皆纏めてオレの嫁
みんなが集まって、特にそれでどうかってわけでもなく。
ちょっとばっかり家の人口密度は増えたが、まぁ些細な事。
どうせ部屋ならたくさんある。元々この家は二世帯住宅だったんだ。
……いや、三世帯住宅だったな。どうでもいいけど。
で、そのもう一世帯だった爺ちゃんとばあちゃんが死んじゃって、今は一世帯だ。
まぁ、この家はとーちゃんの実家だからな。とーちゃんは兄弟めっちゃ多かったのだ。
そう言うわけで、家はかなり広いし部屋も多い。
さて、みんなをあっちこっちの部屋に割り当て、夕飯の時間に。
「食卓がめっちゃゴチャゴチャしてる」
「人数多すぎんだよそもそも」
カーチャン、オレ、千里、修也、タカネ、レン、トモエさん、シエルちゃん、アリシアちゃん、ジル、秋穂さん、ルミエ、魔王。
13人も居る。なんぼなんでも多すぎる。
元々6人掛けのテーブルに、もう一つ6人掛けのテーブルを追加してる状況だ。
「狭い……魔王、おまえ邪魔だからちょっと縮め」
「無茶を抜かすな。我はそこまで自在に可変出来ぬわ」
役に立たねぇ奴だな……。
「……というか、タカヤ。このたくさんの見知らぬ人たちは一体誰なの?」
「説明しよう。右から順に、シエル・アークライト、アリシア・リンカーネイト、ジル・ジャメシュ・エイミヤ。お前の姉だ」
「また姉!? さっき1人増えて、減ったと思って安心してたら今度は3人!?」
ははは、姉がいっぱいでよかったな。
「そして、この人がえーと……た、たか……たか……」
「高原秋穂、ですよ」
「そうそう。高原秋穂さん。オレのおかあさん」
「はぁ!?」
いや、だって続柄はそうなるし。
「あらあら、孝也さん。レンとは親子の縁を切りましたから、その続柄は無効ですよ?」
「あー、そーいえばそんな事も言ってましたねー」
なんかスッゲー邪な目的で親子の縁切ってたねー。
その癖、その後も普通に親子の間柄だったしねー。
「まぁ、さておき。こっちはルミエ。ファミリーネームは知らん」
「……アナベルです」
「ソロモンの悪夢だそうだ」
「なんの話ですか!?」
いやだって、アナベルって言ったらガトーでしょ。
「というか、考えてみたらルミエってファーストネームしか知らんわ。フルネームなんてえの?」
「は、はぁ……ルミエ・ハイドランジア・アナベルです」
「は、ハイドランジア……?」
な、何語だ?
「水の器の意です。私の故郷は水の豊かな町でして、その地の騎士には水を支える器として与えられていた称号です」
「へー……」
……ラテン語、かな? アナベルは確かヤマアジサイの事だったし。
「ふむー……ジル、花言葉詳しい?」
「ぜんぜん」
「シエルちゃん」
「食べられる花なら詳しいです!」
「レン」
「そ、存在は知ってる」
「アリシアちゃん」
「くわしいよ?」
マジかよ。アホの子……じゃねえ。ちょっと天然気味なアリシアちゃんが知っているとは……。
考えてみれば、貴族のお嬢様だから詳しいのか?
「アナベルって花の名前だよね。花言葉って知ってる?」
「えっとね、クールな美しさ、移り気、美しいが冷淡な人」
「ふむー」
確かにルミエはクールな美人さんだ。移り気ってのは……流浪の騎士だったから?
冷淡って感じはしないけど……だいたいあってるのかも。
名は体を表す、って奴だな。
「つまり、ルミエはアジサイってことか」
「もしかして、ルミエの髪がピンクなのはpHが酸性に偏ってるから?」
「その理屈で行くと重曹かけたら青くなんのか」
植物人間かよ、こえーな。
「でだ、このルミエって言うのはジルの関係者だ」
「ああ、そう……というか……なんで、姉が増えるの? わけがわからないんだけど……」
「まぁ、端的に言うと、レンとシエルちゃんとアリシアちゃんはオレの嫁だからな」
「ふーん……げふっ!?」
修也が味噌汁噴いた。
「きったねえ!」
「げほっ、えほっ! き、気管にはいった!」
「大丈夫か?」
「って、言うか、よ、嫁!?」
「嫁です。異世界の法律は緩いんだ」
「だ、だからって……」
「法律に触れるような事はしてないから大丈夫。とにかく全員お前の義姉だからな。敬えよ」
「わ、分かったから! 分かったから!」
ふう、これでよし。
そう言えば、千里は? と思って目線を向けてみると、特に動じずにいた。
「千里、今、すごく衝撃的な事実を暴露したはずなんだけど?」
「え? ああ、うん。いいんじゃないかな?」
「え、あ、うん。よくわかんないけど納得してくれてありがとう」
おかしいな、普通はもうちょっと驚かれるはずなんだが……。
「で、修也はどうしたの?」
「お前、実は話聞いてなかったろ」
「聞いてた聞いてた。で、なんだっけ?」
やっぱ聞いてなかった。
改めて事情を説明してみたら、千里も味噌汁を噴いていた。
なにやら大騒ぎの食卓になってしまったが、晩ご飯は楽しく終わったのでした。まる。




