ミュウツー(遺伝子組み換えでない)
修也の恋愛相談に乗って、その後、みんなで修也をいじめた。
いじめた内容は、その女の子がどんな子なのかとか、どこが可愛いのかとか、どうして好きになったのかとか。
つまるところ、コイバナって酒の肴に最高だよねってことだ。
まぁ、いじめすぎたのか修也は逃げ出して部屋に閉じこもってしまったが。
「いやー、修也いじめを堪能したなー」
「最低の遊びだー」
そう言う割には一番楽しんでたのはタカネだけどな。
「ところで、シエルちゃんたち遅くね?」
「そう言えば、もう1時間くらいになるね。女の子はお風呂が長いものだけど、ちょっと長すぎるかな。タカネちゃん、見て来てあげてよ」
「はいなー。ついでに一緒に入って凌辱の限りを尽くしてこよう。体中洗ってやるぜ……うへへ」
トモエさんの頼みで出て行ったタカネを見送ると、出しっぱなしだった三味線を手に取る。
「んー、この三味線使う事もあるかもしれないし、三味線の楽譜手に入れるかなぁ……」
「それって、音楽鳴らすと建築物とか作れる系の魔道具?」
「そうだよ。うちの家具の大半はこれで作った」
シエルちゃんたちが急に増えて、仕方なくって感じで作ったんではあるけどな。
素人が作ったものだし、そのうち新しいものに替えないとな。
「そう言えば、ジルもこういう系統の魔道具持ってんの?」
「似たようなのはあるかな。まぁ、私は楽器弾けないから使えないけどね」
宝の持ち腐れじゃんか。
「ピアノとかならそこまで難しくないからやってみるか?」
弦楽器と違って、鍵盤押せばそれでオッケーだからな。
上達云々は別として、ただ弾くだけならそこまで難しくない。
「ピアノかぁ。私、音楽はやった事ないからちょっと憧れるなぁ。それに楽器系の道具って多いし、もしもピアノが弾けたなら色々と便利だしね」
「あー、思いの全てを歌にするのか」
「西田敏行とか、今どきの子供分からないと思う」
「それもそうか……」
じゃあなんでジルは分かるんだ? コイツ、変なところで昔の事よく知ってるよな……。
試してみるか……。
「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね」
これで反応したらこいつは……。
「谷底に落としたんでしょ。その上に雪が降り積もってるんでしょ」
「……お前ほんとに元大学生か?」
めっちゃ古い詩だぞこれ。
「ふつーに元大学生だよ」
「うっそだぁ。実は50過ぎなんだろ?」
そう言うと、ジルが懐からボタンを取り出す。
漫画とかに出て来そうな、箱に赤いボタンが一個だけついてるような感じの。
「タカヤ、あまり調子に乗ってるとこのボタンを押すよ?」
「何そのボタン!? 押したら何が起きんの!?」
具体的になにされるか言われるよりも怖いんですけど。
「まぁ、このボタンはおいといて」
「いや、よくない。何が起きるのか気になって夜も眠れない」
「昼寝れば?」
ひどい。
「この世界は私的には、14年振りってことになるけど、この世界では1年くらいしか経ってないんだよね」
「そうなのか。でもまぁ、1年でも変わる事は多いだろ」
「まぁね…………ポケモンの新作出てるかな?」
真っ先に気にするのがそれか。
「出てるんじゃね? オレはポケモンあんまやらないから詳しくないけど」
「新しい伝説ポケモンとか気になるしさ。どんなのかな?」
「伝説かー。聞こえるか聞こえるだろう……」
「それは伝説過ぎる。宇宙リセットされちゃう」
もしも居たら600族どころか全種属値が255だろうな……。
普通の技が一撃必殺技並みの破壊力持ってそうだ。専用技はぶっ放したら相手のポケモン全部瀕死になるんじゃないか?
「タカヤは気になるゲームとかなかったの?」
「あったと言えばあったけど……」
「それはどうしたの?」
「いや、延期が異常に多い会社だから、1年程度じゃ……」
「あー……3年で1単位?」
「うん」
「新作出てた?」
「告知されてたけど延期されてた」
「だろうね」
そう言うわけで、年単位で行方不明になってても気にする事は無かったりする。
まぁ、やってたネトゲは周囲から完璧に置いてかれてたんで、アイテム全部ばらまいて引退したけど。
「そうだ、ジル」
「にゃに?」
「噛んだ」
「噛んでない」
「じゃあなんなんだ?」
「わざと。萌えた?」
「うん、まぁ……」
不意打ちだったから予想以上に破壊力があった。
「それで、どうしたの?」
「お前、14歳だから義務教育を受けなくちゃいけないんだけど」
「いや」
「ダメです。レンも小学校に通ってるんだぞ。ちなみにアリシアちゃんとシエルちゃんも学校に通って貰う予定だ」
ランドセルの調達が面倒だ……とカーチャンがぼやいてたが、仕方ないね。
「分かった分かった……体弱いから保健室登校でいい?」
「お前で体が弱いんだったら、この世界の人間はみんな半死人だよ」
コイツはオリンピックに出たら銅メダルでオセロが出来るくらいの身体能力があるんだ。
なぜ金メダルじゃないかというと、金メダルはオレが全部かっさらうから。銀メダルはタカネかレン。
「そんな事ない。私は深窓の御令嬢だよ?」
「そうか……砲丸投げ何メートル投げられる?」
「地平線の彼方まで投げれるよ」
「オレの知ってる虚弱体質とちがう」
少なくとも虚弱体質の人間はそんなワンリキーみたいな事は出来ないはずだ。
というか、人間は砲丸を数キロメートル以上投げ飛ばしたり出来ない。
「そう言うわけで、我儘は許しません。中学校に通いなさい」
「やだやだー。中学校はもう卒業したのー」
「カーチャン、この娘こんなこと言ってますけど?」
今までお茶を飲んでいたカーチャンが湯呑をテーブルにおいて一言。
「学校に通わねば…………なんかするぞ」
なんかってなんだ、なんかって。
……カーチャンならとんでもない事しでかしそうだな。
「タカヤは学校通ってないのにどうして」
「卒業したところでまた異世界とやらに行くのだろう。無駄な学費を使っても仕方あるまい」
全くもってその通り。
「それ、私にも適用されると思うんだけど、そこのところどうなの、タカヤ」
「中学校は義務教育」
「……うわー、律儀」
「というか、世間様の目が痛いぞ。補導もされるし」
「外国から遊びに来てるんです」
「天才かお前は」
確かにそれで行けば何とかなりそうだ。
「それにアレだよ、私、もうちょっとで15歳だから。高校通っててもおかしくない!」
「今年で15だったら中学三年生だろうが」
「それもそうだった……」
まぁ、ジルはギリギリ見た目的に高校生って言っても何とかなりそうな感じはするけどな。
シエルちゃんたち? あんなちびっこい高校生が居て堪るか。
「とにかく、私は絶対に中学校いきたくない!」
「うるさい黙れ。通わねば家から追い出すぞ」
「すみませんでしたお義母さん」
ジルがソッコーで土下座した。
結局、我が家の最高権力には敵わなかったよ……。




