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帰ってくるのがはえーよ! だらり現代生活記  作者: 国後要
なんてことのない現代生活という名の異常な現代生活
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忘却は時として救いになる。しかし無知は災いを招く

 どこぞの雑技団みたいなことをしつつも無事にジルを中学校まで送り届けると、そのままUターンして帰宅。

 途中でレンにすれ違ったので、行って来いよー、というと、力強く行ってくる! と返事を返された。

 そこまで気合いを入れなくてもいいと思います。まる。


 さて、我が家に帰宅すると、シエルちゃんが作ってくれたという朝食をいただく。


「んまい。このサラダがしゃっきりポンとして何とも」


「それはお野菜ちぎっただけです」


「トーストがカリカリふわふわで甘くてうまい」


「それは買ってきたパンを焼いただけです」


「目玉焼きがうまい」


「それはお義母さんが焼いたものです」


「ソーセージがうまい」


「それは焼いただけです」


「じゃあ何したの?」


「ちぎって焼いて焼きました!」


「なるほど!」


 何がどうなるほどなのかはよくわからんが、とにかくなるほど。

 朝ごはんは普通においしかったので、それでよし。


 さて、朝ごはんを食べた後は、カーチャンとトモエさん、そして役立つのか微妙なタカネを交えて、シエルちゃんとアリシアちゃんの学力を調べる。

 アリシアちゃんは問題ないと思うんだけどね。


「じゃあ、問題です。単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3乗に同相である。これは本当?」


「はい! 私、バカだからさっぱりです!」


「私も何言ってるかわからなかった」


「ですよね」


 我ながらアホな質問したもんだと思っていると、なぜかトモエさんが手を上げている。


「はい、トモエさん」


「ポアンカレ予想だね。僕は証明しているけど、ここに書くには余白が短すぎるよ」


「ピエール!」


「フェルマー!」


 パシーン、とハイタッチ。わけのわからないシンパシーを感じた。


「ちなみに証明してるのは本当だよ。なんなら、今からミレニアム問題どれか解いてこよっか?」


「オレの知り合いのズィプウント・ツヴァンツィッヒってやつの電話番号教えるんで、そいつと好きなだけ議論してください」


「遠慮しとく」


 そもそも賞金100万ドルの問題なんて解かれても困る。

 あれ解いたら超天才ってことになるはずだし、明らかに無用な騒ぎを引き起こす。

 まぁ、この町に住んでるやつが解いちゃってるので、すでに無用な騒ぎはこの町に起きてたりするんだが。

 ちなみにそれが、さっき言ったズィプウント・ツヴァンツィッヒってやつ。ドイツ人なので名前が無意味にかっこいい。

 たぶん、この町の中でも最高位に位置する変人。頭はいいし、美形なんだけど、とにかく変人。


「美少女、美形、その他もろもろはみんな変態になる使命を背負ってるのかな……」


 トモエさんを見て一言。うん、たぶんそうに違いないな。ジルもそうだし。


「なんか今すごく失礼なことを言われた気がする」


「いえ、トモエさんが変態だって言っただけなんで気にせずに」


「そう? ならいいけど」


 ……あれ、納得しちゃうんだ?


 まぁ、それはさておき、今度はまじめに二人の学力を確認していく。

 その結果、アリシアちゃんは既に中学校卒業相当。シエルちゃんも小学校くらいなら余裕ということが判明した。


「トモエさん、シエルちゃんに勉強教えてたんですか?」


「うん。勉強は身に着けておいて損しないからね」


「なるほど。学力面は問題ないから、あとは運動かな。アリシアちゃんは問題ないね」


 剣を教えてた生徒なので、運動能力が全く問題ないことは把握済みだ。

 アリシアちゃんは突き抜けて身体能力が高いわけではないので、注意も別に必要ないだろう。


「シエルちゃんはー……」


「運動なら得意ですよ?」


「そうだとは思うんだけど、一応ね。カーチャン、頼んでいい?」


「任せておけ。さあ、シエル、私がいいと言うまで家の周りを走り続けろ」


「ふぇぇ!? な、なんだか兵隊の訓練のようなものを感じます!」


 とてつもなくスパルタなスメルを感じたが、カーチャンも悪鬼羅刹ではないので手加減はするだろう。


「アリシアちゃんは、家庭科だね。料理出来たっけ?」


「出来ない……けど……」


「そっか。まぁ、前にやった時は……やった……ときは……」


 ……あれ? アリシアちゃんって、料理作ったこと、あったっけ……?

 ふむ……思い出せないって事は作ってないんだな。


「んじゃ、試しに何か作ってみようか。トモエさん、指導お願いできますか?」


「うん。任せておいて。どんなへたっぴでも、三ツ星レストランのシェフを張れるようにしてみせるよ」


 そこまで頑張らなくていいですと一応断って、店主さんの家に向かう。

 味見係は多いほうがいいだろう。


「そういうわけなので、味見係をお願いします」


「何の事だかサッパリポンですが、タダメシが食べられるなら」


 割と現金な性格をしている店主さんを引き連れ、家に戻る。

 特に何か匂いがするというわけでもなく、何を作っているのかと台所を覗くと、どうやらジャーマンポテトを作っていたらしい。


「おかえり。あ、朝菜くんも来たんだ」


「はい。それで、私は何を食べさせられるんでしょうか?」


「大丈夫だよ、毒物じゃないから。君、プラスチックでも食べるでしょ?」


「重金属も食べませんよ、一応」


 よくわからん会話を繰り広げている二人を無視して、アリシアちゃんの作ったジャーマンポテトを運ぶ。

 さて、おいしくできてるかな? 楽しみだ。

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