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帰ってくるのがはえーよ! だらり現代生活記  作者: 国後要
なんてことのない現代生活という名の異常な現代生活
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泳げる必要性 空を飛ぶ必要性

 スマブラをやり続けて、数十分。


「店主さんつええ……」


「まぁ、練習の成果ですよ」


 冗談抜きで店主さんが強すぎる。

 オレたちの肉体の反応速度なら、小足見てから昇竜余裕のはずなのに。

 というか、この人はセットプレイが本当にうまい。変態的にうまい。


「店主さん、格ゲー大会とかに出たら優勝できません?」


「出来ると思いますけど、ああいうのは見てるのが一番楽しいですしね。ノリについていけないんですよ」


「あー……」


 確かにそれはわからないでもない。あのノリのせいで格ゲーって明らかに敷居高いし。


「まあー、戯言は置いといて、続けますかー」


「そうですね」


 というわけで、再びガチャガチャ。楽しいが、メンツ変わらないと戦法が読めてきて詰まんなくなるな……。

 というか、店主さん相当強いから、こっちぼろ負けしてあんまり楽しくない気も……。


「……ところでさー、タカヤ」


 今までぼーっとした様子でコントローラーをかちゃかちゃやっていたタカネが唐突に言葉を発する。


「なんだ?」


「ロボ娘って、いいよねぇ」


 それは認めるが、お前いったい何を見てロボ娘っていいね、という思考に行き着いた?

 ……今、ロボット使ってたの関係ないよな? それに性別あったか?


「タカヤ、ロボ娘とか作れないかな?」


「タカネ、記憶が戻ったのね。あなたは左腕に銃を持つ宇宙海賊、殺し合いの毎日に嫌気がさして記憶を消して、トモエさんの嫁として平和に暮らしていたのよ……」


「そのロボ娘はいい。ヒロイン力高いけど見た目が……」


 確かにオレもあれはご遠慮願いたいところだ。相棒としては最高かもしんないけど。

 その後もほとんど会話もないままにゲームは続く。


「…………もしもさ、一週間後に世界滅びるって言われたとするじゃん?」


「いきなりなにさ?」


「いいから聞け。で、それを救うために三つのどんなアイテムでもくれるって神様的なものに言われたらタカネはなにもらう?」


「そうだな……シヴィⅤ……いいかな?」


「お前現実逃避する気満々じゃねーか」


 それあったら一週間くらい余裕でつぶせちまうわ。


「店主さんならどうしますか?」


「浴びるほどの酒、トベるクスリ、装填済みの銃」


 諦めるつもり満々だ。


「タカヤはどうすんの?」


「血濡れのギガンテス、チートブレイザー、ゲッペラー」


「力技すぎる」


 全てを粉砕する暴力で挑めば解決するんじゃないかなと思ったんだが。


 その後もいやいやゲッペラー様よりゴッドなライデなんとかさん、天元突破する奴はー? とかそんな話になって、最終的に伊達や酔狂でこんな頭をしてるわけじゃないロボが浪漫的に最強という結論になって終わった。


 そんな馬鹿な話をしていると、シャワーを浴びに行っていたシエルちゃんが戻ってきた。

 そしてカビが生え初めてるようにすら見えるアリシアちゃんにビビってる。


「な、なにがあったんですか?」


「何でもないの……」


「そ、そうなんですか? えっと……相談があったら、いつでも乗りますよ?」


「うん……ありがと……シエルはやさしいね……」


「い、いえいえ……」


 うーん……心温まる光景ですね……。


「あの、タカヤさん、何があったんですか?」


「アリシアちゃんの料理食べたら、店主さんが吐血して、トモエさんが瀕死になって、オレが即死しちゃって落ち込んじゃってるんだよ」


 さっきシエルちゃんも天に召されかけたが、記憶を抹消してしまったらしい。

 まぁ、あれ食べたら精神への衝撃ハンパないもんね。防衛本能で忘れちゃうよね。


「即死!?」


「即死って知らない? 即座に死ぬってことで……」


「いえ、それは知ってますけどっ! も、もしかして……今のタカヤさんは幽霊……」


「オレ 悪霊タカヤ コンゴトモヨロシク……」


「ひええーっ!」


 逃げ出そうとしたので襟元を捕まえて逃げるのを止める。


「冗談だって。ちゃんと生きてるから」


「ほ、ほんとですか? ……足がありますっ! 生きてますね!」


 判断基準それなんだ。


「でも、トモエさんはどうしちゃったんでしょうか?」


「ああ、トモエさんは一時間もすれば目を覚ますってさ。大丈夫だよ」


「そうですかー……安心ですねー」


 にへー、と笑うと、シエルちゃんがオレの膝の上に飛び乗ってくる。

 それを受け入れて膝の上に座らせる。


「タカヤさん、学校って何をするところなんですか?」


「んー?」


 ああ、そういえば、学校云々の話だったっけ、もとはといえば……。


「まぁ、建前を学ぶところで……一応、夢を叶えるための準備期間……みたいな?」


 いまどきのガキなんて夢なんか持ってないことのほうが多いが。

 そもそも夢持てないような社会構造だから仕方ねぇ……。


「夢ですかー。私はですねー、将来は船乗りさんになりたいです」


「へぇー。そりゃまたなんで?」


「それはですねっ、船乗りさんになれば、世界中どこにでもいけるからですよっ!」


 なるほど。


「でも、私、泳げないんです。船乗りさんになれないですよね……」


「別に船乗りだからって泳げるようになる必要はないと思うけど」


「そうですか? けど、おぼれた時には泳げないといけないと思うんですが……」


「考えてもみなよ。飛行機のパイロットは空飛べないんだぜ? なのにパイロットになれる。なら泳げなくても船乗りになれるっしょ」


「なるほどー」


「いや、その理屈おかしい」


 タカネに突っ込まれたが無視。


「というか、スマブラの続きは?」


 やっぱり無視しました。


「というかあれじゃね? 飛行機のパイロットは事故った時にはいろんな意味で生身で空飛ぶから空飛べる必要ないんじゃね?」


「その発想はなかったわ」

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