回やってきたのでもう一回粉砕。


「オレも超能力使えるぞ。とうっ!」


 バチィッ、と全力で両手を叩いて擦り合わせる。

 高速の摩擦で空気の温度が高まり、自然発火。


「ほら、パイロキネシス。ってあちぃっ!」


 手を燃やしてるんだから熱いのはあたりまえ。

 とりあえず、バーニングナッコーでぶっ飛ばした。


「はー、熱かった」


 超能力とかクソだな。


 さて、あとは一人だな。大体の場合、お約束の如く一番強い奴が残ってるもんだが……。

 ちょっとした期待を込めて、最後の一人、なぜか胴着に袴姿で木刀を持ってる奴に目線を向ける。


「いい腕をしているな……だが、やはりまだ粗削り。闘争の本質を知らぬと見える……」


 おい、なんか強敵っぽいこと言い出したぞ。


「戦いの定義……それを教えてやろう」


 お、踏み込んで来た。なかなか速いな。

 木刀にもなんか気とか魔力とかそういう感じのすごいぱわーがみなぎってるし、常人なら食らったら死ぬな。

 などと思いつつ、それをチョップで粉砕。


「ほう……霊木を削り出して作った木刀だが、砕くか」


「え? 霊木? なんかそういう凄そうなアレだったの? ご利益ある?」


 お守りになるかな……と思いつつ拾い上げてみるが、何か力は感じない。

 ぶっ壊したせいで消えちゃったかな……


「だが、我が退魔闘術の真骨頂は徒手空拳にこそある……虚ろを手にしたとき、我らは入神の域に至る……木刀など、私にとっては手加減の手段だ。つまり、貴様は木刀を折ったことで私の真の力を目の当たりにすることとなる。それに恐怖を感じるだろう。怯えるだろう。二度と拳を握れぬようになるやもしれぬ。だが、恥じる事はない。それは誰もが通る道だ……しかし、それほどの力を持ちながら歪まなかったお前ならば、必ずや立ち直ると」


「長い」


 めんどかったので拾った木刀を投げた。

 音速で飛んでった木刀の破片が胴体に直撃。

 くの字に折れ曲がってひっくり返り、そのまま動かなくなった。


「…………何だったんだこいつら?」


 よくわからないが、とりあえず五人集めてロープで縛る。

 そして、うちの庭に生えてる柿の木にぶら下げ、看板を書いておく。


「ええっと、修行中につき邪魔をしないでください、っと。これでよし」


 さて、寝なおすか。

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