上には上がいる
さて、そんなふざけた話をぼちぼちしてると、唐突にタカネが立ち上がる。
「チョコレート食べたくなったからコンビニ行ってくるわ。なんかいるものある?」
「可愛くて、物騒な性格じゃなくて、アホの子じゃなくて、甘えんぼでフラグの立ってる異性の幼馴染」
「売ってたら買ってくるわ。店主さんは?」
「人の指をへし折ったり、暇だからという理由で切り付けたり、何もしてないのに殴ってきたり、すごく優しくて惚れかけたら実は男性だったりしない女性」
「売ってたら買ってきます。カーチャンは?」
「浮気をしない夫」
「はいはい、売ってたら買ってくるわ。シエルちゃんはなんかいる?」
「えっとですねー、飴ちゃんほしいです」
「シエルちゃんはいい子いい子……」
「はわー……」
タカネがシエルちゃんの頭をなでたくなる気持ちもわかる。
オレもあんなふざけたこと連続で言われたらキレたくもなるわ。
そして、タカネが出ていったのを見送り、再びぼーっとする。
特にやることがないんですもの。
「そういえばタカヤさん。ずーっとランニングしてましたけど、今日はなんだか体の調子がよかったんです」
「ふむ? 能力値が上がったのかな」
【アナライズ】を発動する。読んで字の如く解析で、ステータス看破能力だ。
自分よりステータス低い相手にしか使えないクソスキルだけど。
「うん、筋力と持久力がだいぶ上がってる感じ。アナライズじゃわからないけど、体幹が安定してきてるのもあるかな」
姿勢の乱れがあると、体力の消耗って激しいからね。
「よかったですー。昨日は何もしてませんでしたから、鈍ってないか不安でした」
「ま、継続は力なりっていうもんねぇ」
うんうん、と言っていると、不思議そうにカーチャンが声をかけてくる。
「今、何をしたんだ?」
「ああ、ステータスを見る魔法ってのがあって、まぁ能力を数値化出来るものだよ。あんまりあてにならんけどね」
「ふむ、具体的には?」
「筋力が常軌を逸して高くても、技量がなければ避けやすくて怖くないから……」
「なるほど。あくまで数値化出来るだけ、という事か。総合的能力は見て判断するほかなし、と」
「そういう事かな」
試しにカーチャンの能力をアナライズ。成人女性としては最上級のステータスの持ち主だった。
あと、銃器とか戦車の使用マスタリーがあったけど気にしない。
「ちなみに、そこの時雨坂朝菜という奴はどんな感じなんだ?」
「店主さん? 前にアナライズしたけど通らなかったから無理」
ステータスのどれか一つに上回ってるところがあると見れないから、たぶん魔力とかがオレより上なんだろう。
レンのステータスとかも、素早さがオレを上回ってるから見れないし。まぁ、相手が受け入れてくれれば見えるんだけど。
「こっちで受け入れるので見てください」
「ああ、そりゃどうも。んじゃ【アナライズ】」
ステータスは魔力と知力以外は一般人並みか。魔力と知力がオレの数千倍以上だけど。
で、スキルがチートすぎるんだけど。
「神威召喚ってなんですか?」
「神格の召喚能力ですね。今のところ統合したりして1000柱ほど」
「無限魔道倉庫って?」
「無限の空間の広がりを持った倉庫で、今までに作った魔道具や兵器が収めてあります」
「完全昇華錬金って?」
「文字通りに完全に昇華させる錬金術です。まぁ、言ってしまえば、万物一切全てを自由自在にあらゆるものに変換できるといったところで」
「理想現出現象って?」
「理想を現実に現出させて、現実を上書きする現象ですね。完全昇華錬金が物質作用なら、こちらは空間作用系です。大した違いはありません」
「万物流転制御って?」
「時間という概念は存在しますが、そもそも時間なんて存在しないんですよ。万物の流転する経過を時間と称しているだけです。つまり、時間軸の自由制御ですね」
「仮想世界創造って?」
「文字通りに仮想的に世界を創造する能力です。実質的な世界創造も出来るのですが、人間の領域を超えた力なので、神格召喚のほうで賄っています」
「阿迦奢年代記閲覧って?」
「アカシックレコードの別名の事です。そこまで便利なものではないですけどね」
なんだこのチートはかっこきょうがくかっことじ。
「私程度で驚愕していたら生きていかれませんよ。トモエさんなんて、私のこういった能力一切合財無視出来ますから」
「インフレ酷過ぎだろ。これが漫画とかアニメなら批判殺到だな」
「待ちたまえ、君たち」
「メタルダー!」
まぁ、オレたちがガチでアニメとかの人物だったら今のはメタネタっぽいな……。
「トモエさんはどうかな?」
意識喪失してるから割と見れるかも。そう思ってアナライズを使うと、アナライズが通った。
「うわ、すげえ。店主さんより魔力が上だ。でも知力は店主さんより下……意外だ」
「そりゃ無限に存在出来る私が本気で知識を収集したら、あくまで人間のトモエさんじゃ敵いませんから」
「なるほど」
しかし、スキルが何にもないな。
「トモエさんのスキル何もないんですけど、これってどういう事なんでしょ?」
「文字通りに何も持ってないんですよ。特筆した特殊能力はありませんから」
「へぇー……」
「ただ、特殊能力を一切使わずに私のスキルの上を行く、と言えば、どれだけ凄まじい魔法の使い手かわかるでしょうか」
「……とんでもねぇ」
トモエさんの手にかかれば、世界の創造すら出来るってことか……? とんでもねぇ……。
タカネ、マジでとんでもない人と結婚しちまったな。




