表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰ってくるのがはえーよ! だらり現代生活記  作者: 国後要
なんてことのない現代生活という名の異常な現代生活
73/107

おとぎばなし

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 店主さんがタカネに唆されて美少女フィギュアを作っている最中、オレはシエルちゃんとぼちぼち会話をする。


「タカヤさん、わたし、小学校でうまくやっていけるでしょうか?」


「大丈夫大丈夫。そんなに難しいものじゃないから」


「ですけどー……この世界の事、よく知りませんし……」


「あー……」


 確かに風土を知らないと馴染めないってのはあるなぁ。


「あ、そうだ。昔話とかしてくれませんか? それを知っていたら、ちょっとはこの世界の事がわかるかもしれません」


「おとぎ話か……十二世紀末救世主~牛若の剣~とか?」


「面白そうです! 教えてください!」


「よしきた」


「待てバカ息子。日本に誤解を招きかねん話をするな」


 カーチャンにダメ出しされてしまった。


「じゃあ、オレが考えたおとぎ話、ジャッカルと豆の木を」


「なぜジャッカルが出る?」


「南斗爆殺拳好きだから」


「そっちのジャッカルか。とにかく子供向けでないことは確かだ。もっと別のにしろ」


「じゃあ、親指腐り姫」


「そんなものを混ぜるな」


「なら、赤雪姫」


「だから混ぜるなと言っているだろうが。白雪姫と親指姫が変わっただけではないか」


「分かった分かった。菅尾の石仏-ETERNAL NIGHT-はどう?」


「朝の来ない夜に抱かれていてはバッドエンドではないか」


「じゃあ、ヨシフのばか」


「なぜイワンからヨシフに変えた。赤い話になりそうだから却下だ」


「赤ずきん-Operation Avalanche-はどうだ?」


「それは実在するレッドベレーだろうが。子供向けではない。却下だ」


「じゃあ、死の灰を被った少女-世紀末舞踏会伝説-は?」


「剛の拳よりストロングな柔の拳を使いそうな小娘は却下する」


「アーサー王伝説-生き残れ――それが唯一の交戦規定-」


「円卓の意味が違う。英国が誤解される」


「桃太郎~これが貴様らの祖先を絶滅させたエネルギーの源だ~はどうだ?」


「その桃太郎は本当に桃から生まれたのか?


「あれもダメ、これもダメって……どうしたらいいのさ?」


「まともな話をすればいいんだ」


「じゃあ、竹取物語」


「なぜそこでかぐや姫じゃなくて竹取物語なんだ」


 え、いや、なんとなく?


「じゃあ、竹取物語にするけど……えーと……なんだっけな。今は昔、竹取の……えーと……」


「さっそく詰まってどうする……」


 カーチャンにダメ出しされた……なんて思っていると、玄関の方からただいまー、という声。

 レンが帰ってきたのだ。


「お帰りー、レン。レン、竹取物語知ってるか?」


「うん? ああ、国語の教科書に載っていたな。覚えているぞ」


「ちょっとシエルちゃんに話してあげてくれない?」


「構わんが……まさかお前、竹取物語を知らんのか?」


「え、えっ? だ、誰が竹取物語を知らないって証拠だよ。し、知ってるに決まってるじゃないですか」


「ほう。では言ってみるがいい」


「え、えーと……今は昔、竹取の翁というものありけり。野山に交じりて竹を取りつつ万代の事に天下無敵にして万朶喝采の賞賛を浴びし者なり」


「違う。竹取の翁はいったい何者だ」


 ……どっかのチャンピオン?


「ったく、タカヤはこれだから。これであたしのオリジナルとは思えんぜ。あたしはわかるぜ」


 オレが詰まっていると、店主さんと話していたタカネが参加してきた。

 オレの分身だからなぁ……こいつも本当にわかってるか怪しいところだが……。


「では言ってみろ」


「今は昔、竹取の翁と言うものありけり。その男は墓に住み、あらゆる者も、あらゆる鎖も、あらゆる総てを持ってしても繋ぎ止めることが出来ない」


「違う! 竹取というかそれは墓守だ!」


「では、今度は私が」


 すると今度は店主さんが参加。

 店主さんならいろんな事知ってそうだし、完璧にそらんじてくれそうだな。


「お、おお、朝菜殿であれば安心だな」


「今は昔、竹取の翁というものありけり。彼は縛鎖を千切り、枷を壊し、狂い泣き叫ぶ墓の主」


「違うわぁ! なんなのだその恐ろしい翁は!」


 獣……かな?


「全く、この馬鹿どもが。母の威厳というものを見せてやろう」


「……お義母さま、どうぞ」


「今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山に交じりてゲッターに選ばれし者として……」


「ダメだ、この家は……」


 レンが匙を投げた。


「そんなに言うんだったらレンが言ってみろよ、おう。はやくしろよ。おう」


「はぁ……今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、讃岐の造となむいひける」


「なっ……」


 ば、バカな……レンが、完璧に諳んじて見せた、だと……。


「す、すげぇ、レンがこんなに頭が良かったとは……」


「大した奴だ……さすがはレン……やはり天才か……」


「驚きです。これは私の魔道の蔵書、グリモワールに新たなる項目を書き加える必要があるでしょう」


「データリンクで情報を回さなくてはならないな。スレッド名は【うちの義娘が】小学4年生の義娘が竹取物語を諳んじた【天才過ぎて生きているのがつらい】で決まりだ」


「はわー、レンちゃんすごいですー」


 シエルちゃんだけまじめに反応返してる。


「……タカヤ、私はなんだか今、無性に暴れたい気分だ」


「そうか。お外で遊んでおいで」


「……いってくる」


 木刀片手に外に出ていったレンを見送る。ちょっとからかいすぎたかも。

年も明けましたが、今後も変わらず続きの執筆に邁進していきたいと思います。

どうか、今後ともご声援のほどをよろしくお願いいたします。

お気に入り登録や、↓の評価フォームで評価をぽちっていただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ