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並行世界にはリア充が居た

 その後、ローザと仲良く風呂に浸かり、服はローザのものを貸してもらった。

 ブラジャー? サイズの問題で借りれるわけねえだろ。


「んむー、しかし、性転換をしてしまってもなんつうか、特に違和感がないんだよな」


「肉体的に相当変化しているだろうに」


「あ、いや、肉体的な違和感はもちろんあるよ。座った時とかな」


 骨格が違うからか、足を組んだ時の感覚が少し変だ。

 股関節の柔軟性が格段に違うのが分かる。


「この場合の違和感っていうのは心理的な違和感の方でさ、特に男に戻りたいって感覚がないんだよな」


「ふむ……リビドーとデストルドーの問題ではないか?」


「えーと……ああ、生の欲動と死の欲動の事か」


 確か心理学用語だったと思ったが……だいぶ前にローザに教えてもらった記憶がある。

 なんでか知らないが、コイツ心理学に凄い詳しいんだよな。


「お前は性欲を封印しているのだろう? 性欲は人間の欲求のうち、子孫を残そうとする情動によるものだ」


「そうなるな」


「その欲求を封印すると、生きたいという気持ちが抑制される。生きたいという中には前向きな感覚が含まれる」


「よりよくなろうとする感覚、向上心とかの事か」


「それが抑制されると、自然と自身そのものに無頓着になる。相対的にデストルドーが増大するわけだ。子孫を残そうとする意思がなければ、自身の性別になど気も向かない。自身の性別についても無頓着になる。それが原因ではないか」


「なるほど」


 一応筋は通ってるっちゃ通ってる。


「ところで関係ないんだけど、オレ足長くねぇ?」


「確かに。お前、体格は華奢になっているが身長が変わっていないな」


 元々170ちょいしか身長なかったから、別に長身ってわけじゃないんだが、女性だったら170は長身だよな。

 そしてだが、なぜか胴が短くなって足が長くなった。足長くて美形とかオレ勝ち組過ぎだろ。

 やっぱオレ、生まれてくる性別間違えたわ。


「けど、そのオレにお前の服がぴったりなんだからお前も相当長身だよなー」


「まぁな」


 ローザはおっぱいのついたイケメンだもんなぁ。

 これで性別が男だったら放っておく奴居なかっただろうに。


「……そうだ。お前が男だって言う並行世界を探してみよう」


「いきなり何を言ってるんだお前は」


「オレはいつだって唐突だ」


「そうだな」


 だから納得すんなよう。


「で、あるのか?」


「たぶん」


 そう言うわけでさっそく探してみる。ええと、設定はローザだけが男の世界……ダメだ、全く見つからない。

 もうちょっと条件を緩くして探してみるか。ローザが男であれば、後はどうでもいいや。


 ……よし、見つかった。


「あったぞ。行ってみるか?」


「ああ。面白そうだ」


 近い世界だから、世界の間の海の荒れはまだ大丈夫だろう。

 オレの技量じゃ、シエルちゃんたちが居る世界にはもう戻れないが、店主さんが連れて来てくれるって話だし。


「よし、開け、並行世界の扉!」


 ぐっ、と力を入れて、世界の扉を開く。

 そこにローザと一緒に飛び込むと、全くもって内装が変わらない部屋があった。


「本当にここは並行世界か?」


「たぶん。あ、ほら、タンスの中身が男物だ」


「ほう。確かにどうやらそのようだな」


 けど、個々の世界のローザはどこに居るんだろうか。

 疑問に思いつつ窓から家の外に出て、隣の家、つまりこの世界のオレの家を覗き込んでみる。


「あれ、オレの部屋の内装が違う」


 ベッドと机以外にも、あれこれと家具がある。壁にはポスターとか貼ってあるし。


「というより、まともな人間の部屋だな」


「悪かったな、まともな人間の部屋じゃなくて」


 確かにオレの部屋は全くもって物がないが、まともじゃない人間の部屋って言うのは心外だ。


 とりあえず、窓を魔法で開けて中に侵入。

 ふむ……このポスターはなんかのゲームのポスターみたいだな。


「おい、一文字孝也。これを見ろ」


「ん?」


 振り返ってみると、ローザが手にポーチを持って、その中から何かを取り出している。


「生理用品だ。この世界のお前は女のようだぞ」


「マジで!?」


 パソコンの電源をつけてパスワードを打ち込む。よし、パスワードは同じだ。

 さっそくドライブ内を覗き込んでいくと、なんと大量の乙女ゲーがインストールされていた。


「……どこの世界でもお前は変わらんようだな」


「らしいな……」


 なんか虚しくなってきたので電源を切る。

 そう言えば目的を忘れてた。この世界のローザは?


「んーと……」


 周囲に感覚の網を広げる。この世界のオレの近くにいる可能性が高いだろう。

 そう思って探してみると、すぐ近くに居た。どうやら下の部屋にいるらしい。


「下だな。見慣れない生体反応も感じられるし、多分ローザもそこに居る」


「そうか」


 というわけで早速に下に行って、リビングに入ってみる。

 そこではソファーに座ってテレビを見ている今のオレと全く同じ容姿の美少女。

 ただし、身長はオレより明らかに低い。160足らずくらいか?

 その隣には、見知らぬ金髪の青年。うわぁ、嫌味なくらいイケメン。


「おいお前ぇぇ! お前の名前を言ってみろォォォ!」


「なっ、なんだお前は!?」


 胸ぐらを掴んで問い詰めてみる。


「落ち着け馬鹿者」


 背後からローザにぶん殴られた。銃のストックで。


「いてぇっ! 銃のストックで殴るな! 割れたらどうする!」


「味噌を詰め直してやる。全く、もう少し紳士的に聞けんのか」


 オレの体はそこまで自由度高くねーよ。

 そう思いつつも、今度はローザが問い詰めるのを見守る。


「それで、貴様の名前はなんだ? 10秒以内に答えねば射殺する」


 それのどこが紳士的な尋ね方なんだ。


「ヴァレンティン・カレンベルクだが……貴様らは一体なんだ?」


「ほう、そうか。私の名はロザリンデ・カレンベルク。並行世界の貴様だ」


「ほう……並行世界の私か。なかなか興味深い話だな」


 すげぇ、こいつらが喋ってると果てしなくこんがらがって行く。

 声が全く違うのに、喋り方とイントネーションがそっくりなんだもんよ。


「この馬鹿は一文字孝也。そこの女と同じ素性だろう」


「孝也?」


「コイツは本来男だ」


「ほう、高音が男になっていたアレと同じか」


 あー、この世界のオレって高音って名前なんだなー。

 そんな事を考えつつぼーっとしていると、リビングに誰か入って来た。


「やっほう、タカヤくん。なにしてるの?」


 トモエさんだった。


「……なんでオレだって分かったんですか?」


「僕は目で見てるわけじゃないからね。もちろん、視覚自体はあるけど」


 というか、並行世界なのになんで当たり前のようにオレの事が分かるんだ?

 店主さんはまだしも、トモエさんってそう言う存在じゃないだろ。


「ああ、いい質問だね」


「すいません、オレ何にも口に出してないです」


「気にしない気にしない。それでね、僕は全て僕なんだ。僕はもちろん並行世界にも存在するんだけど、その僕って言うのと僕は全て繋がってる。知識と記憶を共有してるんだ」


「店主さんと何が違うんですか?」


「アサナくんはクラウドコンピューティングで、僕はグリッドコンピューティングって感じかな」


「何となくわかりました」


 えーとつまり、店主さんが箒型構造のモデルで、頂点の本体が全ての知識と記憶を持っている。

 トモエさんはそれぞれが知識と記憶を持っていて、横のつながりが無限に存在するってことか。


「ちなみに僕は純粋な人間だよ。知識と記憶の共有は魔法でやってるだけだから」


「そーですか」


 この人たちはホントによく分からん。

 なんて思っていると、この世界のオレがすすすす……と動いて、トモエさんに抱き付く。


「トモエさん、ぎゅーってして」


「はいはい、高音ちゃんは甘えんぼだね」


 おいおい、この世界のオレ、可愛過ぎじゃね?

 というか、オレと全くもって雰囲気が違う。


 なんつうか……そうだな、ジルに似てるんだ。

 ジルからおふざけ要素全部取っ払ったあの物静かな感じに似てる。


「……つまり、乙女ゲー主人公か!」


「タカヤくん、君いきなり何言ってるの?」


「気にせんでください。さて、じゃあ高音くん、質問していくとしようか」


「え、うん、なに?」


「えーと、君に兄はいるかな?」


「うん、いるよ。千里にーちゃん」


 名前は一緒なのか……。


「お隣の柴村さんとこの息子さんとは?」


「幼馴染だよ」


 香苗も男か。


「弟はいるのか?」


「ううん、妹がいるよ」


 修也は女か……あとで美少女か確かめるとしよう。


「レン、シエル、アリシア、ジル、このうち男は?」


「レンくんとシエルくんは知ってる。でもアリシアって言う子は知らない」


「ジルは?」


「ギルくんなら知ってる」


 みんな男かよ。


「リンカーネイト公爵家の息子は?」


「アレクくんのこと?」


 片っ端から男なんだな……。


「秋穂さんは?」


「レンくんのおかあさんだよね。知ってる」


 秋穂さんは女性のままか……。

 というか、コイツの回りほぼ全員男かよ。やっぱり乙女ゲー主人公じゃねーか。

 ……ん? だとすると、オレはギャルゲー主人公なのか?


「なんだよ、オレって実は幸せ者だったのか。なーんだ、あっはっはっは」


「……?」


 不思議そうな顔をされてしまった。


「で、誰かと結婚してんの?」


「うんっ。トモエさんと!」


「マジかよ」


 考えてみれば、この世界にはタカネが居ない……というか、コイツがタカネなんだ。

 とすると、トモエさんと結婚してても何にもおかしくない……。

 しかも年齢的に何の問題もないだろうから、夜は実に仲良くやってるんだろう。

 ……並行世界のオレなのに……。


 あれ、なんでだろう、果てしなく虚しくなってきたぞ?


「……なんか死にてぇ」


「いきなり落ち込んでどうしたのだ、一文字孝也」


「うっうっうっ……オレは童貞卒業出来てないのに、コイツが仲良くしっぽりむふふとやってやがると思ったらなんか虚しくなってきたんだ……」


「風俗にでも行け」


 にべもねぇ。


「はぁ……この世界の修也とかどうでもよくなった……帰ろう……」


「唐突に来て唐突に帰るのだな……まぁどうでもいいが」


「帰ろう……帰って、家族にこの姿を見せて驚かせよう……」


 並行世界の扉を開く。並行世界になんて、来なきゃよかったよ……。

ヴァレンティン=俺様系S青年。

トモエさん=さわやか好青年(?)

レン=背伸びしたがりなショタ。ちょっと意地っ張り。

シエル=ほんわかふわふわショタ。

アレク=元気いっぱいアホの子ショタ。

ギル=だらだら大好き。自堕落年下系男子。


ギャルゲーはいろいろひっくり返したら乙女ゲーになるんだろうかと思いつつ書いた。

乙女ゲーって結構面白いんですよ。BLゲーはやった事ないです。

……すいません、うそこきました。一個だけやった事あります。

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