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帰ってくるのがはえーよ! だらり現代生活記  作者: 国後要
なんてことのない現代生活という名の異常な現代生活
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ただそれだけに特化した魔術回路――――!

 そんな感じでアナライズでいろいろと遊んでいたところ、タカネが帰ってきた。


「ただいま」


「お帰り。オレの可愛くて、物騒な性格じゃなくて、アホの子じゃなくて、甘えんぼでフラグの立ってる異性の幼馴染は?」


「売ってなかった」


「そうか……」


 残念だ。売ってたらむしろ怖かったが。コンビニで人身売買がまかり通る世界ってどんな世紀末だよ。


「では、私の人の指をへし折ったり、暇だからという理由で切り付けたり、何もしてないのに殴ってきたり、すごく優しくて惚れかけたら実は男性だったりしない女性は?」


「それも売ってませんでしたわ」


「そうですか……でも、考えてみると私の出した条件って全人類の50%ほどは当てはまりますよね」


 そりゃ人の指へし折ったり、暇だからって切り付けてきたり、何もしてないのに殴ってくるような女性は早々おらん。


「タカネ、私の浮気しない夫は?」


「そのうち帰ってくる」


「そうか」


 うちのトーチャン浮気したことねえもんな……。

 大抵、うちのカーチャンが勘違いしてるだけだから。でも勘違いで本気の殴り合いの夫婦喧嘩するのはやめてほしい。

 うちのトーチャン、夫婦喧嘩で死なないためにプロボクサーみたいな体型になっちゃってるし。


「シエルちゃんには飴ちゃん買ってきたよ。はい」


「わー、ありがとうございますー」


 タカネがその場にぺしゃりと座り込む。

 そして、買ってきた板チョコをパキリと割ってぱくり。


「んー、チョコうまー」


 そう言えば……ネコって、チョコを食べたら危ないんじゃなかったっけ?

 まぁ、そこまで大量じゃないから大丈夫だとは思うけど。


「んー? なに? スカートが気になる系?」


「違います」


 バカな事言ってられるなら大丈夫だろ。


「そんなに隠さなくてもええんやで? アテクシのパンツ見たくてもええんやで?」


 すすすす……とタカネがワンピースタイプの服の裾を持ち上げていく。

 あらわになっていく白く細い太腿。今気づいたが、コイツさりげなくあひる座りしてやがる。

 ちょっと前まで平然とあぐらかく奴だったのに。


「んふふふ。見たい? 見たい?」


「うーん……ハルク・ホーガンが松田優作の恰好をしてるのと同じくらいは見たいかな」


「なんだその例え。ちょっと見てみてーよ」


「つまりその程度には見たい」


「なるほど。じゃあ、別に見れても見れなくてもいいって程度の関心なのね」


「そうです」


「じゃあ見せたげる。はーい」


 そう言ってたくし上げられたワンピースの下には……スパッツ。どうせそんなこったろうとは思ってた。


「クアカカカカ! このタカネがトモエさん以外にパンツを見せると思うてか!」


「昨日風呂上りにパンツにキャミソールだけでうろついてた奴が何を言うか」


「そーいえばそんなこともしてたっけ」


 コイツ、決定的に羞恥心が欠けてるからなぁ。

 まぁ、この家じゃ家族しかいないからな。家族以外だと同性か、自分の旦那しかいないわけだし。


「そう、テメェの振る舞いには決定的に羞恥心がかけてる」


「えーと……フン、そんなもの犬にでも食わせてしまえ」


 あー、普通に返してきたわ。


「あのさー、投影とかできねーの?」


「んー……?」


 近くにあった紙を手に取って、そこに手をかざす。

 すると、バシッと音がして紫電が奔る。


「ほれ、投影」


 紙を手渡す。そこにはこの部屋を上方向から念写した絵。


「……いや、これ念写じゃん。しかも影だけの」


「だから投影だろうが」


 影を映すから投影。間違ってないはずだ。


「いや、ほら、トレースオンって感じの」


「ああ、あれ……似たような魔法ならあるけど」


 武器作成の魔法だ。使い捨ての武器なのでそんなに便利ではないんだがな。

 というか、あんなチートな武器は作れないので、ぶっちゃけ役立たず魔法ナンバーワンクラスだ。


「じゃあ、その魔法を応用して……ずばり、これを投影してほしい」


 そういってタカネが差し出してきたのは、ジルの写真だった。

 全身像を映した写真だ。


「いや、この魔法って剣専門なんだけど。剣しか作れないぞ。一瞬だけ盾作れるとかそう言う設定もないから」


「いいからやってよ」


「分かった分かった……」


 ――創造の理念が分からないので適当にやって。

 ――基本となる骨子も分からないので適当にやって。

 ――構成された材質を複製ってどうやるのか分からないので適当にやって。

 ――製作に及ぶ技術を模倣とか無理にしか思えないので適当にやって。

 ――成長に至る経験に共感とか無理なので適当にやって。

 ――蓄積された年月を再現とか意味不明なので適当にやって。

 ――俺はなにやってるんだろうかという疑念を封印し。

 ――全てを適当にしたものをここに結びフィギュアと成す。


「トレース、オフ」


「……なにこの邪神像」


 完成したのは邪神だった。やっぱ無理だったんだよ、刀剣用の魔法でこんなの作るなんて。


「人形作成に特化したマジカルサーキットとかねーの?」


「ねーよ。そういうのは店主さんに頼め。あの人うまいぞ」


「マジで。店主さん、ジルをモデルにフィギュア作ってー」


「いいですよ」


「いえーい。んじゃ、これ参考にお願いしますね。んで、ジルはもうちょい髪長いほうが映えると思うんで……」


「ふむふむ……」


 なにやら楽しそうに会議し始めたタカネと店主さん。

 店主さんのすごい人形作りの腕前、あんなことに生かしていいんだろうか……。

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